統合失調症の陰性症状改善は何と相関するか

提供元:ケアネット

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公開日:2014/09/04

 

 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のKenneth L. Subotnik氏らは、新規発症の統合失調症の陽性および陰性症状に対する、第二世代抗精神病薬のアドヒアランスの影響について調べた。その結果、高い服薬アドヒアランスは陰性症状レベル低下と関連しており、これは陽性症状との関連性で説明しうる、とまとめている。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年8月6日号の掲載報告。

 検討は、初回エピソード統合失調症患者で、12ヵ月にわたり第二世代経口抗精神病薬リスペリドンの投与を受けた64例を対象に行われた。症状について、陰性症状評価尺度(SANS)と陽性症状評価尺度(SAPS)を用いて3ヵ月ごとに評価を行い、治療期間(12ヵ月)中3ヵ月ごとに、服薬アドヒアランスと症状の相関性をピアソン係数で調べ、考えられる相関要因について交差的時間差パネル分析で推論を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・予想どおり、抗精神病薬服用アドヒアランスが高いほど、同時にみられる現実歪曲(SAPSの妄想および幻覚項目の平均値)のレベルは概して低かった。
・3ヵ月間のベースライン期間におけるアドヒアランスが高いと、最初の1年間の外来時における意欲消失-無気力および会話能力低下のレベルは概して低かった。
・しかしながら服薬アドヒアランスと、意欲消失-無気力および会話能力低下との有意な関連は認められなかった。
・相関係数に基づく交差的時間差パネル分析により、初期の服薬アドヒアランスと会話能力レベル低下との因果関係が明らかになった。
・検証試験の結果、現実歪曲を介した間接的経路により、服薬の非アドヒアランスと会話能力低下との関係性が確認された。

 これらの所見は、第二世代抗精神病薬の陰性症状に対する効果は、陽性症状の低下を介してもたらされている可能性を示唆するものである。

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(ケアネット)