急性心筋梗塞後の心原性ショックに対するエピネフリン vs.ノルエピネフリン【Dr.河田pick up】

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 心筋梗塞後の心原性ショックに対して、昇圧薬はある特異的な効果をもたらす可能性があり、それが予後に影響をあたえうる。ノルエピネフリンとエピネフリンは最もよく使われる薬剤ではあるが、無作為化試験でその効果が調べられたことはなく、十分なデータが得られていない。フランス・CHRU NancyのBruno Levy氏らは、心筋梗塞後の心原性ショックにおいて、エピネフリンとノルエピネフリンの効果を比較することを目的に、多施設共同の前向き二重盲検無作為化試験を実施した。Journal of American College of Cardiology誌7月10日号に掲載。

18歳以上で、PCIが成功した急性心筋梗塞患者が対象
 本試験では、18歳以上で、下記の項目をすべて満たした患者が対象となった。
・PCIによる冠動脈の再灌流が成功している
・収縮期血圧<90mmHgまたは平均動脈圧<65mmHg
・心係数<2.2L/min/m2
・肺動脈圧>15mmHgもしくは心エコーによる肺動脈圧上昇
・心エコーによるEF<40%
・少なくとも1つの組織の低灌流の証拠がある
・肺動脈カテーテルが留置されている

 また、その他の原因でショックを起こしている患者や、体外循環を用いている患者は除外されている。

 主要有効評価項目は心係数の改善で、主要安全評価項目は抵抗性の心原性ショックの発生とされた。抵抗性の心原性ショックは持続した低血圧、末梢臓器不全や乳酸値の上昇および高用量の強心薬や昇圧薬の使用と定義された。

エピネフリン群で抵抗性ショックの頻度が有意に高く、試験は早期中止
 57例の患者がエピネフリン群とノルエピネフリン群の2群に無作為に割り付けられた。主要有効評価項目である心係数の改善は72時間後において2群間で同等であった(p=0.43)。主要安全評価項目に関しては、エピネフリン群で抵抗性ショックの頻度が有意に高かったため(エピネフリン群:10/27[37%] vs.ノルエピネフリン群:2/30[7%];p=0.008)、試験は早期中止となった。心拍数はエピネフリン群で2時間後~24時間後において有意に高くなったが、ノルエピネフリン群では変化がなかった(p<0.0001)。いくつかの代謝に関する変化は、ノルエピネフリン群と比較して、エピネフリン群において好ましくない結果がみられ、たとえば心臓のダブルプロダクト(=収縮期血圧×心拍数)(p=0.0002)と2時間後~24時間後における乳酸値(p<0.0001)がそうであった。

 考察で筆者らは、実験データにおける2つの薬剤の主要な違いは、エピネフリンは高いエネルギーを必要とする割には心筋繊維の収縮増加がノルエピネフリンより少なく、結果として心臓の効率を下げている点だと述べている。また、高用量のエピネフリンは心筋収縮力を下げる効果があるとしている。またエピネフリン群で抵抗性の心原性ショックが多かった理由として、過度なアドレナリンによる刺激が急性のカテコラミン心筋症を引き起こしている可能性も指摘している。

 結論として、急性心筋梗塞に伴う心原性ショック患者において、エピネフリンの使用はノルエピネフリンと比較して、動脈圧および心係数で同等の効果を生み出すが、抵抗性ショックが高い頻度で認められた、と結んでいる。

(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)

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