腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:147

ニボルマブ・イピリムマブ併用NSCLC1次治療、日本人の結果(CheckMate-227)/日本肺癌学会2020

 第61回日本肺癌学会学術集会においてがん研有明病院の西尾 誠人氏が非小細胞肺がん(NCSLC)1次治療CheckMate-227試験Part1の3年フォローアップデータから、ニボルマブ・イピリムマブ併用の日本人サブセットの分析結果を発表した。 ・対象:未治療のPD-L1発現1%以上(Part1a)および1%未満(Part1b)のStageIVまたは再発NSCLCの初回治療患者(PS 0~1、組織型問わず) ・試験群:ニボルマブ+イピリムマブ群      ニボルマブ単剤群(TPS1%以上)      ニボルマブ+化学療法群(TPS1%未満) ・対照群:化学療法(組織型により選択)単独群 ・評価項目:

低リスク前立腺がん、監視療法の転帰に人種は影響するか/JAMA

 監視療法を受けた低リスク前立腺がん患者について、アフリカ系米国人は非ヒスパニック系白人と比較して、病勢進行および根治的治療の10年累積発生率が統計学的に有意に増加したが、転移または前立腺がん特異的死亡率は増加しなかった。米国・VHA San Diego Health Care SystemのRishi Deka氏らが、後ろ向きコホート研究(追跡調査期間中央値7.6年)で明らかにした。これまでの研究で、低リスク前立腺がんのアフリカ系米国人は、非ヒスパニック系白人に比べ進行性の疾患が隠れている可能性が懸念されるとして、監視療法が安全な選択肢であるかは不明であった。JAMA誌2020年11月3日号掲載の報告。

ホルモン補充療法の乳がんリスク、治療法と期間で異なる/BMJ

 英国・ノッティンガム大学のYana Vinogradova氏らの同国コホート内症例対照研究で、ホルモン補充療法(HRT)の乳がんリスクのレベルは、HRTの種類により異なり、併用療法および長期投与で高いことが示された。ただし、メタ解析と比較し、長期のHRTに関連した乳がんのリスク増加は小さく、治療の中止でリスクは顕著に低下することも示されている。先行研究では、長期的なHRTは乳がんのリスク増加と関連しており、治療中止後はリスク増加が減るものの数年間はリスクが高いままであることが、また最近の大規模メタ解析ではHRTに関連した乳がんリスクが予想よりも高いことが示されていた。BMJ誌2020年10月28日号掲載の報告。

未治療CLLへのベネトクラクス+オビヌツズマブ、PFS延長を維持/Lancet Oncol

 ベネトクラクス+オビヌツズマブ療法の長期有効性の知見が報告された。同療法はCLL14試験において、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する固定期間治療のレジメンとして確立されたが、ドイツ・ケルン大学のOthman Al-Sawaf氏らは、同試験における治療中止後の有効性をchlorambucil+オビヌツズマブ療法と比較した。その結果、治療中止から2年後においても、ベネトクラクス+オビヌツズマブは、chlorambucil+オビヌツズマブと比較し無増悪生存期間(PFS)の有意な改善を維持していることが示された。著者は「この結果は、ベネトクラクス+オビヌツズマブを固定期間治療の選択肢として支持するものだ」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年9月号掲載の報告。  CLL14試験は、21ヵ国196施設で実施された多施設共同無作為化非盲検第III相試験。研究グループは、18歳以上で併存疾患(累積疾患評価尺度[CIRS]の総スコアが6超またはクレアチニンクリアランスが30~69mL/分)を有する未治療CLL患者を、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群とchlorambucil+オビヌツズマブ群に、1対1に無作為に割り付けた。

がん患者、抗凝固薬の中止時期を見極めるには/日本癌治療学会

 がん患者は合併症とどのように付き合い、そして医師はどこまで治療を行うべきか。治療上で起こりうる合併症治療とその中止タイミングは非常に難しく、とりわけ、がん関連血栓症の治療には多くの腫瘍専門医らは苦慮しているのではないだろうかー。  10月23日(金)~25日(日)にWeb開催された第58回日本癌治療学会学術集会において、会長企画シンポジウム「緩和医療のdecision making」が企画された。これには会長の弦間 昭彦氏の“Decision Makingは患者の治療選択時に使用される言葉であるが、医療者にとって治療などで困惑した際に立ち止まって考える機会”という思いが込められている。

