消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:73

薬剤耐性菌の菌血症による死亡、国内で年8千例超

 これまで、わが国における薬剤耐性による死亡者数は明らかになっていなかった。今回、国立国際医療研究センター病院の都築 慎也氏らは、薬剤耐性菌の中でも頻度が高いメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とフルオロキノロン耐性大腸菌(FQREC)について、日本におけるそれらの菌血症による死亡数を検討した。その結果、MRSA菌血症の死亡は減少している一方で、FQREC菌血症による死亡が増加していること、2017年には合わせて8,000例以上が死亡していたことがわかった。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2019年12月1日号に掲載。

飲酒と喫煙に対する健康政策はがん死を減らせるのか

 長期の飲酒と喫煙はがんの危険因子として認識されているが、飲酒と喫煙に対する公衆衛生政策ががんの死亡率に与える影響は検討されていない。今回、オーストラリア・メルボルン大学のHeng Jiang氏らが、オーストラリアにおける1950年代~2013年の飲酒および喫煙に関する政策とがん死亡率の変化との関連を検討した結果、いくつかの政策変更が飲酒・喫煙の変化とその後20年間のがん死亡率の変化に関連することが示された。BMC Medicine誌2019年11月号に掲載。

抗がん剤の臨床試験の厳密性を審査報告書と論文で比較した(解説:折笠秀樹氏)-1148

2014~16年にEMA(欧州医薬品庁)で認可された新規抗がん剤32品を対象にして、承認審査の評価資料である臨床試験54件の厳密性を審査報告書と論文から評価した。がん臨床試験では、全生存率(OS)がゴールドスタンダードとされる。OSで有意な結果を得るのは至難なので、厳密な臨床試験を実施する傾向がある。そこで、OSを主要評価項目に設定した試験のほうがIntegrity(完全性と訳されるが、私は厳密性が良いと思う)は高いと思われていた。コクランのバイアスリスク評価ツールを用いて、そのことが明らかにされた。無増悪生存率(PFS)を主要評価項目に設定した試験に比べて、とくにアウトカム評価が厳密であった。

血液1滴で13種のがん検出、2時間以内に99%の精度で―東芝

 東芝は11月25日、血液中のマイクロRNAを使ったがん検出技術を開発したと発表した。同社によると、独自のマイクロRNA検出技術を使った健康診断などの血液検査により、生存率の高いStage 0の段階でがんの有無を識別することが期待できるという。早期の社会実装に向け、来年から実証試験を進めていく。  リキッドバイオプシーの解析対象となるマイクロRNAを巡っては、2014年に「体液中マイクロRNA測定技術基盤開発プロジェクト」が始動。国立がん研究センターや国立長寿医療研究センターが保有するバイオバンクを活用し、膨大な患者血清などの検体を臨床情報と紐づけて解析。血中マイクロRNAをマーカーとした検査システムの開発が進んでいる。この研究成果をベースに、国内メーカー4社が、日本人に多い13種のがんについて、血液検体から全自動で検出するための機器や検査用試薬、測定器キットなどの開発に取り組んでいる最中だ。

切除不能肝細胞がんへのアテゾリズマブ+ベバシズマブ、全死亡リスクが42%低下(IMbrave150)/ESMO Asia 2019

 全身薬物療法を受けていない切除不能の肝細胞がん(HCC)患者に対して、アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)とベバシズマブ(同:アバスチン)の併用をソラフェニブ単剤と比較した第III相IMbrave150試験において、主要評価項目である全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)のいずれにおいても統計学的に有意な改善が示された。11月23日、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia)2019にて発表された。  IMbrave150試験は、全身薬物療法を受けていない切除不能なHCC患者を対象とした多施設共同オープンラベル無作為化第III相試験。501例をアテゾリズマブ(1日目に1,200mg静脈内投与、3週ごと)とベバシズマブ(1日目に15mg/kg静脈内投与、3週ごと)の併用群、ソラフェニブ(1〜21日目に400mg/回を1日2回経口投与、3週ごと)単剤群に2:1で割り付け、両群とも主治医判定で病勢進行もしくは忍容できない毒性出現のいずれかまで継続した。主要評価項目は OSとRECIST v1.1 に基づく中央判定によるPFSで、副次評価項目は、RECIST v1.1および HCCmRECISTに基づく主治医判定による奏効率、無増悪期間、奏効期間、患者報告アウトカム、安全性、薬物動態であった。

赤肉摂取減らしても心血管代謝・がん死亡に効果なし?

