脳卒中後の超急性期リハは本当に有効か/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2015/05/11

 

 脳卒中後24時間以内に開始する超急性期リハビリテーション(very early mobilization)は、介入量が多いほど、また早期であるほど3ヵ月後の良好なアウトカムのオッズ比減少と関連していることが報告された。オーストラリア・メルボルン大学のJulie Bernhardt氏らAVERT試験研究グループが、2,104例の患者について行った無作為化試験の結果、明らかにした。著者は「世界中のガイドラインで脳卒中後の早期リハが推奨されているが、われわれの検討結果は現行のガイドラインを改善して臨床に反映すべきであることを示すものであった。ただし臨床的な勧告は、さらなる用量反応関連の分析を行い告知するべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年4月16日号掲載の報告。

5ヵ国56ユニットで無作為化試験、3ヵ月時点の良好アウトカム患者割合を評価
 AVERT試験は、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、シンガポール、英国の5ヵ国56の急性期脳卒中ユニットで行われた並行群間単盲検無作為化試験で、被験者は18歳以上で、初発または再発の脳梗塞または脳出血患者であった。

 生理学的基準を満たした患者を、webベースのコンピュータ生成ブロック無作為化法(ブロックサイズは6)で2群に割り付けた。一方の群は、通常の脳卒中ユニットケアのみを受け、もう一方の群には、通常ケアに加えて超急性期リハビリテーションの介入が行われた。

 被験者には、遺伝子組み換え型組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)治療が許可され、無作為化では試験地、脳卒中の重症度による層別化も行われた。なお、患者、アウトカム評価者、試験およびデータ管理に関与した研究者には治療割り付けは知らされなかった。

 主要アウトカムは、脳卒中後3ヵ月時点の良好なアウトカム(修正Rankinスケール0~2で定義)で、原則intention-to-treat解析にて評価した。

通常ケア群と比べて有意に低くオッズ比0.73、死亡は1.34倍
 2006年7月18日~2014年10月16日の間に、2,104例の患者を超急性期リハ群(1,054例)または通常ケア群(1,050例)に無作為に割り付けた。3ヵ月時のフォローアップ評価には2,083例(99%)が含まれた。

 超急性期リハ群のうち965例(92%)が24時間以内にリハを開始していたが、通常ケア群は623例(59%)であった。

 良好アウトカムを有した患者は、超急性期リハ群のほうが通常ケア群よりも有意に少なかった(480例[46%]vs. 525例[50%]、補正後オッズ比[OR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.59~0.90、p=0.004)。

 死亡例は、超急性期リハ群88例(8%)に対し、通常ケア群72例(7%)であった(OR:1.34、95%CI:0.93~1.93、p=0.113)。

 非致死的な重篤有害イベントの発現は、超急性期リハ群201例(19%)、通常ケア群208例(20%)であった。