小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:53

新型コロナ流行時、新生児集中治療が減少/日本の大規模診療データ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時、わが国の新生児集中治療の入室日数および早産の件数が減少傾向にあったことがわかった。国立成育医療研究センターの前田 裕斗氏らの共同研究チームが、メディカル・データ・ビジョンの保有する大規模診療データベースを用いて分析した結果を報告した。Archives of disease in childhood-Fetal and neonatal edition誌オンライン版2020年11月23日号に掲載された。  当初、COVID-19流行により妊婦の心身ストレスが増加し、周産期疾病や新生児集中治療の件数が増えると懸念されていた。しかし、海外ではむしろ極低出生体重児(出生体重 1,500g未満)が減少しているとの報告もあり、日本でも同様の結果を示すかどうか、全国186のDPC病院を対象に分析した。

未就学児へのアジスロマイシン集団配布で耐性因子が増加/NEJM

 アジスロマイシンの年2回、4年間の集団配布により、マクロライド系抗菌薬のみならず、マクロライド系以外の抗菌薬の耐性遺伝子が増大する可能性があることが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のThuy Doan氏らが実施したMORDOR試験の補助的調査で示された。研究の詳細は、NEJM誌2020年11月12日号に掲載された。サハラ以南のアフリカでは、就学前の子供へのアジスロマイシンの年2回、2年間の配布により、小児死亡率は低下するものの、マクロライド耐性の増大という代償を要することが報告されている。また、より長期の年2回アジスロマイシン投与が、体内の抗菌薬耐性遺伝子の集積場所である腸レジストーム(gut resistome)に影響を及ぼすかは明らかにされていないという。

新型コロナ、どの国のワクチンを希望する?医師1,000人アンケート

 新型コロナワクチン接種の優先対象について、厚生労働省は11月9日の厚生科学審議会において、高齢者や基礎疾患がある人を優先的に接種する方針を固めた。今後はどのような基礎疾患を有する人を対象にするのかが話し合われる予定だ。今回の話し合いでは医療者への優先接種が見送りとなったが、医療者では接種を求める者と接種に抵抗を示す者はどの程度いるのだろうかー。そこで、ケアネットでは10月15日(木)~21日(水)の期間、会員医師1,000人に対し「医師のワクチン接種に対する心境について」に関するアンケートを実施。その結果、全回答者のうち接種を希望するのは61.2%だった。

HPVワクチン、国は積極的勧奨を早急に再開すべき/日本癌治療学会

 7月に9価HPVワクチンが国内承認され、10月に4価HPVワクチンの有効性を確認した論文がNEJM誌に掲載されるなど、今年に入ってHPVワクチンに関連する動きが出ている。10月に開催された第58回日本癌治療学会学術集会では、こうした動向を踏まえ、会長企画シンポジウム「HPV関連癌の疫学からみる予防戦略」が開催された。  この中で、大阪労災病院の田中 佑典氏は「HPV感染から見る子宮頸癌の現在の問題点と予防対策」と題し、国内のHPVワクチン接種に関するこれまでの経緯を振り返り、今後の予防戦略をどう行っていくべきかをテーマに講演を行った。

PALB2病的変異を有する遺伝性乳がん、日本での臨床的特徴は/日本癌治療学会

 PALB2はBRCA2と相互作用するDNA修復に関連する分子で、PALB2遺伝子変異は乳がん、卵巣がんのリスクを増加させ、すい臓がんとの関連も指摘される。PALB2生殖細胞系列病的遺伝子変異(pathogenic or likely-pathogenic germline variant: PGV)を有する女性の70歳までの乳がんリスクは約35~50%、生涯の乳がんリスクは約5~8倍とされるが1)、その臨床的特徴に関する知見は限られる。樋上 明音氏(京都大学乳腺外科)らは、日本人乳がん患者約2千例を調査し、PALB2 PGV症例の頻度と臨床的特徴について、第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)で報告した。

