アルツハイマーの早期発見が可能となるか

提供元:ケアネット

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公開日:2014/09/08

 

 アルツハイマー病(AD)は最も一般的な神経変性疾患で、認知症の主因である。灰白質病変に加えて白質の変化が、疾患発生における重要な病理学的特徴として認識されている。ADの病因として白質異常の重要性に対する認識は高まっているものの、白質変性の原因は依然として不明であった。米国コロンビア大学のLyndsey E Collins-Praino氏らは、AD剖検例の白質中可溶性Aβ濃度をコントロールと比較し、ADの病因としての白質変性の原因を検討した。その結果、AD患者では白質中の可溶性Aβ-42濃度およびAβ-40濃度がコントロールと比べ高値であり、白質Aβペプチドが灰白質の原線維アミロイド病変とは独立して蓄積することを報告した。この所見から著者は、「灰白質萎縮に先立つ白質変性がADの早期のマーカーとなる可能性がある。また、白質減少を引き起こすメカニズムとリスクファクターを把握できれば、ハイリスク例の特定と疾患形成過程における早期介入に役立つであろう」とまとめている。Acta Neuropathologica Communications誌オンライン版2014年8月17日号の掲載報告。

 研究グループは、複数の研究から、Wallerian様変性が白質変性の源であることが指摘されている一方、最初に生じる白質病変の少なくとも一部は、Aβペプチドが局所に及ぼす毒性を含む他のメカニズムに起因することも指摘していることを踏まえ、AD患者(12例)とコントロール(10例)の白質中可溶性Aβ濃度を比較検討した。

 ADおよびコントロールの剖検例の脳の前頭前野(Brodmann領域9)と中心後回(Brodmann領域1、2および3)から新鮮凍結白質サンプルを採取し、ELISA法により可溶性Aβ-42およびAβ40濃度を測定。総皮質由来神経変性プラークの重症度を中前頭回、上側頭回、中心前野、下頭頂、海馬(CA1)、海馬支脚、嗅内皮質、内側嗅領皮質、下側頭回、扁桃体、基底前脳の各皮質領域において個別に評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・AD患者のサンプルはコントロールと比較して、白質中の可溶性Aβ-42およびAβ-40濃度のいずれも高かった。
・両群とも、Aβ-40濃度は白質の領域による差はみられなかったが、Aβ-42濃度は中心後回に比べ前頭前野領域で高かった。
・総皮質由来神経変性プラークの重症度を統計学的に調整した後も、可溶性Aβ-42およびAβ-40の群間差は維持され、白質Aβペプチドが灰白質の原線維アミロイド病変とは独立して蓄積し、単に全体のアミロイド量を反映しているわけではないことが示唆された。
・これらの結果から、ADにおける白質変性の発生メカニズムの解明につながることが示唆された。

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(ケアネット)