HR+/HER2-早期乳がん、21遺伝子アッセイと内分泌療法反応性による治療ガイドは有用か/JCO

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2022/04/15

 

 ドイツ・West German Study Group(WGS)によるWSG-ADAPT HR+/HER2-試験において、再発スコアと内分泌療法への反応に基づく薬物療法のガイドが臨床で実行可能であり、リンパ節転移3個以下の閉経前および閉経後患者は化学療法なしですむことが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年4月11日号に掲載。

 本試験では、早期乳がんの薬物療法について、21遺伝子アッセイ(再発スコア)と3週間の術前内分泌療法への反応の組み合わせによるガイドを検討した。ベースラインと内分泌療法後のKi67については中央で評価した。

・対象:病理学的局所リンパ節転移(pN)0~1(リンパ節転移0~3個)の乳がん患者
・試験群:再発スコア12~25点で、内分泌療法に反応した(内分泌療法後のKi67が10%以下)患者
・対照群:再発スコア11点以下の患者
試験群、対照群とも内分泌療法のみ実施。上記以外の患者(内分泌療法に反応しなかったN0~1、再発スコア12~25点の患者を含む)は、dose-dense化学療法後、内分泌療法を受けた。
・評価項目
[主要評価項目]5年無浸潤疾患生存期間(iDFS)
[副次評価項目]遠隔DFS、全生存率(OS)など

 主な結果は以下のとおり。

・ITT集団は2,290例(試験群1,422例、対照群868例)、閉経前女性は試験群26.3%、対照群34.6%、pN1は試験群27.4%、対照群24.0%だった。
・5年iDFS差の片側95%下方信頼限界は-3.3%で、事前設定による非劣性が認められた(p=0.05)。
・5年iDFSは、試験群92.6%(95%CI:90.8〜94.0)、対照群93.9%(95%CI:91.8〜95.4)、5年遠隔DFSは、試験群95.6%、対照群96.3%、5年OSは、試験群97.3%、対照群98.0%だった。年齢とリンパ節転移別のサブグループにおいても結果は同様だった。
・N0~1、再発スコア12~25点の患者では、内分泌療法に反応した患者(内分泌療法のみ実施)の結果は、50歳超では内分泌療法に反応しなかった患者(化学療法実施)の結果と同等であり、50歳以下では優っていた。
・アロマターゼ阻害薬(主に閉経後女性)がタモキシフェン(主に閉経前女性)に比べて内分泌療法への反応が高かった(78.1% vs.41.1%、p<0.001)。
・内分泌療法に反応したのは、再発スコアが0~11点で78.8%、12~25点で62.2%、25点超で32.7%だった(4,203例、p<0.001)。

(ケアネット 金沢 浩子)

参考文献・参考サイトはこちら