泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:34

去勢感受性前立腺がん、アパルタミド+アビラテロン vs.ADT+アビラテロン vs.アパルタミド単独(LACOG0415)/ASCO2020

 去勢感受性前立腺がん(CSPC)に対するアパルタミドとアビラテロンの併用とアンドロゲン遮断療法(ADT)とアビラテロンの併用、アパルタミド単独療法の3群を評価する試験結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、ブラジル・Hospital Israelita Albert EinsteinのFernando C. Maluf氏から発表された。本試験は、中南米の臨床試験グループ(LACOG)が実施した、オープンラベル無作為化非比較第II相試験である。

ダロルタミド、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がんのOSを延長(ARAMIS試験)/ASCO2020

 遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)に対するダロルタミドのアンドロゲン遮断療法(ADT)への併用は、ADT単独に比し全生存期間(OS)の延長を示すことが、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、フランス・Institut Gustave Roussy、University of Paris-SaclayのKarim Fizazi氏から発表された。  本試験は、二重盲検プラセボコントロールの第III相試験験であり、既に主要評価項目の無遠隔転移生存期間(MFS)の有意な延長に関しては2019年に報告されている。今回の発表は、OSに関する最終解析結果の報告である。

転移のない去勢抵抗性前立腺がんに対するエンザルタミドの有効性(解説:宮嶋哲氏)-1247

経口アンドロゲン受容体阻害薬であるエンザルタミドの有効性に関する第III相PROSPER試験の最終報告である。非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者(1,401例)を対象に、アンドロゲン除去療法(ADT)とエンザルタミド併用群を、ADTとプラセボ併用群と比較検討している。主要評価項目である無転移生存期間(metastasis free survival:MFS)に関しては2018年にすでに報告されているが、ADT+エンザルタミド併用群でADT+プラセボ併用群と比較して有意に低い転移および死亡のリスクを示していた(HR:0.29、95%CI:0.24~0.35、p<0.001)。

転移のない去勢抵抗性前立腺がん、エンザルタミド追加でOS延長/NEJM

 転移のない去勢抵抗性前立腺がんで、前立腺特異抗原(PSA)値の急激な上昇がみられ、アンドロゲン除去療法を受けている患者において、エンザルタミドの追加はプラセボと比較して、全生存(OS)期間を10ヵ月以上延長し、死亡リスクを27%低下させることが、米国・Weill Cornell MedicineのCora N. Sternberg氏らの検討「PROSPER試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年6月4日号に掲載された。エンザルタミドは経口アンドロゲン受容体阻害薬であり、本試験の初期結果では、無転移生存期間を有意に延長したと報告されている。この時点では、OSのデータは十分でなく、2つの治療群ともOS期間の中央値には到達していなかった。今回は、OSの3回目の中間解析(最終解析)の結果が報告された。

尿路上皮がんに対するアベルマブのメンテナンスがOS改善(JAVELIN Bladder 100)/ASCO2020

 局所進行または転移のある尿路上皮がん(mUC)に対する1次化学療法後のメンテナンス療法としてのアベルマブの投与が、ベストサポーティブケア(BSC)に比べ全生存期間(OS)を有意に延長することが報告された。これは、JAVELIN Bladder 100試験の第1回中間解析結果で、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)において、英国Barts Cancer InstituteのThomas Powles氏より発表された。本試験は、日本も参加した国際共同のオープンラベル第III相比較試験である。

進行前立腺がんへのレルゴリクス、持続的アンドロゲン除去療法で好成績/NEJM

 進行前立腺がん患者の治療において、レルゴリクス(進行前立腺がん治療薬としての適応は未承認)はリュープロレリンに比べ、テストステロンをより迅速かつ持続的に抑制し、主要有害心血管イベント(MACE)のリスクをほぼ半減させることが、米国・Carolina Urologic Research CenterのNeal D. Shore氏らの検討「HERO研究」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年6月4日号に掲載された。リュープロレリンなどの黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)作動薬の注射剤は、投与初期においてテストステロン値が上昇し治療効果発現の遅延が認められるが、前立腺がんにおけるアンドロゲン除去療法の標準薬とされる。一方、レルゴリクスは、経口ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体拮抗薬で、下垂体からの黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を迅速に阻害し、テストステロン値を低下させることが、複数の第I相および第II相試験で確認されている。

