泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:21

ヘルペスウイルスが2型糖尿病のリスクを高める?

 性器ヘルペスウイルスを含む、ごく一般的なウイルスの感染が、2型糖尿病のリスクを押し上げる可能性を示す研究結果が報告された。ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン(ドイツ)のAnnette Peters氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetologia」に5月11日掲載された。  2型糖尿病の高い有病率の背景には、高齢者人口の増大と肥満の二つが主要因子として挙げられる。これに加えて新たな研究では、二つのヘルペスウイルス(単純ヘルペス2型とサイトメガロウイルス)が、2型糖尿病のリスクを高める可能性があることを示している。単純ヘルペス2型(HSV-2)は性器ヘルペスを引き起こす。一方、サイトメガロウイルス(CMV)は感染しても通常、症状が現れない。ただし、新生児や免疫能が著しく低下している人には、深刻な感染症を引き起こすことがある。感染症を発症しない場合でも、ウイルスは体内にとどまり休眠状態で維持される。

短期間のテストステロン補充療法は心血管イベントを増やさない

 短期間のテストステロン補充療法では、心血管イベントのリスクが有意に上昇することはないとする論文が発表された。英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のChanna Jayasena氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、米国内分泌学会(ENDO 2022、6月11~14日、アトランタ)で発表されるとともに、「The Lancet Healthy Longevity」6月号に掲載された。  男性更年期障害とも呼ばれる加齢性腺機能低下症に対して、男性ホルモンのテストステロンを補充する治療法が行われることがある。ただしこの治療は、ヘマトクリット〔血液中の血球成分(大半は赤血球)が占める割合〕の上昇を伴いやすく、血栓ができやすくなる可能性が指摘されている。しかし、それによる心血管イベントや死亡リスクへの影響の有無はよく分かっていない。この疑問解明の手がかりを探るため、Jayasena氏らはこれまでの無作為化比較試験(RCT)の結果を統合して解析する、システマティックレビューとメタ解析という手法による検討を行った。

減量により肥満男性の精子数が上昇

 余分な体重を落とし、その体重を維持することは健康増進につながるが、男性では、減量により精子数も増加する可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。コペンハーゲン大学(デンマーク)教授のSigne S. Torekov氏らが実施したこの研究結果は、「Human Reproduction」に5月17日掲載された。  肥満は精子の質の低下と関連することが、過去の研究で報告されている。そこでTorekov氏らは今回、減量によって精子濃度や運動率などの精液のパラメーターの改善が可能であるのか否かを検討した。対象としたBMI32〜43で18〜65歳の男性56人には、まず低カロリー(1日800kcal)の食事療法を8週間続けてもらった。その後、対象者をランダムに4群に割り付けて、維持期間として52週間にわたり以下のいずれかを実施してもらった。第1群は、週150分以上の中等度の有酸素運動、または週75分以上の高強度の有酸素運動を実施、第2群は、リラグルチド(減量目的でも使用される糖尿病薬)を1日当たり3mg服用、第3群はその両方を実施し、第4群はいずれも実施しなかった。運動を伴う介入を行う群には、モチベーションを維持するためのクラスも提供された。

抗体-薬物複合免疫賦活薬(iADC)の創製で戦略的提携/アステラス・Sutro

 アステラスは2022年06月28日、Sutro Biopharma, Inc.(Sutro)と、抗体-薬物複合免疫賦活薬(immunostimulatory Antibody-Drug Conjugates、iADC)の共同研究・開発に関する全世界における戦略的提携およびライセンスに関する契約を締結した。  Sutroの抗体-薬物複合技術と、アステラス製薬のがん領域におけるグローバルな研究開発ケイパビリティを組み合わせ、次世代モダリティiADCの治療薬創製を目指す。  免疫チェックポイント阻害薬を含む主要ながん免疫療法の課題は、免疫細胞が浸潤しづらいがん微小環境にある非炎症性腫瘍に対して効果を得にくいことである。

