日本人の抗-enolase AIR、臨床像が明らかに

提供元:ケアネット

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公開日:2018/10/02

 

 北海道大学大学院医学研究院眼科学教室の安藤 亮氏らは、日本人の抗α-enolase抗体陽性自己免疫性網膜症(抗-enolase AIR)に関する多施設共同後ろ向き症例集積研究を行い、抗-enolase AIRは、これまで文献においてほとんど記述のないドルーゼンのサブタイプで特徴付けられることを明らかにした。著者は、「機能的な重症度が異なることに伴う眼底検査所見の違いは、網膜色素上皮(RPE)ならびに視細胞の抗体を介在した障害の結果と考えられる」とまとめている。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2018年9月6日号掲載の報告。

 研究グループは、日本人の抗-enolase AIR患者25例(女性16例、男性9例、初診時平均年齢60.8歳)の49眼を対象に、眼底の特徴、視野検査、スペクトラルドメイン光干渉断層撮影(SD-OCT)、網膜電図(ERG)による検査、最高矯正視力(BCVA)および全身における腫瘍の複合について評価した。また、1例の患者の摘出眼において、免疫組織化学染色を用いてα-enolase蛋白の局在を調べた。

 主な結果は以下のとおり。

・25例の患者は、ドルーゼン多発(48%)、網膜変性(36%)、眼底正常(16%)の3群に分類された。
・ドルーゼンは、小さな沈着から卵黄様病変まで、さまざまな大きさが認められた。
・SD-OCT所見は、ドルーゼンに対応してRPEがドーム状に隆起し内部反射を伴っていた。
・視野検査では、輪状暗点の頻度が最も高かった(39%)。
・ERGでは、桿体反応または錐体反応の低下が81%の眼で認められた。
・桿体と錐体の混合反応については、ドルーゼン多発群より網膜変性群においてa波の振幅が有意に小さかった(p=0.005)。
・BCVAは、追跡調査中に80%の眼で改善または維持された。
・患者の30%で悪性または良性腫瘍が発見された。
・免疫染色の結果、RPEおよび視細胞層はα-enolase陽性であった。

(ケアネット)