進行肝細胞がんへのエベロリムス投与/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/07/16

 

 進行肝細胞がんでソラフェニブ(商品名:ネクサバール)治療が無効または不耐であった患者に対する、エベロリムス(同:アフィニトール)治療は全生存期間(OS)を改善しなかったことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAndrew X. Zhu氏らが無作為化試験EVOLVE-1の結果、報告した。進行肝細胞がんに対し現状ではソラフェニブが唯一、OSを有意に改善するが、その有益性は一過性のわずかなものである。エベロリムスは、肝細胞がんの最大45%で活性が認められるmTORタンパク質を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する。第I/II相試験において進行肝細胞がんへの効果が期待され、今回の臨床試験が行われた。JAMA誌2014年7月2日号掲載の報告より。

17ヵ国546例を対象に二重盲検プラセボ対照試験
 EVOLVE-1は、ソラフェニブ治療が無効または不耐であった進行肝細胞がん患者に対する、エベロリムス7.5mg/日の有効性と安全性を評価した第III相の国際無作為化二重盲検プラセボ対照試験であった。

 被験者は、2010年5月~2012年3月に17ヵ国から登録された成人患者546例で、Barcelona Clinic Liver Cancer(BCLC)ステージBまたはCの肝細胞がん、およびChild-Pugh Aの肝硬変を有していた。

 無作為化は、地域(アジアvs. その他地域)および大血管浸潤(ありvs. なし)で層別化し、2対1の無作為化スキームにより、エベロリムス群に362例、適合プラセボ群に184例が割り付けられた。なお両群には、最善の支持療法も併せて行われた。

 主要エンドポイントはOS、副次エンドポイントは、無増悪期間(TTP)、病勢コントロール率(DCR)(完全奏効[CR]、部分奏効[PR]、安定[SD]の患者の割合)などだった。

OS中央値はエベロリムス群7.6ヵ月、プラセボ群7.3ヵ月
 結果、両群間でOSの有意差はみられなかった。エベロリムス群の死亡は303例(83.7%)、プラセボ群は151例(82.1%)で(ハザード比[HR]:1.05、95%信頼区間[CI]:0.86~1.27、p=0.68)、OS中央値はエベロリムス群7.6ヵ月、プラセボ群7.3ヵ月であった。

 無増悪期間の中央値は、エベロリムス群3.0ヵ月、プラセボ群2.6ヵ月であり(HR:0.93、95%CI:0.75~1.15)、病勢コントロール率はそれぞれ56.1%、45.1%であった(p=0.01)。

 最も共通してみられたgrade 3または4の有害事象は、貧血症(エベロリムス群7.8%vs. プラセボ群3.3%)、無力症(7.8%vs. 5.5%)、食欲不振(6.1%vs. 0.5%)であった。

 C型肝炎のフレアがみられた患者はいなかったが、中央検査室での結果、39例の患者(エベロリムス群29例、プラセボ群10例)でB型肝炎の再活性が認められた。全症例が無症候性であったが、エベロリムス投与群3例が治療を中止した。

 なおサブグループ解析において、アジア人のエベロリムス群vs. プラセボ群のOSのHRは0.97(95%CI:0.61~1.52)であった。