外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:53

高齢がん患者への高齢者機能評価介入、治療毒性を低減/Lancet

 進行がんの高齢患者への介入として、地域の腫瘍医(community oncology practice)に高齢者機能評価の要約を提供すると、これを提供しない場合に比べ、がん治療による重度の毒性作用の発現頻度が抑制され、用量強度の低いレジメンで治療を開始する腫瘍医が増えることが、米国・ロチェスター大学医療センターのSupriya G. Mohile氏らのクラスター無作為化試験「GAP70+試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年11月20日号で報告された。  本研究は、患者管理上の推奨事項を含む高齢者機能評価の要約を地域の腫瘍医に提供することによる介入は、意思決定の改善をもたらし、高リスクのがん治療による重度の毒性を軽減するとの仮説の検証を目的とするクラスター無作為化試験であり、米国の40の地域腫瘍診療施設が参加し、2014年7月~2019年3月の期間に患者登録が行われた(米国国立がん研究所[NCI]の研究助成を受けた)。

固形がん患者へのブースター接種、抗体価の変化は?/JAMA Oncol

 積極的な治療を受けている固形がん患者では新型コロナウイルス感染症により予後が悪化するリスクが高く、また、化学療法を受けているがん患者ではBNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer/BioNTech)による体液性応答が低下することが報告されている。今回、イスラエル・Hadassah Medical CenterのYakir Rottenberg氏らが、主に化学療法を受けた固形がん患者でのBNT162b2ワクチンの3回目(ブースター)接種後30日未満の体液性応答を調査したところ、ほとんどの症例でブースター接種後早期に抗体反応がみられたことがわかった。JAMA Oncology誌オンライン版2021年11月23日号に掲載。

がん治療における遺伝子パネル検査、データ利活用の最前線/日本癌治療学会

 実臨床で得られた診療データをその後の研究に活かしていくという、「データ利活用」の動きが世界中で活発になっている。第59回日本癌治療学会学術集会(10月21~23日)では会長企画シンポジウムとして「大規模データベースを活用したがん治療の新展開――医療データの臨床開発への利活用」と題した発表が行われた。  冒頭に中島 直樹氏(九州大学病院 メディカル・インフォメーションセンター)が「データ駆動型の医療エビデンス構築の現在と未来」と題した講演を行い、日本の医療データの問題点として「収集後の名寄せが困難(マイナンバーの医療分野利用の遅れなど)」「医療情報の標準化の遅れ」「改正個人情報保護法によるハードル」を挙げた。

ナッツ類の摂取と乳がんサバイバーの転帰の関係

 ナッツ類の積極的な摂取が、全死亡や心血管疾患などの死因別死亡リスク低下と関連するという報告があるが、乳がんサバイバーにおけるがんの転帰との関連はみられるのだろうか。米国・ヴァンダービルト大学メディカルセンターのCong Wang氏らは、乳がんサバイバーを対象に、ナッツ類の消費量と全生存率(OS)および無病生存率(DFS)との関連を分析した。International Journal of Cancer誌オンライン版2021年10月19日号に掲載の報告より。  本研究では、中国の大規模コホート研究・上海乳がん生存者調査のデータが用いられた。同調査では、乳がん診断後5年時点で、食事摂取頻度調査票を用いた過去1年間の包括的な食事評価が実施されている。

CKD4/6阻害薬、HER2低発現の進行乳がんでの有効性は?

 CDK4/6阻害薬はホルモン受容体陽性(HR+)/HER2-進行・再発乳がん(MBC)の1次/2次治療において、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間を大幅に改善する。しかしながら、表現型および遺伝子解析では、有効性に関連する予測マーカーは特定されていない。今回、香港・クイーンエリザベス病院のKelvin K. H. Bao氏らは、CDK4/6阻害薬で治療されたHR+/HER2-MBC患者のHER2低発現と予後の関連を調査した結果、HER2低発現例ではCDK4/6阻害薬の有効性が低いことが示唆された。JAMA Network Open誌2021年11月1日号に掲載。  本研究では、香港・クイーンエリザベス病院において、2017年3月~2020年6月にレトロゾールもしくはフルベストラントとの併用でCDK4/6阻害薬を投与されたHR+/HER2-MBCの患者について調べた。HER2-低発現はIHCスコア1+もしくは2+かつISH陰性とした。また、PFSはCDK4/6阻害薬投与開始日から病勢進行または死亡までの期間とした。  主な結果は以下のとおり。

