薬物乱用頭痛を伴う難治性慢性片頭痛に対するエレヌマブ

提供元:ケアネット

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公開日:2021/08/12

 

 薬物乱用頭痛を伴う難治性慢性片頭痛に対するエレヌマブの有効性および安全性について、イタリア・ボローニャ大学のUmberto Pensato氏らは、検討を行った。Neurological Sciences誌オンライン版2021年7月5日号の報告。

 薬物乱用頭痛を伴う難治性慢性片頭痛に対するエレヌマブの有効性および安全性を評価するため、実生活環境下におけるプロスペクティブ多施設共同試験を実施した。対象は、3クラス以上の薬理学的治療に加え、onabotulinumtoxinAによる治療が奏効しなかった慢性片頭痛患者。

 主な結果は以下のとおり。

・エレヌマブを使用した患者396例のうち、選択基準を満たした患者は149例(38%)であった。
・エレヌマブ治療3ヵ月後における1ヵ月当たりの片頭痛日数が50%以上減少した患者は76例(51%)、75%以上減少した患者は30例(20%)であった。
・1ヵ月当たりの鎮痛薬の使用量および頭痛日数は減少が認められた。
 ●鎮痛薬の使用量:46.1±35.3→16.8±13.9(p<0.001)
 ●頭痛日数:25.4±5.4→14.1±8.6(p<0.001)
・試験期間を通じて、エレヌマブの有効性の上昇が確認された。
・アロディニアは、エレヌマブの有効性を予測する負の因子であった(オッズ比:0.47、p=0.03)。
・薬物乱用を伴わない反復性片頭痛における臨床的治療反応率は、64%(96例)であった。
・重篤な有害事象は観察されなかった。

 著者らは「エレヌマブ治療により、薬物乱用頭痛を伴う難治性慢性片頭痛における片頭痛の頻度および鎮痛薬の摂取量の有意な減少が認められた」としている。

(鷹野 敦夫)