マンモ検診開始、40歳への引き下げは乳がん死を減少/Lancet Oncol

 40代から始めるマンモグラフィ検診の乳がん死への効果について、英国で行われた無作為化試験「UK Age試験」の最終結果が、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のStephen W. Duffy氏らにより公表された。40歳または41歳という、より若い年齢から始める毎年のマンモグラフィ検診は、乳がん死の相対的な減少と関連していることが示されたという。フォローアップ10年以降は有意差がみられなくなっていたが、絶対的減少は変わらなかった。結果を踏まえて著者は、「スクリーニング開始年齢を50歳から40歳に引き下げることは、乳がん死を減少すると思われる」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年9月号掲載の報告。  研究グループは、40~48歳時のマンモグラフィ検診の乳がん死への影響を推定する無作為化試験を行った。英国全土にわたる23ヵ所の乳がん検診施設で被験者を募り、39~41歳の女性を、一般医(GP)で層別化して1対2の割合で無作為に介入群と対照群に割り付けた。

術前療法を受けたHER2+乳がんの術後療法でのDS-8201、第III相試験開始/第一三共・AZ

 第一三共とアストラゼネカは11月4日、トラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ、開発コード:DS-8201)について、術前療法後に浸潤性残存病変を有する再発リスクの高いHER2陽性の乳がん患者を対象とした第III相試験(DESTINY-Breast05)を北米、欧州、アジアで開始したと発表した。  本試験は、術前療法を経た手術後に乳房または腋窩リンパ節に浸潤性残存病変を有するHER2陽性乳がん患者のうち、再発リスクが高い患者を対象とした本剤とT-DM1を直接比較する第III相試験。有効性の主要評価項目は無浸潤疾患生存期間(IDFS)、安全性の評価項目は有害事象などで、最大1,600例を登録予定である。

COVID-19、エクソソームによる予防と治療の可能性/日本癌治療学会

 10月に行われた第58回日本癌治療学会学術集会において、医療のさまざまな場面で活用されることが急増するリキッドバイオプシーの現状について、「目を見張る進歩をきたしたリキッドバイオプシー」とのテーマでシンポジウムが行われた。この中で東京医科大学の落谷 孝広氏(分子細胞治療研究部門)は「エクソソームによる新型コロナウイルス感染症の予防と治療」と題し、発表を行った。  エクソソームとは、細胞から分泌される直径50~150nm程度の物質で、表面には細胞膜由来の脂質やタンパク質、内部には核酸(マイクロRNA、メッセンジャーRNA、DNAなど)やタンパク質など細胞内の物質を含み、細胞間の情報伝達の役割を担うとされる。近年の研究においては、がん細胞由来のエクソソームが、がんの転移に深く関わることも明らかになっている。

乳がんでの免疫チェックポイント阻害薬の臨床開発はかなり複雑/日本癌治療学会

 2020年の乳がん診療におけるトピックスの1つとして、トリプルネガティブ(TN)乳がんに対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の第III相試験の結果が多く発表されたことが挙げられる。しかし、これらの結果にはまだまだ未知の要因が関係しており、その理解はかなり複雑である。福島県立医科大学の佐治 重衡氏は、乳がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の試験結果によるディスカッションポイントについて、第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)の会長企画シンポジウムにおける「乳癌診療の新たな構築 2020」で解説した。  乳がんでは腫瘍遺伝子変異量(TMB)が少ないとされ、免疫チェックポイント阻害薬への期待は高くはなかった。しかし、2019年にPD-L1陽性進行/再発TN乳がんに対するアテゾリズマブ+nabパクリタキセルが承認され、今後、ペムブロリズマブもKEYNOTE-355試験の結果を基にPD-L1陽性進行/再発TN乳がんに承認される可能性が高い。今回、佐治氏は、乳がんにおける免疫チェックポイント阻害薬治療でのディスカッションポイントとして、早期乳がんと進行/再発乳がんで免疫チェックポイント阻害薬の効果が異なる点、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせる化学療法によって異なる点を挙げ、それぞれ解説した。

筋電図バイオフィードバックは女性尿失禁に対する骨盤底筋訓練に有効なのか?:多施設共同研究(解説:宮嶋哲氏)-1313

無意識に行われている体内状態を適切な計測器によって測定し、その情報を画像や音の形で自身が意識できるよう呈示することにより、従来制御することが不可能であると考えられてきた体内の諸機能を意識的に制御することが可能であることがわかってきた。人体における意識にのぼらない情報を工学的な手段によって視聴覚等で感知させ意識上にフィードバックすることにより、体内状態を意識的に希望する方向へ調節する技術や訓練をバイオフィードバックと呼び、現在、さまざまな疾患において用いられている。