内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:140

1・2回目ファイザーワクチンなら、3回目はモデルナで感染予防効果増/東大

 ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンによる1次接種(1回目および2回目接種)完了者が、3回目のブースター接種としてファイザー製ワクチンを接種するよりも、モデルナ製ワクチンを接種するほうがその後の新型コロナウイルス感染率が低いことを、東京大学大学院医学系研究科の大野 幸子氏らが発表した。これまで1次接種とブースター接種のワクチンの組み合わせによって効果が異なる可能性が示唆されていたが、実際の感染予防効果の差は明確ではなかった。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2022年9月18日号掲載の報告。

差し込む自然光が多い室内環境は人を幸福にする

 住む所を探すとき、ほとんどの人は薄暗い所よりも開放的で風通しの良い所を好むはずだ。だが、それはなぜなのか。チリ大学(チリ)サンティアゴ校のJaviera Morales-Bravo氏と英シェフィールド大学のPablo Navarrete-Hernandez氏が、その答えとなり得る研究結果を発表した。同研究では、自然光がたくさん入る家は、住む人をより幸せな気持ちにさせることが明らかになったという。研究結果の詳細は、「Building and Environment」9月号に掲載された。

SSRIによる消化器系副作用リスク~ネットワークメタ解析

 うつ病治療では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が広く用いられている。SSRIの最も一般的な副作用は、消化器系に関連する症状であり、うつ病患者のコンプライアンス低下につながる。そのため、消化器系に対するSSRIの安全性を評価することは重要である。これまで、SSRIと他の抗うつ薬における消化器系副作用リスクを比較したいくつかのメタ解析が報告されているが、中国・Inner Mongolia Medical UniversityのZhuoyue Wang氏らは、各SSRIの消化器系副作用リスクを比較するためネットワークメタ解析を実施した。その結果、消化器系副作用リスクについては、fluoxetineが最も明確な利点を示し、セルトラリンは消化器系副作用リスクが最も高い可能性があることを報告した。Therapeutics and Clinical Risk Management誌2022年8月13日号の報告。

医師のがん検診受診状況は?/1,000人アンケート

 定番ものから自費で受ける最先端のものまで、検査の選択肢が多様化しているがん検診。CareNet.comが行った『がん検診、医師はどの検査を受けている?/医師1,000人アンケート』では、40~60代の会員医師1,000人を対象に、男女別、年代別にがん検診の受診状況や、検査に関する意見を聞いた。その結果、主ながん種別に受ける割合の多い検査が明らかとなったほか、今後受けたい検査、がん検診に感じる負担など、さまざまな角度から意見が寄せられた(2022年8月26~31日実施)。

がん患者は血圧140/90未満でも心不全リスク増/東京大学ほか

 がん患者では、国内における正常域血圧の範囲内であっても心不全などの心血管疾患の発症リスクが上昇し、さらに血圧が高くなるほどそれらの発症リスクも高くなることを、東京大学の小室 一成氏、金子 英弘氏、佐賀大学の野出 孝一氏、香川大学の西山 成氏、滋賀医科大学の矢野 裕一朗氏らの研究グループが発表した。これまで、がん患者における高血圧と心血管疾患発症の関係や、どの程度の血圧値が疾患発症と関連するのか明らかではなかった。Journal of clinical oncology誌オンライン版2022年9月8日号掲載の報告。  本研究では、2005年1月~2020年4月までに健診・レセプトデータベースのJMDC Claims Databaseに登録され、乳がん、大腸・直腸がん、胃がんの既往を有する3万3,991例(年齢中央値53歳、34%が男性)を解析対象とした。血圧降下薬を服用中の患者や、心不全を含む心血管疾患の既往がある患者は除外された。主要アウトカムは、心不全の発症であった。

日本人の脂質値の推移とコントロールの重要性(解説:三浦 伸一郎 氏)

 2022年8月23・30日号のJAMA誌に米国成人の脂質値の推移の研究が報告された。総コレステロール値は年齢調整後、2018年までの10年間で有意に改善していたが、注目されることはアジア人では改善を認めなかったことである。  日本人の脂質値の推移は、「健康日本21(第二次)」の計画の途中経過を見ると、2019年で血清総コレステロール値が240mg/dL以上の割合は男性12.9%、女性22.4%であった(「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」厚生労働省)。この10年間でみると、その割合は、男性で有意な変化はなかったが、女性では有意に増加していた。「健康日本21(第二次)」の脂質異常症(40~79歳)の減少目標は、総コレステロール240mg/dL以上の割合が男性10%、女性17%であり、かなり乖離があるのが現状である。

血液型が脳梗塞リスクに影響?