腎細胞がんに対するペムブロリズマブとレンバチニブの併用は有望な可能性(111/KEYNOTE-146試験)/ASCO2020

 転移を有する淡明細胞型腎細胞がん(RCC)で、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)やチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の前治療歴を有する症例に対し、ICIであるペムブロリズマブとTKIであるレンバチニブの併用療法が有望であることが示された。これは米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)、米国Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのChung-Han Lee氏より発表された。  本試験は多施設共同の単群オープンラベル第Ib/II相試験であり、すでに、ICI未治療のRCC症例30例での中間解析結果では、奏効率(ORR)70%、無増悪生存期間(PFS)中央値20ヵ月との報告がなされている。今回の発表は本試験の第II相試験の部分から、前治療としてのICI投与後に病勢進行がみられたRCC症例を対象としたものである。

アテゾリズマブによる筋層浸潤性尿路上皮がん術後療法の結果(IMvigor010試験)/ASCO2020

 筋層浸潤性尿路上皮がんに対する術後療法としての免疫チェックポイント阻害薬(ICI)・アテゾリズマブの有用性を検討したIMvigor010試験の結果が、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)で米国・Robert H. Lurie Comprehensive Cancer CenterのMaha H. A. Hussain氏より発表された。本試験は、筋層浸潤性尿路上皮がん(MIUC)に対する術後療法として初めてICIの有用性を検討した、日本も参加したオープンラベルの国際第III相試験である。

腎移植者への細胞治療、免疫抑制による感染症を抑制/Lancet

 生体腎移植患者の免疫抑制療法において、制御性細胞療法は施行可能かつ安全であり、標準的な免疫抑制薬による治療と比較して感染性合併症が少なく、1年目の拒絶反応の発生率はほぼ同等であることが、ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のBirgit Sawitzki氏らの検討「The ONE Study」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年5月23日号に掲載された。免疫抑制薬は臓器移植の適応を拡大したが、副作用や慢性拒絶反応のため、この10年、生着期間は横ばいだという。長期の免疫抑制薬の使用は合併症や医療費の増加をもたらすため、拒絶反応の予防においては、免疫抑制薬への依存度を低減する新たな戦略が求められている。細胞由来医薬品(cell-based medicinal product:CBMP)は、臓器移植における免疫抑制薬の削減に寄与する最先端のアプローチとして期待を集めている。

転移を有する尿路上皮がん1次治療、アテゾリズマブ併用でPFS延長(IMvigor130)/Lancet

 転移を有する尿路上皮がんの1次治療において、抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体製剤アテゾリズマブとプラチナ製剤ベースの化学療法の併用療法は、プラチナ製剤ベースの化学療法単独に比べ無増悪生存(PFS)期間を延長し、安全性プロファイルは化学療法単独とほぼ同様であることが、米国・マウント・シナイ・アイカーン医科大学のMatthew D. Galsky氏らの検討「IMvigor130試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年5月16日号に掲載された。プラチナ製剤ベースの化学療法は免疫調節作用を誘導するため、PD-L1およびPD-1の遮断を増強するなど、PD-L1/PD-1阻害薬との有益な併用効果がいくつか示されている。2018年7月、本試験の独立データ監視委員会(IDMC)による計画外の早期解析の結果に基づき、米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)は、転移を有する尿路上皮がん(PD-L1発現腫瘍)の1次治療におけるアテゾリズマブの処方を承認しており、今回は、PFSの最終解析と全生存(OS)の中間解析の結果が報告された。