テストステロン低下が肥満のない非アルコール性脂肪性肝疾患の要因か/日本抗加齢医学会

 テストステロン欠乏により生じる病態と言えば男性更年期(疲れやすい、肥満、うつ、性欲低下…)をまず思い浮かべるが、実は、加齢による骨格筋量の減少(サルコペニア)の原因の1つであり、脂肪肝の発症にも深いかかわりがあるというー。6月17~19日に大阪で開催された日本抗加齢医学会総会のシンポジウム「男性医学」において、濱口 真英氏(京都府立医科大学 内分泌・代謝内科学助教)が『脂肪肝とテストステロン』と題し、骨格筋量の低下とテストステロン欠乏、そして脂肪肝への影響について講演した。

転移のある去勢抵抗性前立腺がんに対するPSMA標的治療薬ルテチウム-177はPFSを延長(TheraP)/ASCO2022

 転移を有するドセタキセル既治療の去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対し、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を標的としたルテチウム177(Lu-PSMA-617)は、カバジタキセルと比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのMichael Hofman氏から発表された。  今回は、オーストラリアで実施されたオープンラベルの無作為化比較第II相TheraP試験の生存に関する解析結果である。

転移尿路上皮がんに対するカボザンチニブとアテゾリズマブの併用療法は有用である可能性(COSMIC 021)/ASCO 2022

 転移のある手術不能の尿路上皮がん(mUC)に対するカボザンチニブとアテゾリズマブの併用療法の有効性と安全性の初期データが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのSumanta Pal氏より報告された。  これは、前立腺がんや腎がん、肺がんなども対象にしたカボザンチニブ+アテゾリズマブ併用療法の国際共同の第I相b試験COSMIC-021の結果で、今回はmUCの3つのコホートの解析結果である。

手術中の麻酔ケア引き継ぎ、術後アウトカムに影響なし/JAMA

 18歳以上の成人患者に対する2時間以上の手術中に、複数医師間で術中麻酔ケアの引き継ぎを行っても、術後30日間の死亡や再入院、重度合併症の発生といった術後アウトカムには影響しないことが示された。ドイツ・ミュンスター大学病院のMelanie Meersch氏らが、1,817例を対象に行った並行群間比較無作為化試験の結果で、JAMA誌オンライン版2022年6月4日号で発表した。これまで大規模な観察試験において、術中麻酔ケアの引き継ぎは高い死亡率など有害アウトカムと関連することが報告されていた。  研究グループは2019年6月~2021年6月にかけて、ドイツ12ヵ所の医療センターで試験(患者登録)を開始し、術中麻酔ケアの引き継ぎと術後アウトカムの関連を検証した(最終フォローアップは2021年7月31日)。適格被験者は、米国麻酔科学会身体状態分類(ASA-PS)3~4で、2時間以上の主要入院手術が予定されていた18歳以上の1,817例だった。

進行腎細胞がんに対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法の効果はQOLと関連(CheckMate 214)/ASCO2022

 進行腎細胞がんに対するニボルマブ+イピリムマブの併用療法(Nivo-Ipi)の生存に及ぼす効果と健康関連QOL(HRQoL)の関連が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのRobert J. Motzer氏より報告された。  これはNivo-Ipiとスニチニブを比較した国際共同の第III相CheckMate 214試験の結果で、過去にNivo-Ipiの無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)の有意な延長効果が報告されている。今回はそれらとHRQoLの相関をみた報告である。

米国でのサル痘の現状とは―CDCの報告

 サル痘ウイルスへの感染で生じる急性発疹性疾患であるサル痘の感染者が、5月以降、欧米諸国を中心に増加しており、WHO(世界保健機関)も警戒を強めている。そんな中、「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」6月3日号に発表された報告によると、米国でのサル痘の感染症例は、ゲイやバイセクシュアルの男性、または男性とセックスする男性(MSM)に集中しており、皮膚と皮膚の密接な接触によりウイルスが伝播した可能性が示唆されたという。