大企業が考える従業員のヘルスケア-企業の健康戦略

  • 公開日:2013/02/06

12月8日(土)慶應義塾大学・信濃町キャンパスにおいて山本雄士氏(株式会社ミナケア 代表取締役)主催による「山本雄士ゼミ」の第8回(後期第3回)が開催された。

今回はケーススタディに「Pitney Bowes: Employer Health Strategy」(ピッツニーボウズの健康戦略)を取り上げ、ディスカッションを行った。

山本雄士ゼミは、ハーバード・ビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得した山本氏をファシリテーターに迎え、ケーススタディを題材に医療の問題点や今後の取り組みをディスカッションによって学んでいく毎月1回開催のゼミである。

アメリカに本社をおく「ピッツニーボウズ」(以下、PBと略す)は、郵便・書類の管理サービス会社として130カ国で事業を展開。従業員は全世界で36,000人、年間売上高は60億ドルの大企業である。うちアメリカ国内の従業員(26,000人)は、4つのグループ(本社勤務、外勤社員等)に分類されて、会社が負担する医療保険等で区分けがなされている。

従業員の医療関連での負担支出をみると、医療費1億5千万ドル以上を負担、これを減らすべくさまざまな健康プログラムを用意し、従業員の健康確保と支出削減を考えている。今回は、この取り組みをメインテーマとしてゼミを行った。

従業員の病気がもたらす企業への影響

山本雄士氏

はじめにPBの概要を確認したうえで、山本氏より「なぜPBは健康への取り組みを始めたのか?」という問いが発せられた。これに対しゼミ生より、「業務パフォーマンス向上のため」や「コストスコア圧縮のため」、「組織の人的資産の維持」などの回答が寄せられた。

これらを受けて、アメリカの企業の一般的な医療保険の概要が説明され、日本と異なり、企業はかなり自由に医療保険の契約交渉ができること、従業員にとって医療保険は非常に大きな福利厚生で労働のインセンティブとなっていることが解説された。PBは、実際に過去、疾病リスクの高い集団を特定し、これに対応するため保険商品を再契約したりするなどしてコスト削減を行ったことが紹介された。

続いて山本氏から「あなたが、PBのCEOだとして会社の健康戦略をコスト削減も含めてどう推進するか?」とアイデアを募って話しが進められ、PBが実践した従業員への健康管理の取り組みについてふれた。

最後に山本氏より、「アメリカでは医療保険の契約内容により受ける医療に差がでる仕組みで、きちんとアウトカム評価をしているためにこうしたことができる。日本でも企業が医療保険の費用を負担している以上、こうした何か評価できる指標が必要ではないか!」と問題を提起し、今回のゼミを終えた。

★今後のスケジュールは次の通り(いずれも16:00~19:00の開催予定)。

開催日 概略
第10回 2月16日(土) セダケア(地域のヘルスケアシステムのケーススタディ)
ゼミ合宿 3月23日(土)、24日(日) アメリカの医療保険制度と,組織論やリーダーシップ論など

プロフィール

山本 雄士 ( やまもと ゆうじ ) 氏株式会社ミナケア 代表取締役慶應義塾大学医学部クリニカルリサーチセンター 客員准教授株式会社 ソニーコンピュータサイエンス研究所リサーチャー公益財団法人 日本医療機能評価機構 客員研究員

[略歴]

1993年 北海道立札幌南高校卒業

1999年 東京大学医学部医学科卒業 循環器内科臨床医として都立広尾病院、東京大学医学部付属病院等に勤務

2003年 東京大学医学系研究科入学

2005年 ハーバード大学ビジネススクール入学

現在、株式会社 ミナケア 代表取締役

株式会社 ソニーコンピュータサイエンス研究所リサーチャー

内閣官房医療イノベーション推進室企画調査官

慶應義塾大学医学部クリニカルリサーチセンター 客員准教授

公益財団法人 日本医療機能評価機構 客員研究員

訳書に『医療戦略の本質』(マイケル・E・ポーターら、日経BP社)、『奇跡は起こせる』(ジョン・クラウリー、宝島社)、共著書に『病院経営のしくみ』、『病院経営のしくみ2』(ともに日本医療企画)など。

[山本雄士氏著作]

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