白内障は手術をしたほうがしないより長生き?

提供元:ケアネット

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公開日:2016/02/24

 

 米国メディケア受給者を対象とした後ろ向きコホート研究において、白内障患者のうち手術をした人はしなかった人と比較して全死因死亡率が低いことが示された。研究を行った米国・カリフォルニア大学のVictoria L. Tseng氏らは、「白内障の手術と死亡リスク低下との関連の機序を調べるためにさらなる研究が必要」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2016年2月4日号の掲載報告。

 研究グループは、白内障手術と全死因死亡との関連を調べることを目的に、2002~12年のDenominator and Physician/Supplier Part B ファイルからメディケア受益者の5%を無作為抽出し、白内障患者の手術の有無とその後の転帰を調査した。

 主要評価項目は全死因死亡で、Cox比例ハザード回帰モデルを用い白内障手術と死亡率との関連を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・メディケアの5%無作為標本には、白内障患者150万1,420例が含まれ、そのうち手術を受けていた患者は54万4,984例(36.3%)であった。
・追跡期間は、白内障の手術を受けた患者は平均11.4四半期間、受けていない患者は平均12.9四半期間であった。
・白内障患者において、全死因死亡率は白内障手術ありで2.78/100人年、白内障手術なしで2.98/100人年であった(p<0.0001)。
・白内障手術ありの患者は手術なしの患者と比較して死亡リスクが低下した(補正後ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.72~0.74)。
・サブグループ解析で強い関連が認められたのは次の患者群であった:傾向スコアが十分位の上位群(HR:0.52、95%CI:0.50~0.54)、80~84歳の高齢患者(HR:0.63、95%CI:0.62~0.65)、女性(HR:0.69、95%CI:0.68~0.70)、米国西部の患者(HR:0.52、95%CI:0.32~0.86)、中等度の全身性疾患を有する患者(HR:0.71、95%CI:0.69~0.72)、重度の白内障患者(HR:0.68、95%CI:0.66~0.70)。

(ケアネット)