心臓手術の輸血、赤血球保存期間の違いで転帰は?/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2015/04/21

 

 輸血用赤血球の保存期間と多臓器機能障害スコア(MODS)変化に、関連はないことが示された。米国・ミネソタ大学フェアビューメディカルセンターのM.E. Steiner氏らが、12歳以上の高難度の心臓手術を受ける患者を対象に行った多施設共同無作為化試験の結果、報告した。10日以下vs. 21日以上を検討したが差はみられなかったという。これまで一部の観察研究で、保存期間が2~3週を超えると、ときに致死的となる重大な有害転帰と関連するとの報告があった。NEJM誌2015年4月9日号掲載の報告より。

多施設共同無作為化試験で10日以下vs. 21日以上を検証
 研究グループは、心臓手術を受ける患者はとくに、輸血による有害な影響を受けやすい可能性があるとして、高難度の心臓手術を受ける12歳以上の、赤血球の輸血が見込まれる患者を対象に検討を行った。

 被験者は、2010~2014年に米国内33病院から集められ、保存期間が10日以下(短期保存群)または21日以上(長期保存群)の白血球除去赤血球の輸血(術中・術後すべて)を受けるよう無作為に割り付けられた。

 主要アウトカムは、術後7日、または死亡、退院までの期間における、MODSの術前スコアから複合スコアの最高値への変化である。MODSはスコア範囲0~24、スコアが高いほど臓器機能障害が重度であることを示す。

MODS変化、7日および28日死亡率とも有意差なし
 1,481例が無作為化を受け、輸血を受けた1,098例(短期保存群538例、長期保存群560例)について分析した。両群のベースラインの特性は似通っていた。年齢中央値は72歳(範囲:14~93歳)、男性が43%、ベースラインの平均MODSは0.7ポイントであった。

 結果、各群が受けた輸血赤血球の保存期間中央値は、短期保存群7日、長期保存群28日であった。その間のMODSの変化は、短期保存群8.5ポイント、長期保存群8.7ポイントで、有意差はみられなかった(差の95%信頼区間[CI]:-0.6~0.3、p=0.44)。

 また、7日死亡率はそれぞれ2.8%、2.0%(p=0.43)、28日死亡率は4.4%、5.3%(p=0.57)でいずれも有意差はみられなかった。

 有害イベントの発生も、高ビリルビン血症の頻度が長期保存群でより高かったことを除き、両群間で有意差は示されなかった。