小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:56

医師の2020年夏季ボーナス支給、新型コロナの影響は?

 6~7月と言えば、業務に追われるもボーナス支給日を心待ちに日々励んでいる人が多い時期。ところが今年は新型コロナウイルスの影響で状況は一変。外来患者減などが医療施設の経営に大打撃を与え、医療者の給与や将来設計もが脅かされる事態に発展している。  この状況を受け、ケアネットでは7月9日(木)~15日(水)、会員医師1,014名に「夏季ボーナスの支給状況などに関するアンケート」を実施。その結果、全回答者のうち14.6%は本来支給されるはずの夏季ボーナスが不支給または未定であり、支給された方でも25%は例年より減額されていたことが明らかになった。

9価HPVワクチンの製造販売承認を取得/MSD

 わが国では、子宮頸がんに毎年約10,000人の女性が新規罹患し、約2,800人が亡くなっている。とくに子宮頸がんは発症年齢が出産や働き盛りの年齢と重なることもあり、治療によって命を取りとめても女性の人生に大きな影響を及ぼすことが多い疾患であり、本症の予防ではワクチンの接種と定期的な検診が重要となる。  そんな予防の切り札となるワクチンにつきMSD株式会社は、7月21日、ヒトパピローマウイルス(HPV)の9つの型に対応した組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン[酵母由来](商品名:シルガード9水性懸濁筋注シリンジ)の製造販売承認を取得したことを発表した。

“do処方”を見直そう…?(解説:今中和人氏)-1263

誰しもが駆け出しとして医師人生をスタートする。医療におけるさまざまな処置や処方には、往々にして歴史的な変遷や患者限定の根拠があったりして実に奥深く、駆け出しがすべてを理解して対応するのは事実上不可能だが、何でもかんでも先輩に尋ねるわけにもゆかない。まして「これは本当に必要なんですか?」なんて、一昔前の「仕分け」のような質問をすればうっとうしがられること必定だから、いわゆる“do処方”の乱発が起きる。もちろん、自分なりに意味付けをしてのことだが、世の中には実はほとんどアップデートされておらず、もはや伝統芸能の域に達しているような処置や処方も存在する。

小児精神疾患における80種の向精神薬の安全性~メタ解析

 精神疾患は、小児期や青年期にしばしば発症する。小児精神疾患の治療に適応を有する向精神薬はさまざまあり、適応外での使用が往々にして行われる。しかし、これら向精神薬の副作用については、発達途上期間中であることを踏まえ、とくに注意が必要である。イタリア・パドヴァ大学のMarco Solmi氏らは、小児および青年の精神疾患に対する抗うつ薬、抗精神病薬、注意欠如多動症(ADHD)治療薬、気分安定薬を含む19カテゴリ、80種の向精神薬における78の有害事象を報告したランダム化比較試験(RCT)のネットワークメタ解析およびメタ解析、個別のRCT、コホート研究をシステマティックに検索し、メタ解析を行った。World Psychiatry誌2020年6月号の報告。

ダウン症候群とアルツハイマー型認知症の深い関係(解説:岡村毅氏)-1262

ダウン症候群の人(通常は2本ある21番染色体を3本持っている人)は比較的早期からアルツハイマー型認知症になりやすいことは昔から知られていた。アルツハイマー型認知症の病理の中核にある「アミロイドβ」の前駆体の遺伝子は、まさに21番染色体に存在するので、理論上も合致する。家族性アルツハイマー型認知症も21番染色体に連鎖することが知られている。ダウン症候群とアルツハイマー型認知症は、21番染色体が鍵という点でつながっている。この論文では、多数のダウン症候群の人に詳細な認知機能検査を行うと同時に、さまざまなバイオマーカー(血液、脳脊髄液、脳機能画像、脳構造画像)を測定し、ダウン症候群の人々におけるアルツハイマー型認知症の病理の進展を分析したものである。

