韓国人うつ病患者における3種類の抗うつ薬の6週間ランダム化比較試験

提供元:ケアネット

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公開日:2018/01/11

 

 韓国のうつ病患者におけるエスシタロプラム、パロキセチン、ベンラファキシンの有効性、安全性を比較するため、韓国・カトリック大学校のYoung Sup Woo氏らが、検討を行った。Clinical psychopharmacology and neuroscience誌2017年11月30日号の報告。

 韓国人うつ病患者449例を対象として、エスシタロプラム、パロキセチン、ベンラファキシン治療にランダムに割り付けた、6週間のランダム化単盲検実薬対照試験を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・6週間のMADRS(モンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度)総スコアの平均差を比較すると、パロキセチンは、エスシタロプラムよりも有意に優れていた(-6.4±0.4 vs.-3.7±0.5)。
・6週間のHDRS(ハミルトンうつ病評価尺度)総スコアの平均差を比較すると、パロキセチンは、エスシタロプラムよりも有意に優れていた(-5.4±0.4 vs.-3.1±0.4)。
・ベンラファキシンのMADRS総スコア(-5.4±0.4)は、エスシタロプラムよりも有意に低かった。
・ベースライン変数で調整した際、パロキセチン群のMADRSおよびHDRSスコアによる治療反応は、エスシタロプラム群よりも有意に大きかった(MADRS[OR:2.43、95%CI:1.42~4.16]、HDRS[OR:2.32、95%CI:1.35~3.97])。
・また、パロキセチン群は、ベンラファキシン群との比較においても同様に、有意に大きい治療反応を示した(MADRS[OR:1.94、95%CI:1.17~3.21]、HDRS[OR:1.71、95%CI:1.03~2.83])。
・各群の全体的な忍容性は高く、類似していたにもかかわらず、268例(59.7%)が早期に治療を中止していることが、本研究の主要な限界である。

 著者らは「本研究の治療完了率が低く一般化可能性は制限されるものの、韓国のうつ病患者において、パロキセチンがエスシタロプラムよりも優れている可能性があることが示唆された。明確な結論を導くためには、さらなる研究が行われるべきである」としている。

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