ディズニープリンセスが子どものセルフイメージに与える影響は?

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/10/02

 

 ディズニープリンセスが子どものセルフイメージ(自己認識)に与える影響について心配する親は少なくないかもしれない。しかし、米カリフォルニア大学デービス校のJane Shawcroft氏らによる新たな研究で、“Let it go(何もしないでおく)”で良いとする結果が示された。この研究結果は、「Psychology of Popular Media」に8月24日掲載された。

 Shawcroft氏は、「子ども向けメディアに登場するキャラクターの約60%は男性や少年だ。ディズニープリンセスは、おそらく女性や少女のキャラクターとその物語に焦点を当てた子ども向けのメディアの中で、特によく知られているものの一つだろう」と話す。そして、「ディズニープリンセスは、体型がやせ過ぎている点やジェンダー・ステレオタイプが強調され過ぎている点がしばしば批判の対象になる。しかし、われわれはメディアを取り巻く状況をより幅広く考慮した上で、そこに認められる微妙な差異や子どもたちに与える影響について考えたかった」と研究背景について説明する。

 今回の研究は、メディアが子どもの発達に与える影響について調べることを目的とした進行中の研究プロジェクトの参加者から抽出された320人の子どもとその保護者を対象に実施された。対象とされた子どもの間で最も人気があったディズニープリンセスは『アナと雪の女王(原題:Frozen)』のエルサであり、次いで人気が高かったのは『モアナと伝説の海(原題:Moana)』のモアナ、その次が『アナと雪の女王』のアナだった。研究グループは、エルサやモアナの人気が高い理由について、最近の映画に登場するプリンセスであるためではないかとの見方を示している。

 研究では、子どもたちが3歳半のときと4歳半のときに保護者に対して、子どものボディ・エスティーム(自身の身体をどの程度好ましく思っているか、あるいは満足しているかなどの、身体に対する評価)について尋ねた。また、子どもが気に入っているおもちゃに基づき、子どもの遊びが伝統的に男の子らしいとされるものか、女の子らしいとされるものかを調べた。ディズニープリンセスは、1)やせ型、2)平均体型、3)平均以上/がっしり体型のいずれかに分類した。例えば、ジャスミンはやせ型に、モアナは平均体型に分類された。

 その結果、お気に入りのプリンセスとして平均体型のプリンセスを挙げた子どもは、1年後のボディ・エスティームが高く、ジェンダーに関わらずさまざまな遊びに対してオープンであることが確認された。この結果には、プリンセスごっこをする頻度が関係しており、プリンセスごっこをする頻度が高ければ高いほど、ボディ・エスティームが高く、また男の子らしい遊びと女の子らしい遊びの両方にオープンであることが示された。Shawcroft氏は「この結果は、平均体型のプリンセスは物語の中で、高い山々を上ったり戦ったりと身体的に活発であることも関係しているのだろう。これらのプリンセスが出てくる話は、彼女たちがどう見えるかよりもその身体を使って何ができるかの方が強く描かれている」と説明する。その一方で、重要なことに、やせ型のプリンセスを好んでいることは、子どものボディ・イメージやジェンダーに特徴的な遊びに影響を与えていないことも確認された。

 Shawcroft氏は、「女の子の遊びは、人形遊びやままごと遊びのように、男の子の遊びよりも穏やかなものが多く、より感情的で、ごっこ遊びの要素が多く含まれている」と説明する。一方、伝統的な男の子の遊びは「戦いごっこやレスリングなど、より荒っぽい遊びで、感情的な要素は少ない」という。その上で、さまざまなタイプのスキルの獲得に役立つため、子どもの発達には女の子の遊びと男の子の遊びの両方を組み合わせた遊びが重要であると同氏は付け加えている。

 米ノースウェル・ヘルスの小児内分泌科医であるBenjamin Nwosu氏は、子どもたちにとって活動的なキャラクターは身体的な健康にも有益な影響を与えると指摘。同氏は、今回の研究の限界点として、対象者の人種が多様でないこと、親の視点に基づき子どもの行動を分析していること、対照群が設定されていないことなどを挙げつつも、同僚で小児精神科医のVictor Fornari氏とともに、メディアが子どもに与える影響について調べることは重要との見解を示している。

[2023年9月13日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら