初回エピソード統合失調症患者における抗精神病薬中止後の長期的な影響 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/04/09 初回エピソード精神疾患の治療が成功した後、抗精神病薬を中止することによる長期的な影響は、十分に研究されていない。中国・香港大学のChristy L M Hui氏らは、初回エピソード精神疾患における早期維持療法の決定と10年間の臨床的アウトカムとの関連について評価を行った。The lancet. Psychiatry誌オンライン版2018年3月15日号の報告。 2003年9月5日~2014年12月30日までの10年間のフォローアップ研究として、香港の7施設におけるランダム化二重盲検試験が実施された。1年以上の抗精神病薬治療実施後、陽性症状が完全に消失した初回エピソード精神疾患178例を対象に、維持療法群89例(クエチアピン400mg経口投与)または早期治療中止群89例(プラセボ投与)にランダムに割り付け、12ヵ月間継続した。試験終了後、患者は自然療法に移行した。全体的にこの患者コホートは、フォローアップ研究に入る前に、約3年間の治療を受けていた(試験開始前2年間の維持療法と試験での1年間の治療)。主要アウトカムは、直接フォローアップが実施できなかった患者を含めた10年間の臨床的アウトカム良好または不良の割合とした。アウトカム不良は、持続的な精神症状、クロザピン治療の必要性、自殺による死亡の複合として定義した。 主な結果は以下のとおり。 ・10年後の臨床的アウトカム不良は、早期治療中止群では89例中35例(39%)、維持療法群では89例中19例(21%)であった(リスク比:1.84、95%CI:1.15~2.96、p=0.012)。 ・フォローアップ期間中に発生した唯一の重篤な有害事象は自殺であった(早期治療中止群4例[4%]、維持療法群2例[2%])。 著者らは「初回エピソード精神疾患患者に対し、治療開始後最初の3年間薬物治療を継続することで、再発や長期的な臨床的アウトカム不良リスクが低下するであろう」としている。 ■関連記事 安定期統合失調症、抗精神病薬は中止したほうが良いのか 維持期統合失調症治療、抗精神病薬の中止は可能か 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hui CLM, et al. Lancet Psychiatry. 2018 Mar 15. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 統合失調症患者が正常に抗精神病薬を中止した臨床的特徴に関するレビュー 医療一般 日本発エビデンス(2018/11/12) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] BPSDが死亡リスクに及ぼす影響~日本人コホート研究(2024/04/29) 認知症の修正可能な3大リスク因子(2024/04/29) 人間の脳は世代を追うごとに大きくなっている(2024/04/29) 1日30分座位時間を減らすと高齢者の血圧が低下(2024/04/29) 近くにあるAEDが心停止者に使われることはまれ(2024/04/29) 加糖飲料とフルーツジュースは男子の2型糖尿病リスクを高める(2024/04/29) 夜間の屋外照明は脳卒中リスクを高める?(2024/04/29) CVD患者のフレイルと「アクティブな趣味」の関係(2024/04/29) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)