この診療所を子供に継いでもらいたい…、がうまくいかない理由【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第15回

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公開日:2021/04/12

医業承継

診療所を売買する「医業承継」。売る側は後継者と譲渡金が手に入り、買う側は集患の手間なく初期費用も減って…、といいことづくしのようですが、実はあちこちに落とし穴が!最低限の知識をマンガで解説。

登場人物紹介

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

第15回 この診療所を子供に継いでもらいたい…、がうまくいかない理由

漫画・イラスト:かたぎりもとこ

医業承継について、相手との関係から主なパターンを整理すると、

  • (1)親子間で承継するパターン
  • (2)従業員へ承継するパターン
  • (3)第三者へ承継するパターン

があります。

これまでに多かったのは、親子間の承継です。いわゆる「代替わり」と呼ばれるもので、相続的な要素も強いため、私たちのような事業者が入ることなく行われるケースも多くありました。一方、最近では診療所の8~9割で後継者が不在という調査結果1)があるように、このような親子間承継のケースは減少しつつあります。

医師が「子供も医師に」と望み、実際に子供も医師の道を選ぶケースは依然として多いものの、親子間承継に至らないのは下記のような理由があります。

  • (1)親子で診療科が異なり、患者を引き継げない
  • (2)子供が都会で就職しており、診療所のある地元に戻る意思がない
  • (3)子供が研究職のキャリアを希望しており、開業意欲がない
  • (4)診療所の土地建物や設備が古く、子供が承継するメリットを感じない

よくあるケースは、親の開業医が「きっと子供が継いでくれるだろう」と期待しつつ、きちんと親子間で話し合わないまま年月が過ぎていき、いざ子供に承継の意思がないことがわかった時には医業承継のタイミングを逃していた、というものです。

診療所には「売り時」があります。院長にやる気があり、患者が多くついている時ほど買い手にとって魅力的な案件となり、結果として高い価格で承継できます。院長が高齢になるにつれ、体力的に厳しくなり、患者は減っていくことが一般的です。地方などでは承継がうまくいかず、残った診療所の不動産が子供にとって大きな負担となることもあります。

逆に第三者への承継を考えて買い手と交渉が進んでいたものの、最後になって子供の医師から「引き継ぎたい」という意向が出てきて、交渉を中断するケースもあります。こちらも買い手からの信頼を失うことになり、避けたい状況です。

こうしたトラブルを防ぐために、医業承継を検討しはじめた段階で、家族・親族やその他の利害関係者と情報共有し、合意形成をしておくことが重要なのです。

医業承継とは?

医業承継とは、診療所を開業するとき、既存の診療所の事業を引き継いで開業することです。

買い手からすると、施設や医療機器がそろっているため、開業に当たっての初期費用を数千万円単位で節約することができ、既存の患者さんの来院も見込めるため、経営が安定します。

売り手からすると、自院の施設や設備を無駄にすることなく、譲渡金を得ることができ、かつ患者さんを引き継げる安心感があります。

医業承継の大まかな流れは以下のとおりです。

医業承継の基本の流れと要する期間

ケアネット医業承継チーム

ケアネットでは2020年に医業承継チームが発足しました。業界経験の長い2人の女性メンバーと男性メンバー1人で構成。3人で合計100件超の成約実績があります。

ケアネットの医業承継事業の特長

ケアネットの会員医師22万人(2023年10月現在)の中から最適な候補者を紹介します。

これから開業したい医師や、すでに開業している理事長、いずれとの接点も豊富にあるため、希望の条件に沿った相手探しが可能です。

医業承継という業界の歴史は浅く、未経験のアドバイザーも多い業界ですが、ケアネットには業界経験5年以上のスタッフが複数在籍しています(全メンバーで計100件超の成約実績あり)。

事業者の中には、着手金や相談料が発生する場合もありますが、ケアネットの医業承継事業は成功報酬型で医業承継を支援します。

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