てんかん患者、脳内ネットワークの一端が明らかに

提供元:ケアネット

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公開日:2013/03/01

 

 てんかん症状を呈する脳内ネットワークの特性の一端が明らかにされた。チェコ共和国・Central European Institute of TechnologyのIvan Rektor氏らが、てんかん患者と健常者の脳内を機能的MRIにて比較検証した結果で、てんかん患者では脳中央部にある被殻と表面部にある皮質との機能的結合(FC)が阻害されていることが明らかになったという。Rektor氏は「このことが大脳基底核(BG)機能の変質に反映している可能性がある」と示唆した。Brain Topography誌オンライン版2013年2月12日号の掲載報告。

 てんかんは、安静時においても被殻と皮質の間の結合性に影響を及ぼす可能性が指摘されていた。被殻は、大脳基底核安静時ネットワーク(BG-RSN)の一部であり、健常被験者ではデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)と逆相関の関連がみられる。研究グループは、DMNに関与する皮質領野である被殻、およびBG-RSNに関与する皮質領野の主要な体運動性皮質における、脳の機能的結合を調べることを目的とした。てんかんを有する患者と健常対照者の入手データを用いて比較した。

 主な解析手順、結果は以下のとおり。

・てんかん患者24例(外側頭葉てんかん14例、側頭葉てんかん10例)と健常対照者10例について、機能的MRI(fMRI)を行った。
・1.5 T Siemens Symphonyスキャナーを用いて安静時fMRIデータを入手し、独立的成因分析のためにGroup ICA of fMRI Toolbox(GIFT)プログラムを用いて解析した。被殻と主要な体運動性皮質との機能的結合について、BG-RSN内の被殻の結合性を評価した。
・また第2レベル解析では、SPMソフトウエアを使用しグループ間の差異を評価した。
・てんかん患者では健常対照者と比較して、DMNでの被殻と脳領域との逆相関性が有意に低かった。
・相関性は、健常対照者では陰性方向へと結びつくものであったが、外側頭葉・側頭葉てんかん患者では陽性方向への結びつきがみられた。
・てんかん患者の大脳基底核の機能的結合の阻害は、健常対照者と比較して、左右の被殻と左右の体運動性皮質との結合性、すなわちBG-RSNに関与している部位との結合性が有意に減少していることによって例証された。

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(ケアネット)