英国で心不全の発生率は低下するも疾病負荷は増大/Lancet

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英国で心不全の発生率は低下するも疾病負荷は増大/Lancetのイメージ

 心不全の発生率は緩やかに低下しているにもかかわらず、英国では心不全の疾病負荷が増加しており、最も多いがん4種(肺がん、乳がん、大腸がん、前立腺がん)の合計と同じであった。英国・オックスフォード大学のNathalie Conrad氏らが、400万人に及ぶ地域住民を対象とした大規模コホート研究の結果、報告した。資源計画や研究の優先順位付けには、心不全の発生に関する大規模かつ最新の地域住民に基づいた研究が必要だが、エビデンスが不足していたことから、今回の検討を行ったという。Lancet誌オンライン版2017年11月21日号掲載の報告。

英国のプライマリケア400万人のデータを解析
 研究グループは、年齢および性別の点で英国を代表する大規模コホートであるプライマリケアのデータベース「Clinical Practice Research Datalink」(CPRD)を用い、400万人の電子健康記録を解析した。

 適格患者は、2002年1月1日~2014年12月31日の期間に、CPRDの品質管理に準じた十分な記録がなされ、CPRDとHES(Hospital Episodes Statistics)との連携が承認され、一般診療に12ヵ月以上登録された16歳以上の患者である。このうち、心不全を発生した患者(診断後2年以内)について、ベースライン時の特性(血圧、喫煙歴、BMI)の最新測定値、ならびに併存疾患、社会経済状態、民族性、地域に関する情報を電子健康記録から抽出した。2013年の欧州の標準人口(2013 European Standard Population)を用いて年齢および性別による標準化率を算出し、英国国勢調査の推計年央人口に、歴年、年齢および性別特異的発生率を適用して粗率を推定した。15歳以下に関しては、心不全はないと仮定し、全年齢(0歳以上)についての総発生率および有病率を報告した。

2002~14年で心不全発生率は7%低下するも、新規患者12%増、有病者数23%増
 年齢および性別で標準化した心不全発生率は、男女間では類似しており、2002年から2014年までで7%低下した(2002年:358例/10万人年→2014年:332例/10万人年、補正後発生比:0.93、95%信頼区間[CI]:0.91~0.94)。

 一方、英国で新たに心不全と診断された患者の推定絶対数は、主として人口増加や高齢化により12%増加し(17万727例→19万798例)、心不全の推定絶対有病者数はさらに多く、23%増加した(75万127例→92万616例)。

 また、心不全初回発生時の年齢は上昇し(平均年齢±SD:76.5±12.0歳→77.0±12.9歳、補正後差:0.79歳、95%CI:0.37~1.20)、併存疾患数も増加がみられた(平均疾患数±SD:3.4±1.9→5.4±2.5、補正後差:2.0、95%CI:1.9~2.1)。

 社会経済的に恵まれない患者は、富裕な患者より心不全を発症しやすく(罹患率比:1.61、95%CI:1.58~1.64)、最も富裕な患者よりも早期に心不全を発症する傾向にあった(補正後年齢差:-3.51歳、95%CI:-3.77~-3.25)。心不全初発年齢時の社会経済的な差は2002年から2014年にかけて拡大し、社会経済的に恵まれない患者は年齢が若くとも、より多くの疾患を有するようになっていた。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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