PD-L1陽性肺がん、ペムブロリズマブ+化学療法の有効性とTMBに関連性示されず/ESMO2019

提供元:ケアネット

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公開日:2019/10/09

 

 ペムブロリズマブ+プラチナベース化学療法は組織型、PD-L1発現の有無にかかわらず、転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に生存ベネフィットをもたらす。また、腫瘍変異負荷はNSCLCを含む固形がんの潜在的バイオマーカーとして興味を持たれている。スペイン・Hospital Universitario Doce de OctubreのLuis Paz-Ares氏らは、KEYNOTE-021(コホートCおよびG)、-189、-407のNSCLC患者における組織腫瘍変異負荷(tTMB)とペムブロリズマブ+化学療法の効果との関係を評価する探索的研究を行い、その結果を欧州臨床学会(ESMO2019)で発表した。

 主要評価項目は、KEYNOTE-021のORR、KEYNOTE-189および-407のORR、PFS、OSであった。tTMBは全エクソンシーケンスにより決定され、事前に設定したカットポイントは175mut/exonである。

 主な結果は以下のとおり。

・tTMBが評価可能な症例は、KEYNOTE-021では145例中70例、-189では616例中293例、扁平上皮がんを対象にした407では559例中312例であった。
・tTMBとペムブロリズマブ+化学療法との効果の関係を全奏効率(ORR)のp値、無増悪期間(PFS)のp値、全生存期間(OS)のp値でみると、KEYNOTE-021、-189、-407いずれの研究でもtTMBとペムブロリズマブ+化学療法の効果の有意な関係は示されなかった。
・KEYNOTE-021におけるtTMB175mut/exon以上のOORはペムブロリズマブ+化学療法群71%対化学療法単独群30%、一方、175mut未満では61%対44%であった。KEYNOTE-189におけるtMTB175mut/exon以上のORRはペムブロリズマブ+化学療法群50%対化学療法単独群12%、一方、175mut未満では40%対19%であった。KEYNOTE-407におけるtMTB175mut/exon以上のORRはペムブロリズマブ+化学療法群59%対化学療法単独群45%、一方、175mut未満では64%対39%であった。
・KEYNOTE-189におけるtTMB175mut/exon以上のPFSはペムブロリズマブ+化学療法群9.2ヵ月対化学療法単独群4.7ヵ月(HR:0.32)、一方、175mut未満では9.0ヵ月対4.8ヵ月であった(HR:0.51)。KEYNOTE-407におけるtMTB175mut/exon以上のPFSはペムブロリズマブ+化学療法群8.3ヵ月対化学療法単独群4.4ヵ月(HR:0.57)、一方、175mut未満では6.3ヵ月対4.9ヵ月であった(HR:0.68)。
・KEYNOTE-189におけるtTMB175mut/exon以上のOSはペムブロリズマブ+化学療法群23.5ヵ月対化学療法単独群13.5ヵ月(HR:0.64)、一方、175mut未満では20.2ヵ月対9.9ヵ月であった(HR:0.64)。KEYNOTE-407におけるtMTB175mut/exon以上のOSはペムブロリズマブ+化学療法群17.1ヵ月対化学療法単独群11.6ヵ月(HR:0.74)、一方、175mut未満では15.0ヵ月対10.4ヵ月であった(HR:0.86)。

 同日に発表されたRoy S. Herbs氏らによる探索的研究では、ペムブロリズマブ単剤の効果とtTMBに関係が示された。しかし、Paz-Ares氏らによるこの探索的分析では、ペムブロリズマブ+化学療法の効果とtTMBに有意な関係は組織型、tTMBの高低にかかわりなく、示されなかった。

(ケアネット 細田 雅之)