「健康づくり支援薬局」 資質兼ね備えた薬剤師常駐が要件 厚労省検討会 

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2015/07/07

 

 7月2日、厚生労働省は第3回健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会(座長:昭和薬科大学 学長 西島 正弘氏)を開催した。今回は、健康づくり支援薬局の要件について話し合いが行われ、厚労省の提案に対し、各構成員から大きな反論はなかった。

 まず、前回までの議論1)を踏まえ、積極的に健康サポート機能を発揮する薬局の暫定的な略称として、「健康づくり支援薬局」を用いることが提案された。また、健康づくり支援薬局の基盤となる、かかりつけ薬局の機能は主に「薬剤情報の一元管理」「24時間対応、在宅対応」「医療機関との連携」の3つとされた。健康づくり支援薬局の定義としては、一般用医薬品等に関する助言や健康相談応需、受診勧奨を行うことだけでなく、率先して具体的に健康づくりを支援する薬局とされた2)

 健康づくり支援薬局の要件としては、薬剤師の資質、薬局設備、医薬品供給体制、連携体制構築など8項目が検討された。複数の構成員から、住民から信頼されるかかりつけ薬剤師がいることを前提とすべきだという意見が出され、「健康づくり支援薬局に必要なかかりつけ薬剤師の資質」が議論の中心となった。

 厚労省からは、必要な資質を、一般用医薬品等の情報提供や相談応需、受診勧奨など求められる機能を発揮するための研修を修了することによって担保することが提案された。これに対し、介護予防の項目や、薬学的な専門性を生かすために「薬と健康」などの項目を入れるべきではという意見が出た。また、厚労省は資質担保の方法として研修制度を想定しており、新たな専門制度などといった資格化は検討していないとした。

 日本薬剤師会の森 昌平氏は、機能を発揮するには何が必要なのかを明確にする必要があり、一般目標を設定すべきと提案した。また、日本薬剤師会の生涯学習支援システムJPALS、および薬剤師に求められるプロフェッショナルスタンダードについて触れた。そのうえで、地域住民の健康増進に関する領域においては、今後さらに充実した研修を行い、必要に応じて地域包括ケアに関する項目をプロフェッショナルスタンダードに含めていきたいとした。

 設備要件に関しては、個人情報配慮のための個室の設置は難しい場合も考えられるが、音響や消音装置を活用するなど工夫することで、限られたスペースでも対応可能であるという意見が出された。また、健康相談の記録については、要指導医薬品等の販売内容や相談内容を、薬歴等と同様に一定年数保存することを要件に含めるべきという意見が出された。

 供給体制については、森氏より一般用医薬品の品目数は、薬効分類の大分類18、中分類80を目安として考慮することが提案された。選択肢を確保するためにも、中分類の各分類の製品をそれぞれ2品目程度そろえることで、地域の最低限のニーズに応えられるのではと説明した。

 また、産経新聞社の佐藤 好美氏より、利用者が健康相談をするのは「サプリメントを飲んでみようかな」などと考えるときであるため、ある程度の一般用医薬品やサプリメント、介護用品、衛生材料などをそろえるべきではという意見が出された。とくに、介護食やとろみ調整剤、おくすり服用ゼリーはかかりつけ薬局には必要だという考えを示した。

 日本保険薬局協会の二塚 安子氏は品目数だけでなく、気軽に行きやすいかどうかという視点が重要であり、見栄えや見せ方、入りやすさという観点も要件に入れるべきだと提案した。最後に、健康づくり支援薬局は変化する住民の多様なニーズに応えられる薬局になっていく必要があると強調した。

【参考】
1)かかりつけ機能を基に薬局を地域の健康窓口へ~「健康情報拠点薬局」第2回検討会
2)厚生労働省第3回健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会

(ケアネット 後町陽子)