2020年のがん診断数は前年比9%減、とくに早期での発見が減少/日本対がん協会

 2020年のがん診断件数は8万660件で、2019年より8,154件(9.2%)少なく、治療数(外科的・鏡視下的)も減ったことがわかった。おおむね早期が減る一方、進行期は両年で差が少ない傾向となり、今後進行がんの発見が増えることが懸念される。日本対がん協会は11月4日、がん関連3学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会)と共同実施したアンケート調査の結果を発表した。  アンケートは今年7~8月、全がん協会加盟施設、がん診療連携拠点病院、がん診療病院、大学病院など486施設を対象として実施。5つのがん(胃、大腸、肺、乳、子宮頸)について診断数、臨床病期(1~4期、がん種によって0期も含む)、手術数、内視鏡治療数などを聞いた。大規模調査は全国初で、北海道東北、関東、中部北陸、近畿、中国四国、九州沖縄の各地域の計105施設から回答を得ている(回答率21.6%)。

がん種別5年・10年生存率ランキング、最新版を公表/全がん協調査

 11月10日、全国がんセンター協議会加盟32施設の診断治療症例について、部位別5年生存率、10年生存率の最新データが公表され、全部位の5年生存率は68.9%、10年生存率は58.9%だった。部位別にみると、10年生存率が最も高かったのは前立腺がんで99.2%、最も低かったのは膵臓がんで6.6%だった。  本調査は国立がん研究センターの「施設をベースとしたがん登録情報の収集から活用・情報発信までの効果と効率の最大化モデル構築のための研究」研究班が、全国がんセンター協議会の協力を得て、加盟32施設の診断治療症例について部位別5年生存率、10年生存率を集計したもの。

医師の生命保険の年間払込額、3割は10万円以下/会員アンケート結果

 10月にCareNet.comにて医師の『生命保険の加入状況に関するアンケート』を実施した結果、9割超の医師が何らかの生命保険に加入し、医師の生命保険加入者の約3割の年間払込額が10万円以下であることが明らかになった。また、重粒子線治療などが支払い対象となる「先進医療特約」については加入者の4割が申し込んでいた。  生命保険文化センターが行った一般家庭における「2021年度生命保険に関する全国実態調査(速報版)」によると、生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は89.8%、そのうち医療保険の加入率は93.6%だった。また、世帯の普通死亡保険金額は平均2,027万円、世帯年間払込保険料は平均37.1万円であることが明らかになった。

乳がん放射線治療中、デオドラントの使用を継続してよいか~メタ解析/日本癌治療学会

 デオドラント製品を日常的に使用している日本人女性は多いが、放射線治療期間中に使用を継続した場合に放射線皮膚炎への影響はあるのだろうか? 齋藤 アンネ優子氏(順天堂大学)らは、放射線治療期間中のデオドラント使用に関連する放射線皮膚炎について調査した無作為化試験のメタ解析を実施し、第59回日本癌治療学会学術集会(10月21~23日)で報告した。なお、本解析は「がん治療におけるアピアランスケアガイドライン 2021年版」のために実施された。  2020年3月までに、PubMed、医中誌、Cochrane Library、CINAHLより、デオドラント使用が放射線皮膚炎に与える影響を検討した無作為化比較試験を中心に検索がされた。評価項目は腋窩の放射線皮膚炎の重症度(Grade2以上/ Grade3以上、NCI-CTC v5.0による評価)で、金属含有デオドラントと金属非含有デオドラントを別々に評価した。メタアナリシスの効果指標はリスク比(RR)とした。

初の十二指腸癌診療ガイドライン刊行

 十二指腸がんは消化器がんの中で代表的な稀少がんとされ罹患率は低いものの、近年増加傾向がみられており、診断モダリティの進歩により今後さらに発見される機会が増加することが予想される。日本肝胆膵外科学会と日本胃癌学会の協力のもとガイドライン作成委員会が立ち上げられ、「十二指腸癌診療ガイドライン 2021年版」が2021年8月に刊行された。  これまで本邦では確立された十二指腸がんの診療ガイドラインはなく、エビデンスも不足しているため、日常診療では、各医師の経験に基づいて胃がんや大腸がんに準じた治療が行われてきた。本ガイドラインでは、診断アルゴリズム(無症状/有症状)、治療アルゴリズム(切除可能/切除不能・再発)が示されたほか、「診断・内視鏡治療」「外科治療」「内視鏡・外科治療」「薬物療法」についてそれぞれClinical Questionが設けられ、推奨が示されている。