NSCLC術前補助療法、ニボルマブ+relatlimabの生存ベネフィットは?(NEOpredict-Lung)/Nat Med

提供元:ケアネット

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公開日:2024/05/09

 

 複数の免疫チェックポイント分子を阻害する治療法は、免疫抵抗性の克服の観点から注目されている。抗PD-1抗体ニボルマブと抗LAG-3抗体relatlimabの併用療法は、悪性黒色腫においてニボルマブ単剤療法と比較して、無増悪生存期間の改善が認められたことが報告されている1)。また、この結果をもとに米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得している。切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法においてもニボルマブ+relatlimab併用療法の有用性が検討されており、全例で手術の施行が可能であったほか、1年無病生存(DFS)率が93%、1年全生存(OS)率が100%と有用性を示唆する結果が報告された。本研究結果は、ドイツ・エッセン大学病院のMartin Schuler氏らにより、Nature Medicine誌オンライン版2024年4月30日号で報告された。

試験デザイン:海外第II相無作為化非盲検比較試験
対象:未治療の切除可能なStageIB、II、IIIA(UICC第8版に基づく)のNSCLC患者60例
試験群:ニボルマブ(240mg)+relatlimab(80mg)を2週ごと2回→手術→標準治療(併用群、30例)
対照群:ニボルマブ(240mg)を2週ごと2回→手術→標準治療(単独群、30例)
評価項目:
[主要評価項目]術前療法後43日以内の手術施行
[副次評価項目]RECIST1.1に基づく術前の奏効率(ORR)、病理学的奏効(MPR)、R0切除率、1年DFS率、1年OS率、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・全例が術前療法後43日以内に手術を受け、R0切除率は併用群90%、単独群100%であった。
・術前のORRは併用群27%、単独群10%であった。
・MPR率は併用群30%、単独群27%であり、病理学的完全奏効率はそれぞれ17%、13%であった。
・1年DFS率は併用群93%、単独群89%であった。
・1年OS率は併用群100%、単独群93%であった。
・MPRが得られた患者は、末梢血においてCD8陽性T細胞、CD8陽性Granzyme B陽性エフェクターT細胞が増加した。
・併用群でMPRが得られた患者では、CD24CXCL1CXCL14IL8MIFISG15といった顆粒球や単球、マクロファージに関連する遺伝子発現が抑制されていたが、単独群でMPRが得られた患者ではこれらの所見は確認されなかった。
・Grade3以上の試験治療下における有害事象は併用群13%、単独群10%に発現した。

(ケアネット 佐藤 亮)

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