バロキサビル、インフルエンザの家族間感染予防に有効/NEJM

 インフルエンザの家族間感染予防に、バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ、以下バロキサビル)の単回投与が顕著な効果を示したことが報告された。リチェルカクリニカの池松 秀之氏らによる多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果で、NEJM誌オンライン版2020年7月8日号で発表された。バロキサビルは、ポリメラーゼ酸性タンパク質(PA)エンドヌクレアーゼ阻害作用を有し、合併症リスクの高い外来患者などを含む合併症のないインフルエンザの治療効果が認められている。しかし、バロキサビルの家庭内での曝露後予防効果については、明らかになっていなかった。

単極性と双極性うつ病における自殺念慮の比較

 青年期の単極性うつ病(UD)と双極性うつ病(BD)における自殺念慮や自殺企図のリスクについて、米国・Griffin Memorial HospitalのRikinkumar S. Patel氏らが検討を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2020年6月15日号の報告。  対象は、米国入院患者サンプルより抽出した12~17歳の青年患者13万1,740例(UD:92.6%、BD:7.4%)。自殺行動のオッズ比(OR)を算出するため、人口統計学的交絡因子および併存疾患で調整したロジスティック回帰を用いた。

あまりにも過酷な勤務体制(解説:野間重孝氏)-1257

本研究は医師の長時間労働を改善することにより医療事故の発生率を引き下げることができるという仮説のもとに、研修2年目・3年目のレジデントを対象として、ICUにおける24時間以上の長時間連続勤務を行う群(対照群)と16時間以内の日中・夜間の交代制スケジュールで勤務する群(介入群)との間で、重大な医療ミスの発生頻度を比較したものである。評者は現在の米国のレジデントの研修体制について疎いのだが、本研究に違和感を覚えたのは、このような過酷な勤務体制が米国の研修体制では普通に受け入れられているのだろうかという点に、強い疑問を持ったからである。24時間以上の勤務については言うまでもないが、交代制とはいえ16時間の連続ICU勤務というのは十分に過酷な勤務体制であると思われるからだ。Appendixに目を通しても実際の勤務表は載せられていないので、両群ともにどのような休息の取り方をしながらの勤務であったのか明らかではないが、少なくとも(研修期間中はともかくとして)長く勤務できる体制であるとはとても思えない。

コロナ自粛でイライラや暴力行為、低年齢ほど傾向強く

 新型コロナウイルスの流行は、感染への不安や恐れもさることながら、さまざまな社会・経済行動の自粛とstay homeによる生活の変化がもたらした緊張やストレスも大きかった。国立成育医療センターは、全国の7~17歳までの子供および0~17歳の子供がいる保護者を対象に、インターネットでアンケートを実施。その回答結果によると、すぐにイライラしたり、自傷や他人への危害といった何らかのストレス反応を呈したりした子供が75%にのぼった一方、保護者の62%が心に何らかの負担を感じていたことがわかり、これまでに経験したことのない自粛生活が親・子の双方に大きく影響を及ぼしていた様子がうかがえる。

早産児のApgarスコアは、新生児死亡リスクと関連するか/NEJM

 在胎期間は、早産児における新生児死亡(生後28日以内の死亡)の主要な決定因子だが、在胎期間とApgarスコアの組み合わせの新生児死亡リスクへの影響は明確でないという。スウェーデン・カロリンスカ研究所のSven Cnattingius氏らは、新生児死亡率は在胎期間が短くなるに従って実質的に増加することから、Apgarスコアに関連する新生児死亡率の絶対値の差(新生児の超過死亡数)は、早産児の在胎期間が短いほど増加するとの仮説を立て、検証を行った。その結果、出生5分後と10分後のApgarスコア、および5~10分後のスコアの変化は、5つに分けた在胎期間のすべての早産児で、新生児死亡率と関連することが示された。NEJM誌2020年7月2日号掲載の報告。