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多発性硬化症の症状は個人差が大きく確定診断まで約3年を待つ

 2018年3月29日、バイオジェン・ジャパン株式会社とエーザイ株式会社は、多発性硬化症に関するメディアセミナーを都内で共同開催した。セミナーでは、女性に多い本症について、疾患概要だけでなく、女性視点から闘病への悩みなども取り上げられた。  セミナーでは、清水 優子氏(東京女子医科大学病院 神経内科 准教授)を講師に迎え、「多発性硬化症の治療選択-女性患者のアンメットニーズとライフステージ」をテーマに講演が行われた。

心房細動の認知率が低い県は?全国5万人の調査

 心房細動は最も一般的な心原性脳塞栓症の原因であることから、心原性脳塞栓症の予防には心房細動の認知度を知ることが重要である。今回、聖マリアンナ医科大学の秋山 久尚氏らは、日本全国における心房細動の認知レベルについて大規模インターネット調査を実施。5万人以上から回答が得られ、心房細動をよく知っている人の割合は3.8%と非常に低く、また、年齢、性別、地域による認知度の違いがみられた。秋山氏らは「年齢や性別による認知度の違いを考慮し、認知度が低い都道府県を優先する啓発活動が将来的に心原性脳塞栓症の予防に重要」としている。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2018年3月30日号に掲載。

学校の試験成績と双極性障害発症との関連

 これまでの研究で、ハイスクールとロースクール両方での成績が双極性障害(BD)の発症と関連していることが示唆されているが、これらの研究では、交絡因子と考えられる親の精神症状の既往歴による調整は行われていない。また、学校の成績と双極性I型障害(BD-I)との関連も研究されていない。デンマーク・オーフス大学病院のSteffie Damgaard Pedersen氏らは、親の精神症状の既往歴を調整しながら、学校の試験成績とBD、BD-Iとの関連について検討を行った。Acta neuropsychiatrica誌オンライン版2018年3月13日号の報告。

ALK-TKIセリチニブの450mg食後投与を国内申請

 ALK-TKIセリチニブ(商品名:ジカディア)750mg空腹時投与は、未治療の進行ALK融合遺伝子陽性非小細がん(NSCLC)に優れた効果を示すものの、下痢、悪心嘔吐などの消化器症状が発現する。同患者に対し、セリチニブ450または600mgを低脂肪食と服用した群と、750mgの空腹時服用を比較した無作為化オープンラベル試験が行われた。第18回世界肺癌学会(WCLC)では、その中間解析が発表され、セリチニブ450mg+低脂肪食群は、750mg空腹時投与群と比べ、減量および中断が少なく治療強度が高く、また消化器AEも少ないという結果であった。ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:綱場 一成)は2018年3月29日、セリチニブについて、用法及び用量を「450mgの1日1回食後投与」に変更するための製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表。

全国の抗菌薬の使用状況が一目瞭然

 薬剤耐性(AMR)対策のために国立国際医療研究センターに設置された「AMR臨床リファレンスセンター」(センター長:大曲 貴夫氏)は、国内初の取り組みとして「国内都道府県別抗菌薬使用量(販売量)統計データ」の公開ならびに「薬剤耐性(AMR)ワンヘルス動向調査」のWEBサイト開設を4月3日に発表した。これら抗菌薬使用量や薬剤耐性菌のサーベイランス(調査・監視システム)は、今後のAMR対策の重要な基礎データとなる。

イスラム過激派組織による拘束後のレイプとPTSD

 戦争や戦闘的な状況にある女性に対して、レイプが及ぼす心理的な影響に関する研究は限られている。イラク・ドホーク大学のJan Ilhan Kizilhan氏は、イスラム過激派組織(IS)による拘束中のレイプを報告したヤジディ教徒の女性における、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の有病率と特質を調査し、他の心理学的障害の合併、PTSDに関連するリスクファクターについて調査を行った。Archives of women's mental health誌オンライン版2018年3月10日号の報告。

心不全を予防するために何をすべきか/日本循環器学会

 高齢者の増加と共に心不全患者数も増加し、わが国は、心不全パンデミック時代に直面しようとしている。そのような中、今後、心不全については治療だけでなく、予防という観点が重要となる。2018年3月23~25日に大阪で開催された、第82回日本循環器学会学術集会プレナリーセッションで、わが国の心不全予防について、佐賀大学 循環器内科 田中 敦史氏が講演した。

ダプソン過敏性症候群、アジア人でHLA遺伝子型と関連

 ダプソン(ジアフェニルスルホン)過敏性症候群(DHS)は致命的な薬物有害反応で、疫学研究によれば、DHSではHLA遺伝子型が重要な役割を果たす可能性があることが知られている。タイ・ナレースワン大学のWimonchat Tangamornsuksan氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析により、ダプソン誘発皮膚薬物有害反応(cADR)がHLA-B*1301と関連していることを確認した。著者は、「患者の安全性のため、アジア人ではダプソン投与前にHLA-B*1301に関する遺伝子検査を行う必要がある」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年3月14日号掲載の報告。

高齢・心房細動合併、日本人の拡張期心不全患者(JASPER)/日本循環器学会

 本邦における拡張期心不全(HFpEF)入院患者の現状、長期アウトカムなどは明らかになっていない。2018年3月23〜25日に大阪で開催された、第82回日本循環器学会学術集会で、北海道大学 安斉 俊久氏が、「本邦における拡張期心不全の実態に関する多施設共同調査研究」JASPER試験(JApanese heart failure Syndrome with Preserved Ejection fRaction Study)の結果を初めて発表した。

オラパリブの乳がんコンパニオン診断プログラムが国内承認

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は3月29日、ミリアド ジェネティック ラボラトリーズ,インク(本社:アメリカ合衆国ユタ州ソルトレークシティ)が、オラパリブ(商品名:リムパーザ)の乳がん患者への適応判定のコンパニオン診断プログラムとして、「BRACAnalysis診断システム」の外国製造医療機器としての国内における製造販売承認を取得したと発表。オラパリブの「BRCA遺伝子変異陽性の手術不能または再発乳がん」の適応については、アストラゼネカが国内承認申請中。

アテゾリズマブ併用療法、進行肺がん1次治療でOS有意差(IMpower150)

 F. ホフマン・ラ・ロシュ社は3月26日、第III相臨床試験IMpower150試験に関し、中間解析において主要評価項目の一つである全生存期間(OS)の延長が示され、進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療におけるアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)とベバシズマブ、カルボプラチン、パクリタキセル(化学療法)の併用により、ベバシズマブ、カルボプラチン、パクリタキセルの併用に比べ、生存期間の延長が示されたことを発表した。OSの延長は、PD-L1発現状況によって層別化されたグループを含む、主要なサブグループに共通して認められた。アテゾリズマブとベバシズマブ、カルボプラチン、パクリタキセルの安全性は、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、本併用療法で新たな安全性のシグナルは確認されなかった。これらの成績は、今後開催されるがん関連学会で発表される予定。

認知症発症に対するアルコール使用障害の影響に関するコホート研究

 認知症は、60歳以上の5~7%に影響を及ぼす一般的な症状であり、世界的に60歳以上の人々にとって主要な障害の原因となっている。フランス・国立保健医学研究所(INSERM)のMichael Schwarzinger氏らは、若年性認知症(65歳未満)に焦点を当て、アルコール使用障害と認知症リスクとの関連について検討を行った。The Lancet Public health誌2018年3月号の報告。

抗VEGF薬、全身性有害事象リスクの増加はなし

 フランス・Bretonneau HospitalのMarie Thulliez氏らは、滲出型加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫または網膜静脈閉塞患者において、抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬硝子体内注射と全身性有害事象との関連を評価するため、それらを検討したシステマティックレビューおよびメタ解析について要約を行った。「抗VEGF療法は全身性有害事象のリスクを増加することはない。しかし、出血リスクの高い加齢黄斑変性の高齢患者に、ラニビズマブを投与する際には注意をすることが望ましい」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年3月22日号掲載の報告。

日本のPCI患者のDAPT期間。リアルワールドでは6ヵ月?/日本循環器学会

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)における適正な抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の適正な期間は明らかになっていない。福岡山王病院 循環器センターの横井宏佳氏が、2018年3月23〜25日に大阪で開催された第82回日本循環器学会学術集会Late Breaking Cohort Studiesにて、リアルワールドデータを解析した日本人患者のDAPT継続期間とアウトカムの疫学研究を発表した。

成人における抗うつ薬使用と副作用リスクに関するコホート研究

 抗うつ薬は、若年および中年成人に対し最も一般的に処方される薬剤の1つであるが、この年齢層における一連の有害なアウトカムについての安全性に関する情報は、あまり多くない。英国・ノッティンガム大学のCarol Coupland氏らは、うつ病と診断された20~64歳における抗うつ薬治療と有害なアウトカムとの関連を評価するため、検討を行った。BMC medicine誌2018年3月8日号の報告。