循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:152

チカグレロルの中和薬、第I相試験で有効性確認/NEJM

 チカグレロルの特異的中和薬であるPB2452について、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のDeepak L. Bhatt氏らは、健常ボランティアにおいて、チカグレロルの抗血小板作用を迅速かつ持続的に中和し、毒性は軽度であることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年3月17日号に掲載された。チカグレロルは経口P2Y12阻害薬で、急性冠症候群の患者や心筋梗塞の既往のある患者において、虚血性イベントのリスクを抑制するために、アスピリンとの併用で使用される。

院外心停止後蘇生のNSTEMIに、即時冠動脈造影は有効か/NEJM

 院外心停止後に蘇生に成功した非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)患者では、即時的に冠動脈造影を行い、必要に応じて経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行するアプローチは、神経学的回復後に遅延的にこれを施行する戦略と比較して、90日生存率の改善は得られないことが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのJorrit S. Lemkes氏らが実施したCOACT試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年3月18日号に掲載された。

学会でツイッター活用、日循の取り組みはどこまでバズったか?

 2019年3月29日から31日まで開催された第83回 日本循環器学会学術集会において、同学会は、日本国内の医学系学会では初めて、学術集会中の発表内容をツイッター上で公開した。  #19JCSのハッシュタグを付けて投稿されたツイート総数は、リツイートも含み、約8,000。公式アカウント@JCIRC_IPR(リンクhttps://twitter.com/JCIRC_IPR)のインプレッション数は期間中だけで77万を超え、フォロワーが2,000人ほどから4,000人強へ倍増した。

アフリカの黒人高血圧に有益な降圧薬2剤併用は/NEJM

 サハラ以南のアフリカに住む黒人高血圧患者において、アムロジピン+ヒドロクロロチアジドまたはペリンドプリルの併用療法は、ペリンドプリル+ヒドロクロロチアジド併用療法より6ヵ月時の降圧効果が大きく、有効であることが示されたという。ナイジェリア・アブジャ大学のDike B. Ojji氏らが、サハラ以南のアフリカ6ヵ国で実施した無作為化単盲検3群比較試験「Comparison of Three Combination Therapies in Lowering Blood Pressure in Black Africans:CREOLE試験」の結果を報告した。

新たな経皮・経中隔的僧帽弁置換術による初の試験結果【Dr.河田pick up】

 重症僧帽弁逆流症は、心不全などを引き起こし、死亡とも関連する。しかしながら、開心術による弁の置換や修復の候補とならない患者も存在する。経カテーテルによる僧帽弁修復は、解剖学的に適した患者であれば安全で有効な手段であるが、多くの患者は解剖学的に適さず、修復が難しかったり、不成功や一時的なものであったりする。本研究は経皮・経中隔的僧帽弁置換術の実用性について評価したもので、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のJohn G. Webb氏らがJournal of American College of Cardiology誌2019年3月号に発表した。なお、複数の著者は、今回の研究で用いられた人工弁を提供したEdwards Life Science社からコンサルフィーや研究サポートフィーを受けている。

薬剤抵抗性AF、薬剤変更とアブレーションでQOL比較/JAMA

 1種以上の抗不整脈薬またはβ遮断薬に対し治療抵抗性を示す症候性心房細動(AF)患者に対して、カテーテルアブレーションの施行は、異なる抗不整脈薬を投与し薬物療法を続けた場合と比べ、12ヵ月後の生活の質(QOL)が大幅に改善したことが示された。スウェーデン・ウプサラ大学のCarina Blomstrom-Lundqvist氏らが、155例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、JAMA誌2019年3月19日号で発表した。結果について著者は、「本試験は盲検化がなされていない点で限定的だが、カテーテルアブレーションはQOLに関しては優位な可能性がある」とまとめている。

症候性心房細動、即時的な洞調律復帰は必要か/NEJM

 発症後間もない(recent-onset)症候性心房細動で救急診療部を受診した患者では、待機的(wait-and-see)アプローチとしての遅延的カルディオバージョン(cardioversion)は、即時的カルディオバージョンに対し、4週時の洞調律復帰の達成が非劣性であることが、オランダ・マーストリヒト大学のNikki AHA Pluymaekers氏らが行ったRACE 7 ACWAS試験で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2019年3月18日号に掲載された。発症後間もない心房細動患者では、薬理学的または電気的カルディオバージョンにより、ただちに洞調律に復帰させるのが一般的である。しかし、心房細動は自然に終息することが多いため、即時的な洞調律復帰が必要かは知られていないという。

重症患者の薬物療法に間欠的空気圧迫法併用はVTE予防メリットなし(解説:中澤達氏)-1022

国際多施設共同無作為化比較試験(Pneumatic Compression for Preventing Venous Thromboembolism trial:PREVENT試験)で、静脈血栓塞栓症(VTE)の薬物予防法を受けている重症患者において、付加的な間欠的空気圧迫法を薬物予防法のみと比較したが、近位下肢深部静脈血栓症の発生は減少しなかった。急性期脳卒中患者(発症後3日以内、身体機能低下、身辺動作の自立度低下あり)を対象とするCLOTS 3試験(間欠的空気圧迫法によって、3.6%のリスク減少)とは異なる結果となった。

ivabradineのHFrEF患者への投与、日本人でも有用(J-SHIFT)/日本循環器学会

 慢性心不全では、高い心拍数が心血管系イベントの独立したリスク因子となる。既存薬による治療を行っても心拍数の高い患者において、HCN(Hyperpolarization-activated Cyclic Nucleotide-gated)チャネル阻害薬ivabradineの上乗せ投与の有用性・安全性が検証された。2019年3月29~31日に横浜で開催された、第83回日本循環器学会学術集会で、日本人HFrEF(左室駆出率が低下した心不全)患者を対象とした第III相J-SHIFT試験の結果を、九州大学大学院医学研究院循環器内科学 筒井 裕之氏が発表した。

CABG施行中の揮発性麻酔薬、臨床転帰を改善するか/NEJM

 待機的冠動脈バイパス移植術(CABG)中の麻酔では、揮発性麻酔薬による吸入麻酔は、静脈麻酔薬のみを用いる全静脈麻酔と比較して、1年時の死亡を抑制しないことが、イタリア・IRCCS San Raffaele Scentific InstituteのGiovanni Landoni氏らが実施したMYRIAD試験で示された。研究の詳細は、NEJM誌2019年3月28日号に掲載された。CABG施行中の麻酔は、一般に全静脈麻酔または揮発性麻酔薬による吸入麻酔と静脈麻酔薬の併用で導入される。揮発性麻酔薬は心保護作用を有し、CABG施行患者の臨床転帰を改善する可能性が示唆されている。