入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか

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 英国では、精神科病棟への入院の代替として、危機解決在宅医療チームによる地域ケアの利用がますます増えている。しかし、これらのチームによるケアが自殺率にどのような影響を及ぼすかについて、系統的な分析は行われていない。英国・マンチェスター大学のIsabelle M Hunt氏らは、危機解決在宅医療チームによる治療を受けた患者および精神科入院患者について、自殺率ならびに自殺者数の比較検討を行った。また、家庭または病院で自殺し、死亡した患者の臨床的特徴を評価した。Lancet Psychiatry誌オンライン版2014年6月18日号の報告。

 2003年~2011年の国民保健サービス(NHS)データを基に、危機解決在宅医療チームによる治療を受けた患者または精神科入院患者のうち、自殺により死亡した18歳以上の患者を対象に後ろ向きに縦断的解析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・1,256例(全自殺患者の12%)は、危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた(年間平均140例)。
・分母が異なるためグループ間での直接比較は困難であるが、危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた患者(1万エピソードあたり:14.6例)は、精神科入院患者(同: 8.8例)よりも平均自殺率が高い傾向にあった。
・危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた患者における年間平均自殺者数は、80例(2003、2004年)から163例(2010、2011年)へと増加しており、調査期間の後半数年間では、精神科入院患者の2倍程度となっていた。
・しかし、危機解決在宅医療チームによるケアを受ける患者は増加しており、調査の前半と後半の2年間を比較すると自殺率自体は平均18%減少していた。
・危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた自殺患者のうち548例(44%)は一人暮らしであった。また、594例(49%)は、最近不幸なライフイベントを経験していた。
・危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた患者の3分の1(428例)では、精神科病棟から退院後3ヵ月以内に自殺が起きていた。

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(ケアネット 鷹野 敦夫)

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