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寝室の環境と不眠症との関係~RHINE-IIIの横断研究

 交通騒音は睡眠障害リスクを高めるといわれているが、不眠症状に対する交通関連の大気汚染の影響については、あまり知られていない。スウェーデン・ウプサラ大学のEmma Janson氏らは、交通への近接状況および交通騒音と不眠症との関連について調査を行った。Journal of Clinical Sleep Medicine誌オンライン版2020年2月5日号の報告。対象は、Respiratory Health in Northern Europe(RHINE)研究に含まれる、1945~73年に北欧州の7つの医療センターで生まれた男女からランダムに選択された。寝室での交通騒音、寝室の窓からの交通近接状況、不眠症状についての情報を、自己報告により収集した。交通関連の大気汚染への曝露は、

がん患者が過剰摂取しやすいサプリメントは?

 多くのがん患者は、がん診断後に栄養補助食品を使い始める傾向にある。そのため、がんではない人と比べ、どのような栄養補助食品が、がんサバイバーの総栄養摂取量に寄与しているかを検証する必要がある。今回、米国・タフツ大学のMengxi Du氏らは「がんではない人と比較した結果、がんサバイバーへの栄養補助食品の普及率は高く、使用量も多い。しかし、食事摂取量は少ない」ことを明らかにした。研究者らは「がんサバイバーは食事からの栄養摂取が不十分である。とくに高用量を摂取する栄養補助食品の短期~長期的使用による健康への影響について、がんサバイバー間でさらに評価する必要がある」としている。Journal of Nutrition誌オンライン版2020年2月26日号掲載の報告。

乾癬患者、生物学的製剤の用量低減戦略vs.通常ケア

 「生物学的製剤は、乾癬治療に革命をもたらした」。では、次なる一手として、症状が安定した後の同製剤の用量低減戦略は、通常ケアに対して非劣性なのか。オランダ・ラドバウド大学医療センターのSelma Atalay氏らによる無作為化試験の結果、Psoriasis Area and Severity Index(PASI)スコアベースの評価では非劣性は示されなかったが、健康関連QOL(Dermatology Life Quality Index:DLQIなど)をベースとした評価では用量低減戦略の非劣性が示されたという。結果を踏まえて著者は、「リアルライフの設定で用量低減は可能だが、PASIとDLQIをモニタリングする厳格なスキームが不可欠である」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年2月12日号掲載の報告。

オラパリブ、BRCA遺伝子変異膵がん維持療法として希少疾病用医薬品に/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、3月17日、オラパリブ(商品名:リムパーザ)がBRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵がんにおける維持療法として、希少疾病用医薬品指定を取得したと発表。  海外第III相臨床試験(POLO試験)において、オラパリブは生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性転移性膵がん患者の無増悪生存期間(PFS)の中央値を、プラセボ群3.8ヵ月に対し7.4ヵ月と、ほぼ2倍に延長した。また、POLO試験におけるオラパリブの安全性および忍容性プロファイルは、これまでの試験とほぼ一致していた。

オシメルチニブ、uncommon EGFR変異にも有効か/JCO

  uncommon変異はEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者の約10%にみられる。 EGFR変異陽性のNSCLCにおけるオシメルチニブの有用性は広く知られているが、 uncommon変異についてはどうか。 uncommon EGFR変異を有するNSCLC患者に対するオシメルチニブの有効性と安全性を評価した韓国の多施設単群非盲検第II相試験がJournal of Clinical Oncology誌2019年2月10日号で発表された。 対象:exon19 del、L858R、T790M変異以外の転移または再発NSCLC

マンモグラフィ、AIと医師一人読影の併用で高精度に

 人工知能(AI)は人間によるマンモグラフィ読影の限界を克服できるのだろうか。今回、米国・セージバイオネットワークスのThomas Schaffter氏らが検討したところ、AI単独では放射線科医を上回ることはなかったが、放射線科医の一人読影との併用で精度が改善することが示された。JAMA Network Open誌2020年3月2日号で発表した。診断精度に関する本研究は2016年9月~2017年11月に実施され、マンモグラフィ検診の読影に絞ったAIアルゴリズム開発を促進するために、国際的なクラウドソーシングチャレンジが開催された。44ヵ国126チーム、1,100人以上が参加し、2016年11月18日に分析を開始した。

