妊娠中の有害なライフイベントと5歳時のADHD症状との関連

提供元:ケアネット

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公開日:2018/11/23

 

 妊娠中の有害なライフイベントの経験は、子供のADHDと関連があるといわれているが、家族性交絡の影響はよくわかっていない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のMina A. Rosenqvist氏らは、妊娠中の有害なライフイベントが、子供のADHD症状と関連しているかを明らかにするため、家族性の要因について検討を行った。Journal of Child Psychology and Psychiatry誌オンライン版2018年10月27日号の報告。

 人口ベースのノルウェー母子コホート研究(Norwegian Mother and Child Cohort Study)に参加した子供3万4,751例(6,427例の兄弟姉妹を含む)のデータを収集した。母親からは、妊娠中に特定のライフイベントを経験したかどうかの報告を収集した。5歳時のADHD症状は、Conners' Parent Rating Scale-Revised(CPRS-R)簡易版を用いて評価した。ライフイベントと平均ADHDスコアとの関連は、全コホートにおける最小二乗法を用い、家族性交絡のために兄弟姉妹比較における固定効果線形回帰を用いてモデル化した。

 主な結果は以下のとおり。

・有害なライフイベントに曝露した子供では、5歳時のADHDスコアが高かった。最も影響が大きかったのは金銭的な問題(調整モデルにおける平均差:0.10、95%CI:0.09~0.11)、最も影響が小さかったのは親しい人の喪失であった(調整モデルにおける平均差:0.02、95%CI:0.01~0.04)。
・有害なライフイベント曝露の不一致を兄弟姉妹で比較すると、統計学的に有意ではない減弱した推定値が得られた。たとえば、金銭的な問題の平均差は-0.03(95%CI:-0.07~0.02)であった。
・母親がつらいまたは困難な経験をした場合には、イベント数に応じてADHDスコアが上昇し、兄弟姉妹比較の分析では、正常なほうへ推定値が減少した。

 著者らは「本結果では、妊娠中の有害なライフイベントと子供のADHD症状との関連性が示唆され、これは家族性の要因によって説明される」としている。

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(鷹野 敦夫)

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