コーヒー1日3杯以上で脳腫瘍リスク低下~JPHC研究

提供元:ケアネット

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公開日:2016/11/16

 

 わが国の多目的コホート研究(JPHC研究)で、コーヒーや緑茶を飲む頻度で脳腫瘍のリスクを比較したところ、コーヒーを1日3杯以上飲むグループでリスクの低下がみられ、日本人ではコーヒー摂取が神経膠腫(グリオーマ)を含む脳腫瘍のリスクを減らす可能性が示唆された。International Journal of Cancer誌2016年12月号に掲載。

 海外の疫学研究のメタアナリシスでは、コーヒーは予防的に作用しないと報告され、緑茶と脳腫瘍との関連は明らかにされていない。緑茶をよく飲むアジアにおいても、緑茶やコーヒーと脳腫瘍との関連もよくわかっていない。今回、JPHC研究で、日本人におけるコーヒーと緑茶の摂取量と脳腫瘍リスクとの関連が調査された。

 本研究は、JPHC研究における10万6,324人(男性5万438人、女性5万5,886人)を調査し、コホートIでは1990年から、コホートIIでは1993年から、2012年12月31日まで追跡調査した。コーヒーと緑茶を飲む頻度を「週に4日以下」「1日1~2杯」「1日3杯以上」の3つのグループに分け、脳腫瘍のリスクを比較した。コーヒーや緑茶の摂取量と脳腫瘍リスクとの関連について、Cox比例ハザード回帰モデルを用いてハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中に157人(男性70人、女性87人)が新規に脳腫瘍と診断された。

・コーヒー摂取量と脳腫瘍リスクとの間には、男女すべて(1日3杯以上でHR:0.47、95%CI:0.22~0.98)および女性(1日3杯以上でHR:0.24、95%CI:0.06~0.99)において、有意な逆相関が認められた(ただし、本研究では1日3杯以上のグループにおける脳腫瘍は8例と少なかった)。

・神経膠腫においても、コーヒー摂取量が多いとリスクの低下傾向が認められた(1日3杯以上でHR:0.54、95%CI:0.16~1.80)。

・緑茶摂取と脳腫瘍リスクとの間には明らかな関連は認められなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)