循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:197

“新型タバコ”でタバコの害なくせますか?

 世界保健機構(WHO)によれば、世界では年間700万人がタバコ類の使用により命を落としている。また、禁煙の早期実施により肺がんの発生が少なくなることも明らかになり、タバコを巡る規制は世界的に強まっている。そのような中、電子タバコや非燃焼加熱式タバコ(Heat–Not-Burn、以下HNB)といった“新型タバコ”の市場が拡大している。

出血こそが問題なのだ:減量のメリット(解説:後藤信哉氏)-775

欧米では動脈硬化の初期症状として、冠動脈疾患が出現することが多い。アジア人では脳血管疾患が多いが、脳血管疾患は梗塞と出血の境界線が明確でないので抗血栓薬の開発は困難である。出血合併症の多い抗凝固薬が、血栓イベントの既往のない非弁膜症性心房細動に使用されているのは筆者には奇異であるが、ランダム化比較試験のエンドポイントとされた脳卒中と臨床家が恐れる心原性脳塞栓を混同させたマーケット戦略、巨大企業による徹底した情報管理の勝利であった。しかし、第III相試験にて示されたDOACによる年率3%の重篤な出血合併症は実臨床においても事実であろうから、特許切れまで企業が情報管理を継続できるか否かには疑問も残る。

コーヒーは有益か?有害か?/BMJ

 コーヒーの飲用は、一般的な量であれば全般に安全で、1日3~4杯の飲用でさまざまな健康転帰のリスクが大幅に低減され、有害性よりも利益が勝る可能性が高いことが、英国・サウサンプトン大学のRobin Poole氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2017年11月22日号に掲載された。コーヒーは世界的に消費量が多く、とくに慢性肝疾患における利益の可能性が高いとされるが、コーヒー飲用の利益や有害性との関係は多岐にわたる。コーヒーと健康との関連を理解することは、介入研究に先立つ、有害性との関連の探索において重要であるとされている。

人工弁選択のLabyrinth(解説:今中 和人氏)-774

人工弁選択は、要するに抗凝固合併症の可能性と劣化・再手術の可能性の選択である。古いテーマゆえ膨大な論文があるが、生体弁の改良をはじめ多くのconfounding factorで見解は一定せず、2014年にAHA/ACCが「大動脈弁置換(AVR)65歳、僧帽弁置換(MVR)70歳」とのガイドラインを発行した後も未決着の感が強い。本論文はカリフォルニア州の142施設が18年間に初回の単弁置換をした症例の追跡調査で、個々のデータは、とくに日本胸部外科学会の全国集計と比較すると興味深い。

英国で心不全の発生率は低下するも疾病負荷は増大/Lancet

 心不全の発生率は緩やかに低下しているにもかかわらず、英国では心不全の疾病負荷が増加しており、最も多いがん4種(肺がん、乳がん、大腸がん、前立腺がん)の合計と同じであった。英国・オックスフォード大学のNathalie Conrad氏らが、400万人に及ぶ地域住民を対象とした大規模コホート研究の結果、報告した。資源計画や研究の優先順位付けには、心不全の発生に関する大規模かつ最新の地域住民に基づいた研究が必要だが、エビデンスが不足していたことから、今回の検討を行ったという。Lancet誌オンライン版2017年11月21日号掲載の報告。

心臓外科手術の赤血球輸血、制限的 vs.非制限的/NEJM

 死亡リスクが中等度~高度の心臓外科手術を受ける成人患者に対し、制限的赤血球輸血は非制限的赤血球輸血に比べ、術後複合アウトカム(全死因死亡・心筋梗塞・脳卒中・透析を要する腎不全の新規発症)について非劣性であることが示された。検討において1単位以上赤血球輸血の実施率は、制限的赤血球輸血が有意に低かった。カナダ・セント・マイケルズ病院のC.D. Mazer氏らが、5,243例を対象に行った多施設共同無作為化非盲検非劣性試験の結果で、NEJM誌2017年11月30日号で発表した。これまで心臓外科手術を行う際の赤血球輸血戦略について、制限的実施と非制限的実施の臨床的アウトカムへの影響は明らかになっていなかった。

競技スポーツ中の突然の心停止の頻度は?/NEJM

 競技スポーツ中における突然の心停止の発生率は、運動選手10万人年当たり0.76件であり、競技中の構造的心疾患による突然の心停止の頻度は低いことが、カナダ・トロント大学のCameron H. Landry氏らの調査で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年11月16日号に掲載された。スポーツ活動中の突然の心停止の予防を目的とする事前スクリーニング・プログラムにより、リスクを有する運動選手の同定が可能と考えられるが、これらのプログラムの有効性に関しては議論が続いている。

アスピリン+リバーロキサバンで冠動脈疾患の死亡減少/Lancet

 安定冠動脈疾患患者の治療において、アスピリンに低用量リバーロキサバンを併用すると、主要血管イベントが減少し、大出血の頻度は増加するもののベネフィットは消失せず、死亡が有意に低減することが、カナダ・マックマスター大学のStuart J Connolly氏らが行ったCOMPASS試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年11月10日号に掲載された。冠動脈疾患は世界的に合併症や死亡の主要な原因で、急性の血栓イベントの結果として発症する。Xa因子阻害薬やアスピリンは血栓イベントを低減させるが、安定冠動脈疾患患者におけるこれらの併用や、個々の薬剤の比較検討は行われていないという。

破裂性腹部大動脈瘤への血管内修復術、3年時評価で生存延長/BMJ

 破裂性腹部大動脈瘤が疑われる患者の治療戦略について、血管内治療と開腹手術では、どちらが臨床的効果および費用対効果に優れるのか。無作為化試験「IMPROVE試験」にて検討された同評価の3年時点の結果を、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのJanet T. Powell氏ら同研究グループが発表した。結果は、血管内治療が開腹手術よりも生存期間を延長し、質調整生存年(QALY)の獲得が大きく、再手術率は同程度であり、コストは低く、費用対効果に優れることが示された。研究グループは、「今回の結果は、緊急血管内修復がより広く行われるよう、血管内治療の実施を増やすことを支持するものであった」とまとめている。BMJ誌2017年11月14日号掲載の報告。