双極性障害の5年間の再発率とそれに関連する要因~レトロスペクティブコホート研究

提供元:ケアネット

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公開日:2023/08/01

 

 双極性障害患者の再発率に関するエビデンスは、とくに英国において不足している。英国・バーミンガム大学のDanielle Hett氏らは、英国の健康保健サービスより定期的なケアを受けている双極性障害患者を対象に、5年間の再発率および関連性の評価を行った。その結果、英国で2次的メンタルヘルスサービスを受けている双極性障害患者の約4人に1人は、5年間で再発を経験していた。トラウマ、自殺傾向、精神症状の残存、併存疾患などは、双極性障害患者の再発と関連していることから、再発予防の観点からもこれらの因子を考慮し、対処することが求められると報告した。International Journal of Bipolar Disorders誌2023年6月30日号の報告。

 匿名化された電子健康記録を用いて、双極性障害患者を抽出した。再発の定義は、2014年6月~2019年6月における入院または急性期メンタルヘルスサービスへの紹介とした。5年間の再発率を算出し、再発経験および再発回数に対する独立した社会人口学的因子および臨床的因子の特定を試みた。

 主な結果は以下のとおり。

・双極性障害と診断され2次的メンタルヘルスサービスを受けた患者2,649例中、676例(25.5%)が5年間に1回以上の再発を経験していた。
・再発回数は、60.9%が1回のみ、残りは複数回経験していた。
・5年間のフォローアップ期間中に死亡した患者は、7.2%であった。
・共変量で調整後、再発経験と関連していた因子は、次のとおりであった。
 ●自傷行為/自殺傾向歴(OR:2.17、95%信頼区間[CI]:1.15~4.10、p=0.02)
 ●併存疾患(OR:2.59、95%CI:1.35~4.97、p=0.004)
 ●精神症状(OR:3.66、95%CI:1.89~7.08、p<0.001)
・共変量で調整後、再発回数と関連していた因子は、次のとおりであった。
 ●自傷行為/自殺傾向歴(β:0.69、95%CI:0.21~1.17、p=0.005)
 ●外傷歴(β:0.51、95%CI:0.07~0.95、p=0.03)
 ●精神症状(β:1.05、95%CI:0.55~1.56、p<0.001)
 ●併存疾患(β:0.52、95%CI:0.07~1.03、p=0.047)
 ●民族性(β:-0.44、95%CI:-0.87~-0.003、p=0.048)

(鷹野 敦夫)