 赤肉の摂取量を減らした場合、臨床的に重篤なアウトカムに効果があるかどうかを検討した無作為化研究はほとんどない。今回、カナダ・McMaster大学のDena Zeraatkar氏らの無作為化研究の系統的レビューから、エビデンスの確実性は低いが、赤肉を制限した食事が主な心血管代謝アウトカムとがん死亡および発症に対して、ほとんどまたはまったく影響しない可能性が示唆された。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2019年10月1日号に掲載。

NASHに有効? resmetiromが肝脂肪量を減少/Lancet

 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療において、resmetirom(MGL-3196)はプラセボに比べ、肝臓の脂肪量を相対的に減少させることが、米国・Pinnacle Clinical ResearchのStephen A. Harrison氏らが行ったMGL-3196-05試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年11月11日号に掲載された。NASHは、肝臓の脂肪化、炎症、肝細胞障害、進行性の肝線維化で特徴付けられる。resmetiromは、肝臓に直接作用し、経口投与で活性化する甲状腺ホルモン受容体β活性化薬であり、肝臓の脂肪代謝を促進し、脂肪毒性を低減することでNASHが改善するよう設計されているという。

C型肝炎ウイルスの薬剤耐性変異、世界規模で検証

 直接作用型抗ウイルス治療薬(DAA)の登場により、C型肝炎の治療は大幅に改善された。しかしその治療奏効率は、C型肝炎ウイルス(HCV)の薬剤耐性変異により低下する可能性がある。現在、DAAにはNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、NS5A阻害薬、NS5Bポリメラーゼ阻害薬があり、それぞれグレカプレビル、ピブレンタスビル、ソホスブビルなどが臨床で使用されている。今回、それらに対する耐性変異について、世界的状況を中国・復旦大学のZhenqiu Liu氏らがメタ解析により検討した。その結果、114個の耐性変異を同定し、頻度や種類は日本、米国、ドイツ、タイ、英国で多いことを示した。Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2019年11月1日号掲載の報告。

大腸内視鏡検査陰性、次回は本当に10年後でいいのか?/BMJ

 大腸内視鏡スクリーニング検査で陰性だった受診者集団について、フォローアップ5年以内にあらゆる腫瘍が20%超で検出されたが、進行がん(advanced neoplasm)の検出は10年以内でもまれであることが明らかにされた。ドイツ・German Cancer Research Center(DKFZ)のThomas Heisser氏らによるシステマティック・レビューとメタ解析の結果で、著者は「示された所見は、大腸内視鏡スクリーニング検査の陰性者について、次回受診は現在の推奨間隔で十分である可能性を示すものであった。さらなる検討を行い、適切な勧告とするため経験的基礎を強化し、受診間隔の延長についてもさらに調査する必要がある」と述べている。大腸内視鏡スクリーニングで大腸がんの前兆が認められない標準的リスクの受診者について、米国や欧州の主要なガイドラインでは、次回スクリーニングは10年後を推奨している。しかし、この受診間隔を支持するエビデンスは限定的で、勧告の大半が医療費支払いデータやがんレジストリを根拠としたものであり、勧告に基づくフォローアップスクリーニングのアウトカムデータはほとんどなかった。BMJ誌2019年11月13日号掲載の報告。

ポリフェノールは死亡率も下げるか~高山スタディ

 日本人はコーヒーや緑茶から多くポリフェノールを摂取している。ポリフェノール摂取による健康ベネフィットは疫学研究で示されているが、日本人における死亡率との関連は報告されていない。今回、お茶の水女子大学の田口 千恵氏らが高山コホート研究で調査したところ、食事によるポリフェノール総摂取量が全死亡率、心血管疾患および消化器疾患による死亡率と逆相関することが示された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2019年11月15日号に掲載。