展望とトピックス-第83回日本循環器学会学術集会

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 第83回日本循環器学会学術集会(JCS2019)が2019年3月29~31日の3日間、横浜市にて開催される(会長:東京大学大学院医学系研究科循環器内科 小室 一成氏)。今年のテーマは、「循環器病学Renaissance-未来医療への処方箋-」。循環器に関わるさまざまな問題解決のための戦略と、これからの方向性を示すことを目的としている。

海外応募含む2,194題が採択、JCSによる新しい取り組みとは?
 世界の死亡率1位は、“がん”ではない-心筋梗塞なのである。現在、日本における主要死因別死亡数の1位はがんであるが、高齢化に伴い後期高齢者の循環器疾患による死亡者数は増え続け、がんを凌ぐ勢いである。そのような状況を踏まえ、2018年末には「脳卒中・循環器病対策基本法」が成立し、今後、わが国の循環器診療・研究は大きく変わっていくことが予想される。

 現在、日本循環器学会は「脳卒中と循環器病克服5ヵ年計画」「脳卒中・循環器病対策基本法」「国際化」の3つの事業を軸に学会開催や専門医の育成などを行っているが、学会の国際化、2020年のAPSC(アジア太平洋心臓病学会)、2021年のWCC(世界心臓病学会)との合同開催を見越して、海外から座長や演者の誘致、性別、国籍などを問わない学会への参加などのダイバーシティ推進にも力を注いでいる。

 そうした中、今回の取り組みとして、アジアの参加者も国の代表者として競うことができる「ドクターJCSアジアチャンピオンシップ」、ポスター発表の中から優秀な演題が採択される「ベストポスターセッション」、アプリのツイート機能を用いて演者への意見や質問を受け付けるなど、多彩な企画が盛り込まれている。

JCSお薦めのセッション3選
◆ガイドライン
 2018年に改訂されたガイドラインは計7種。1)急性冠症候群ガイドライン、2)慢性冠動脈疾患診療ガイドライン、3)冠動脈血行再建ガイドライン、4)心筋症診療ガイドライン、5)不整脈非薬物治療ガイドライン、6)心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン、7)先天性並びに小児期心疾患ガイドラインの改訂におけるポイント解説が各セッションで行われる。また、ガイドラインの利用方法が学べる、「症例から学ぶガイドラインセミナー」も開催される予定だ。

◆不整脈
 突然死の原因とされる先天性QT延長症候群やブルガタ症候群は特定の遺伝子変異が原因とされる遺伝性不整脈の1つである。これらに関する遺伝子検査による予後予測、そのメリットについて報告が予定されている。

◆心不全
 『心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です』-2017年10月に一般にも発信しやすい定義が公開。高齢化が進む日本では、終末期心不全における地域を巻き込んだ緩和ケア対策が必要となることから、2021年より『心不全療養指導士』の認定制度がスタートする。対象職種は看護師、保健師、薬剤師など。これを踏まえ、「チームで取り組む循環器症状の緩和ケア」と題し、日本緩和医療学会とのジョイントシンポジウムが開催される。また、2017年10月に発足した日本腫瘍循環器学会が取り組む化学療法関連心機能障害などについて、「Onco-Cardiologyの最前線」にて発表が予定されている。

 新たな取り組みが盛り込まれた今大会の会長を務める小室氏は、「循環器疾患は、ほかの疾患に比べて患者会が少ない。学会が主導となって患者との距離を縮め、要望などを聞きながら密接な関係を築いていきたい」と、これまでの学会の伝統を継承しつつも新しい世界を創造していくことに意気込んだ。

■参考
日本循環器学会:第83回日本循環器学会学術集会

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心不全を予防するために何をすべきか/日本循環器学会

(ケアネット 土井 舞子)

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