 血液型によって虚血性脳卒中(脳梗塞)のリスクに差がある可能性を示唆する研究結果が報告された。米メリーランド大学のBraxton Mitchell氏らの研究によるもので、論文が「Neurology」に8月31日掲載された。特に非高齢期での脳梗塞リスクへの影響が大きいという。  Mitchell氏らの研究は、非高齢者の脳梗塞リスクに関する遺伝子変異の影響を、これまでの研究を統合して分析するメタ解析という方法で検討したもの。その研究から、血液型と脳梗塞リスクとの関連性が浮かび上がった。具体的には、O型の人はA型やB型、AB型の人よりも脳梗塞のリスクがやや低いことが示された。反対にA型の人は脳梗塞が多く、特に60歳未満での発症との強い関連が見られ、他の血液型の人よりも16%リスクが高かった。ただしMitchell氏は、「自分がA型だからといって心配することはない。血液型は変更できないが、脳梗塞のリスクの中には変更可能なさまざまな因子が含まれている。例えばタバコを吸わないこと、習慣的に運動すること、健康的な食事を取ること、高血圧や糖尿病などの脳梗塞のリスクを高める疾患があればそれをコントロールすることで、リスクを抑えられる」と話している。

自営業の女性には健康な人が多い

 被雇用者ではなく自営業の女性は、心血管疾患のリスクが低いことを示唆する研究結果が、「BMC Women's Health」に7月23日掲載された。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)女性健康センターのKimberly Narain氏とSedina Dzodzomenyo氏が、4,600人以上の米国の女性有職者を対象に行った研究から、自営業者は運動量が多く、肥満、高血圧、糖尿病の有病率が低いことが分かった。  論文の上席著者であるNarain氏は、「われわれの研究結果は、女性が自営業に就くことで健康になるという因果関係の証明ではない。しかし、自営業という働き方が、女性の心臓に良い影響を与える可能性を示している。自営業者は被雇用者よりも働く日時を自由に設定しやすいが、そのようなポジティブな側面を被雇用者の労働条件にも反映することを検討すべきかもしれない」と述べている。  Narain氏らの研究には、米ミシガン大学が行っている、就労や定年退職と健康に関する研究(Health and Retirement Study;HRS)のデータが用いられた。2016年にHRSに登録された4,624人の女性有職者(16.2%が自営業者)の就労形態と、心血管疾患リスク因子の有病率やメンタルヘルス、および健診受診率などとの関連を解析。その結果、自営業の女性は被雇用の女性に比べて活動的で(週に2回以上運動している割合が80.4%対72.0%)、肥満(31.7%対41.3%)や高血圧(19.1%対27.6%)、糖尿病(11.5%対14.3%)の有病率が低かった。

紅茶を飲むと長生きできる?

 1日2~3杯の紅茶を飲むと早期死亡リスクが低減する可能性のあることが、新たな研究で示された。英国の大規模バイオバンク研究であるUKバイオバンクへの参加者50万人弱の男女を対象とした研究で、紅茶を飲まない人に比べて1日2杯以上飲む人では全死亡リスクが9~13%低いことが明らかにされた。米国立がん研究所(NCI)がん疫学・遺伝学部門のMaki Inoue-Choi氏らが実施したこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に8月30日掲載された。  この研究では、UKバイオバンクの参加者である40~69歳の英国人49万8,043人を対象に、紅茶の摂取と全死亡および原因特異的な死亡(がん、全心血管疾患、虚血性心疾患、脳卒中、呼吸器疾患)との関連が検討された。これらの対象者は、2006〜2010年の試験登録時にベースライン調査を完了しており、89%が紅茶を飲んでいると回答していた。追跡期間は中央値で11.2年だった。

パンデミック中に糖尿病患者の受診頻度が有意に減少

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに伴い、定期的に受診していた糖尿病患者の受診や処方頻度が有意に減少したことが明らかになった。特に女性患者に、より大きな変化が認められるという。福岡大学医学部衛生・公衆衛生学教室の前田俊樹氏らの研究によるもので、詳細は「Medicine」に7月22日掲載された。  COVID-19パンデミック発生後に外来受診者数が減少したことについては、既に複数の報告がある。ただしそれらの研究の多くは、パンデミック前後での受診者数を比較したものであり、パンデミック以前から定期的に受診をしていた患者の受療行動の変化を検討した研究は少ない。糖尿病は受診中断が疾患コントロールの悪化につながり、合併症リスクを押し上げるという疾患特性があるため、患者の受療行動の変化の把握が重要と言える。そこで前田氏らは、糖尿病診療にかかわる医療費請求データを縦断的に解析して、この点を検討した。