アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか?

提供元:ケアネット

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公開日:2013/06/07

 

 アミロイドβ(Aβ)堆積はアルツハイマー病の特徴の1つである。Vincent Dore氏らは、アルツハイマー病患者と健常高齢者を対象とした断面研究および長期追跡の解析から、Aβが同疾患ステージの早期で認知障害を呈する前から灰白質萎縮を加速することを明らかにした。また海馬、後帯状、楔前部領域での萎縮の速度が速いことも明らかにした。得られた所見を踏まえて著者は、「早期ステージで抗Aβ治療を行うことは高い効果を得られる見込みが高いという考え方を支持するものである」と報告している。JAMA Neurology誌オンライン版2013年5月27日号の掲載報告。

 アルツハイマー病発症前の段階で、個人のリスクを同定することは、不可逆的なシナプスやニューロンの損失が起きる前に早期の治療介入が可能となるため、興味深い重大研究である。そこでDore氏らは、PiB-PET(Pittsburgh compound B positron emission tomography)検査にてアルツハイマー病の病理学的評価を行った無症候性の被験者を対象に、Aβ堆積と灰白質萎縮および認知障害との関連を調べた。

 被験者は、オーストラリア・メルボルンのオースティン病院で集められたAustralian Imaging, Biomarkers, and Lifestyle Study of Agingのコホートからアルツハイマー病患者40例と、対照の健常高齢者93例で、全員が神経心理学的評価とMRIおよびPiB-PET検査を受けた。また、対照群のうち54例は、18ヵ月後と36ヵ月後に再度の神経心理学的評価を受けた。主要評価項目は、皮質表面で行った局所解析による、皮質厚とPiB蓄積、エピソード記憶との関連であった。

 主な結果は以下のとおり。

・対照のPiB蓄積陰性(NC-)群と比較して、対照のPiB蓄積陽性(NC+)群では、楔前部領域と海馬において皮質厚の有意な減少がみられ、エピソード記憶との関連が認められた。
・また皮質厚は、NC+群の新皮質PiB蓄積と負の相関がみられた。
・長期解析の結果、NC+群の側頭葉と海馬における灰白質萎縮がより速いことが示された。灰白質萎縮は、NC+群では時間とともに、とくに側頭葉における拡大が認められた。
・以上のように、無症候性被験者において、Aβ堆積が灰白質萎縮および記憶障害と関連していることが明らかになった。
・また灰白質萎縮の早期徴候が、海馬と後帯状、楔前部領域で検出された。さらに、疾患の進行とともに灰白質萎縮は側頭葉で拡大していった。
・これらの所見は、Aβ堆積は良好なプロセスではなく、早期ステージでの抗Aβ治療による介入は効果的となる見込みが高いとの考え方を支持するものであった。

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(ケアネット)