このままでは現場は崩壊、医療のかかり方を厚労省懇談会が提言

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ケアネット

このままでは現場は崩壊、医療のかかり方を厚労省懇談会が提言のイメージ

 皆保険制度を維持しつつ医療の質を確保していくため、また医師の需給対策や医師の働き方改革を進めるにあたり、医療を受ける側の意識変容は欠かせない。2018年10月から5回にわたり開催されてきた厚生労働省「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」が12月17日、“「いのちをまもり、医療をまもる」国民プロジェクト宣言”と題したアクションプランを発表した。このアクションプランでは、医療を取り巻く状況の変化が大きい中で、市民・医師/医療提供者・行政・民間企業のそれぞれの立場で起こしていくべきアクションの例が提示されている。

“こういう現実を放っておくと、確実に医療の現場は崩壊します”
 懇談会では、(1)患者・家族の不安を解消する取り組みを最優先で実施すること、(2)医療の現場が危機である現状を国民に広く共有すること、(3)緊急時の相談電話やサイトを導入・周知・活用すること、(4)信頼できる医療情報を見やすくまとめて提供すること、(5)チーム医療を徹底し、患者・家族の相談体制を確立すること、を5つの方策として提示。「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」構成員として、これらの方策を国が速やかに具体的施策として実行することや、関係者の取り組みが実際に前進するよう、来年度以降も継続的にコミットし、進捗をチェックすることを宣言した。

 宣言では、「日本において、医師は全職種中最も労働時間が長い」、日本の医師の「3.6%が自殺や死を毎週または毎日考える」「半数近くが睡眠時間が足りていない」「76.9%がヒヤリ・ハットを体験している」など具体的なデータを提示し、“こういう現実を放っておくと、確実に医療の現場は崩壊します”と広く国民全員に対して問題意識を持つことを促している。

 そのうえで、「医療危機」の要因として市民・医師/医療従事者・行政・民間企業の4者にそれぞれ具体的にどんな問題があるのか、問題を解決するためにどんなアクションが必要なのかが箇条書き形式で明示されている。たとえば市民のアクションの例として挙げられているのは、「夜間・休日に受診を迷ったら♯8000や♯7119の電話相談を利用する」「夜間・休日よりも、できるだけ日中に受診する」「上手にチーム医療のサポートを受ける(日頃の体調管理は看護師に、薬のことは薬剤師に聞くなど、医師ばかりを頼らない)」など。行政に対しては「働く人が日中受診できる柔軟な働き方を進める」などが示されており、医師/医療提供者のアクションの例としては、タスクシフト推進のほか、「医療情報サイト」などの最新情報をチェックして質を保つことなどが挙げられている。

この宣言をいかに具体的な施策・行動に落とし込んでいけるか
 構成員からは、医療現場の現状が一般市民にもわかるようデータを踏まえてわかりやすく明示されたことや、それぞれの立場に求められるアクションが示されたことを評価する声が上がった。一方で、「♯8000や♯7119が実際に全国で機能するのか、チーム医療の推進が重要なことはわかったが実現するための人材は足りているのか、など課題は山積みで、この宣言はゴールではなくてスタートである」(デーモン閣下、アーティスト)」という意見も聞かれた。

 また、「医療へのアクセスが制限されてしまうのか? という不安を与えるものになってはいけない。緊急性のある重篤な患者が確実に診てもらえることや、医師が健康に働けることの両方を、しっかり守っていただきたい(豊田 郁子氏、患者・家族と医療をつなぐ特定非営利活動法人架け橋 理事長)」「この宣言のキーワードは“総力戦”だと考えている。いま日本の医師数はおおよそ30万人で、その3.6%=約1万人の医師が自殺や死を考えている精神状態というのは待ったなしの状況といえるのではないか。医療を提供する者、受ける者全員が自分の問題としてできることを考えていく必要がある(裵 英洙氏、ハイズ株式会社 代表取締役社長)」などの声が上がった。

 座長を務めた渋谷 健司氏(東京大学大学院医学系研究科 教授)は最後に、「われわれ懇談会構成員も、今後どう具体化するのかにコミットしていくつもりである。本当に施策として進むのか、そして国や厚労省だけの問題でなく、すべての国民の問題であるという認識のうえで、どうしたら改善していけるのかをそれぞれの立場で考えてほしい」とまとめた。

■参考
「いのちをまもり、医療をまもる」国民プロジェクト宣言!(第5回上手な医療のかかり方を広めるための懇談会 資料)

(ケアネット 遊佐 なつみ)

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