口腔粘膜の固定薬疹、鑑別診断で考慮すべきことは?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/10/25

 

 口腔粘膜の固定薬疹(FDE)の特性については、ほとんど知られていない。トルコ・イスタンブール大学のOzkaya E氏は、臨床的に注目すべきポイントおよび鑑別診断を提示するため後ろ向き断面研究を行った。その結果、主要所見として口腔内局所のアフタ性病変や重度の水疱性/びらん性病変と、残存性色素沈着の欠如は、鑑別診断を難しくする可能性があると述べた。そのうえで、女性患者における月経困難に関連した非ステロイド性抗炎症薬による口腔内FDEと、月経が引き起こす単純ヘルペス感染症によるもの、およびベーチェット病由来の局所のorogenitalなアフタFDAとを区別することが、とくに疾患頻度の高い国では不適切な治療を避けるために重要であると結論した。J Am Acad Dermatol誌オンライン版2012年10月5日号の掲載報告。

 後ろ向き断面研究は、口腔内FDEを有する61例を対象とした。原因となる薬品は経口誘発試験で確認した。

 主な結果は以下のとおり。

・被験者61例(男性23例、女性38例)の年齢範囲は7~62歳であった。
・主要な誘発因子は、ナプロキセン(商品名:ナイキサン)とコトリモキサゾールであった。
・14例(23%)の患者は、口腔内の局所病変が、主として舌背上や硬口蓋にみられた。舌背上の局所病変は、コトリモキサゾールの関連が統計的に有意であった。
・形態学的には、水疱性/びらん性病変47例、アフタ性12例、紅斑性2例が認められた。
・被験者の相当数が、単純ヘルペスとベーチェット病の診断歴があって紹介されてきた患者であり、何人かは、アシクロビル(商品名:ゾビラックスほか)とコルヒチン(商品名:コルヒチン)の長期治療を受けていた。

 なお筆者は、本検討は後ろ向きに行われたという点で、結果には限りがあると言及している。

(ケアネット)

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