眼科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

血中ビタミンD濃度の低下で近視リスクが増加

 中国・香港中文大学のShu Min Tang氏らは、血中ビタミンD(25-ヒドロキシビタミンD:25(OH)D)濃度およびビタミンDパスウェイの遺伝子と、近視との関連についてシステマティックレビューとメタ解析を行い、血中25(OH)Dが低濃度の場合は近視のリスク増加と関連することを明らかにした。著者は、近視がビタミンDパスウェイの遺伝子と関連が認められなかったことから、「野外活動の代用としてビタミンDを利用するには遺伝子学上の関連が乏しい」とまとめている。British Journal of Ophthalmology誌オンライン版2018年7月17日号掲載の報告。

白内障手術で、高齢者の交通事故が減少!?

 白内障は、世界的に最も一般的な視力障害の原因であり、重大な交通事故のリスクを増加させる可能性がある。しかし、白内障の手術が、患者による交通事故を減少させるかはわかっていない。カナダ・トロント大学のMatthew B. Schlenker氏らは、最初の片眼の白内障手術(ほとんどの患者はすぐにもう片方の眼も施術)を受けた地域住民の患者を対象に、個々においてセルフマッチングクロスオーバー曝露研究を行い、白内障手術が術後患者における重大な交通事故誘発のリスクを、わずかに減少させることを明らかにした。著者は、「このことは死亡率、罹患率および社会的コストに対して潜在的な影響があると考えられる」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年6月28日号掲載の報告。

近視眼患者の緑内障鑑別にSD-OCTが有益

 韓国・ソウル大学のSung Uk Baek氏らは、近視眼患者における緑内障の診断精度向上のために開発した、スペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)の局所パラメータを用いた新しいスコアリングシステムが、近視患者の健康な眼と緑内障の鑑別に有用であることを示した。著者は、「近視眼患者の緑内障発見のため、SD-OCTによるマルチ局所パラメータの使用は意義がある」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2018年6月7日号掲載の報告。

新たな点眼薬、アデノウイルス結膜炎に効果

 急性アデノウイルス結膜炎に対する、ポビドンヨード(PVP-I)0.6%/デキサメタゾン0.1%懸濁性点眼液の有効性および安全性を評価する多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(第II相臨床試験)が行われ、米国・セントルイス・ワシントン大学のJay S. Pepose氏らが結果を報告した。PVP-I/デキサメタゾンは安全性および忍容性が良好で、プラセボと比較し臨床的寛解率およびアデノウイルス除去率を有意に改善することが認められたという。American Journal of Ophthalmology誌2018年オンライン版5月19日号掲載の報告。

小児のアトピー性皮膚炎、重症例で白内障のリスク増加

 小児のアトピー性皮膚炎(AD)患者における白内障の発症リスクに関するデータは不足している。韓国・ソウル大学のHyun Sun Jeon氏らは10年間にわたり集団ベースの後ろ向きコホート研究(縦断研究)を行った。その結果、白内障の絶対リスクはADの有無にかかわらず非常に低かったが、ADを有する小児は手術を要する白内障のリスクが高く、とくに重症の場合は白内障の発症と白内障手術の両方のリスクが高まる可能性が示唆された。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年6月7日号掲載の報告。

未熟児網膜症、遠隔医療で正確な診断可能

 未熟児網膜症(ROP)は、一般的に双眼倒像鏡眼底検査を用いて診断される。遠隔医療による未熟児網膜症の診断については、これまで、その正確さを対面診断の眼底検査と比較して評価する研究が行われてきた。しかし、対面診断が遠隔診断より本当に正確かどうかはわかっていない。米国・オレゴン健康科学大学のHilal Biten氏らは多施設共同前向きコホート研究を行い、臨床的に意義のあるROPの発見において、対面診断と遠隔診断との間で概して正確さに差はなかったが、平均すると対面診断のほうがzone IIIおよびstage 3 のROPの診断精度はわずかに高いことを明らかにした。ただし著者は、「どちらの診断法も検者によって変数精度があることを警告しつつ、今回の結果は、臨床的に意義のあるROPの診断法として、遠隔医療の利用を支持するものである」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌2018年5月号掲載の報告。

ミルクチョコ vs.ダークチョコ、視力に良いのは?

 ダークチョコレートは、短期間の血流改善や、気分および認知機能を改善するが、視機能に対する影響はほとんど知られていない。米国・University of the Incarnate Word Rosenberg School of OptometryのJeff C. Rabin氏らは、無作為化クロスオーバー単盲検試験の結果、ダークチョコレートはミルクチョコレートと比較し、摂取2時間後のコントラスト感度と視力を有意に改善したことを報告した。著者は「これらの効果の持続期間や日常臨床での影響については、さらなる検討が待たれる」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年4月26日号掲載の報告。

緑内障患者、オンライン利用技術とアドヒアランスに相関みられず

 オンライン上に医療情報が普及するにつれて、患者のオンラインの情報源へのアクセスと経験を踏まえることが重要となる。米国・ミシガン大学のPaula Anne Newman-Casey氏らの調査によれば、より若く、アドヒアランス不良な患者は、医師のアドバイスなしで緑内障の情報源をオンラインで検索するものの、その内容にしばしば満足感が得られないようである。著者は、「医師が疾患の自己管理指導の提供を推奨するうえで、質の高い緑内障のオンライン情報源が作成されるべきである」とまとめている。Telemedicine and e-Health誌オンライン版2018年4月23日号掲載の報告。

糖尿病網膜症の日本人患者への強化スタチン療法:EMPATHY試験

 冠動脈疾患の既往歴のない、糖尿病網膜症合併高コレステロール血症患者に対するスタチン単独によるLDL-C低下療法は、通常治療と強化治療とで心血管イベントまたは心血管関連死に有意差は認められなかった。慶應義塾大学の伊藤 裕氏らが、EMPATHY試験の結果を報告した。著者は、「今回の結果は当初の予想より両群におけるLDL-Cの差が少なかった(36ヵ月時で27.7mg/dL)ため」との見解を示したうえで、「高リスク患者に対するtreat-to-target治療におけるLDL-C<70mg/dL達成のベネフィットについては、さらなる研究が必要である」とまとめている。Diabetes Care誌オンライン版2018年4月6日号掲載の報告。