成人ADHDに対するグアンファシン徐放性製剤の安全性、有効性~第III相延長試験

 昭和大学の岩波 明氏らは、成人の注意欠如多動症(ADHD)に対するグアンファシン徐放性製剤(GXR)の長期における安全性、有効性の評価を行った。BMC Psychiatry誌2020年10月2日号の報告。  本研究は、日本で行われた成人ADHDに対するGXRの非盲検長期第III相延長試験である。対象は、二重盲検試験から延長された成人ADHD患者150例および新規に登録された41例。1日1回のGXR投与を50週間継続した(開始用量:2mg/日、維持用量:4~6mg/日)。主要アウトカムは、治療による有害事象(TEAE)の頻度と種類とした。副次的アウトカムは、成人用ADHD評価尺度ADHD-RS-IV日本語版の合計スコアおよびサブスコア、コナーズの成人期ADHD評価尺度(CAARS)、臨床全般印象度の改善度(CGI-I)、患者による全般印象度の改善度(PGI-I)、QOL、実行機能の0週目からの変化とした。

「抗菌薬は風邪に効果あり」の誤認識、若年・高齢層でいまだ多く

 11月は「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」である。今年は年初から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生・流行があったが、いま一度、抗菌薬および抗生物質の適切な認識と使用について考える契機としたい。国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターが先月取りまとめたインターネット調査の結果によると、10代・60代の7割および20代の6割近くが、抗菌薬・抗生物質は風邪に「効果がある」と誤って認識していることがわかった。一方、風邪症状で医療機関を受診した4割が抗菌薬を処方されており、回答者全体の2割が、風邪で今後受診する際に抗菌薬の処方を希望していることも明らかになった。  本調査は、抗菌薬・抗生物質および薬剤耐性について、一般の人がどう認識しているのかを把握し、問題点と今後の取り組みの方向性を提示することを目的に、2020年8月、全国の10~60歳代以上の男女700人を対象に、インターネット上で行われた。

COVID-19検査法と結果どう考えるか/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏[東邦大学医学部 教授])は、10月12日に「COVID-19検査法および結果の考え方」を提言としてまとめ、同会のホームページで公開した。  提言では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でさまざまな検査法、検査機器の登場により日々新しい情報が次々と発表されて行く中で、遺伝子検査で陽性を示す患者の感染性をどのように評価していくのかが検査の重要な課題として定義。その中でもCt値(Cycle Threshold)が重要な項目の1つとして将来的に遺伝子検査陽性が持続する患者に対し、Ct値や特異抗体の検出などを併用することで、正確に感染性を評価することができるようになると示唆している。  以下に本提言の概要をまとめた。なお、この内容は2020年10月初めの情報であり、今後変更される可能性があることも留意いただきたい。

新たに診断された成人のADHDおよびASDに併存する精神疾患

 成人の注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)に併存する精神疾患は、医療費の増大を招き、場合によっては診断遅延の原因となる。ギリシャ・国立カポディストリアコス・アテネ大学のArtemios Pehlivanidis氏らは、新たに診断された成人のADHDおよび/またはASDの有病率と精神疾患の生涯併存率を比較し、それらがもたらす臨床上の課題について検討を行った。BMC Psychiatry誌2020年8月26日号の報告。  対象は、新たなADHDおよび/またはASDの診断のために臨床評価を行った、認知機能が正常な成人336例。最も頻繁に併存する10の精神医学的診断の生涯併存率を調査した。対象患者を、ADHD群(151例)、ASD群(58例)、ADHD+ASD群(28例)、非ADHD+非ASD(NN)群(88例)の4つに分類した。

COVID-19病原体検査の指針を発表/厚生労働省

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の下、今後のインフルエンザの流行を控え一般の医療機関でもさまざまな感染症に関する検査をする機会が増大すると考えられる。  厚生労働省は、10月2日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第1版)」および鼻腔検体採取における留意点等についてを公表し、全国の医療・保健関係機関に送付した。この本指針は、第47回厚生科学審議会感染症部会で議論され、取りまとめられたもの。  COVID-19にかかわる核酸検出検査、抗原定量検査および抗原定性検査の検体として新たに鼻腔検体を活用することが可能となり、抗原定性検査(簡易キット)は、医療機関などに限らず実施することができ、短時間で結果を確認することができるようになった。