現場に即した新型コロナ対策シンポジウムを配信/ファイザー

 ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区)は、新型コロナウイルス感染症に関する情報提供の一環として、3月23日(月)、31日(火)に医療者向けインターネットシンポジウムを開催する。両日とも、現場の第一線で活躍する忽那 賢志氏らが講演を行う予定で、同社の無料会員制サイト『PfizerPRO』から視聴可能である。  詳細は以下のとおり。 (1)COVID-19セミナー 現場に届け、緊急新型コロナ対策  演題名:「新型コロナ:今分かっている事、出来る事」

インスリンポンプ療法に特化したQOL尺度を新規開発

 最近の1型糖尿病に対する先進的な糖尿病関連デバイスは、持続血糖モニタリング(CGM)や持続皮下インスリン注入療法(CSII)など、めざましい進歩を遂げている。  とくにインスリンポンプ療法は、毎回煩雑な手順を踏んで注射しなくてよいため、食事の際や高血糖時など、目標の血糖まで速やかに修正できるなどのメリットがある。一方、常に装着しておかなければならず、装着部位のかゆみや服の制約などのデメリットもある。

新型コロナ感染後、発症前の2次感染が多い可能性

 新型コロナウイルスの連鎖感染の連続症例の発症間隔について、北海道大学の西浦 博氏らが28ペアの連続症例のデータから推計したところ、潜伏期間中央値(約5日)と同等もしくはそれより短かった。この結果は、感染から発症までの間に、多くの2次感染が起こっている可能性を示唆している。International Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2020年3月4日号に掲載。流行初期に湖北省武漢市で報告されたデータを使用した疫学研究(Li Q, et al. N Engl J Med. 2020 Jan 29. [Epub ahead of print])では、連続症例の

急性期病棟から退院した統合失調症患者の再入院リスク因子

 予定外の再入院率は、精神科医療におけるケアの質を評価するうえで、重要な指標である。しかし、統合失調症スペクトラム障害患者を対象とした、再入院を予測するためのリスクモデルはなかった。中国・Castle Peak HospitalのKeith Hariman氏らは、精神科急性期病棟から退院した統合失調症スペクトラム障害患者における、退院後28日間の事故や救急受診での予定外の再入院を予測するための臨床リスク予測モデルについて検討を行った。BJPsych Open誌2020年1月28日号の

COVID-19疑い例の診療に関する留意点/日本医師会

 3月11日、日本医師会・釜萢 敏氏(同会感染症危機管理対策室長)は、「新型コロナウイルス感染症が疑われる者の診療に関する留意点について」記者会見で説明し、一般の医療機関においても十分な周知を求めた。  釜萢氏は、地域の各医療機関の外来に共通する感染予防策として、基本的に誰もが新型コロナウイルスを保有している可能性があることを想定し、すべての患者の診療において、標準予防策であるサージカルマスクの着用と手指衛生の励行を徹底するよう指示した。

COVID-19への初期診療の手引きが完成/日本プライマリ・ケア連合学会

 日本プライマリ・ケア連合学会(理事長:草場 鉄周)は、3月11日の同連合学会のホームページ上で「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療所・病院のプライマリ・ケア初期診療の手引き」を公開(ダウンロード可能)した。  本手引きは、病院などの療資源の制限されたセッティングでの診療を想定し、理想的な感染管理と現実との間の妥協点の例を案として示すことを目的として、同連合会の予防医療・健康増進委員会の感染対策プロジェクトチームの監修で作成された。

成人社交不安症に対する薬物療法~メタ解析

 社交不安症(SAD)に対する薬物療法について、治療薬の有効性や忍容性、介入効果、エビデンスの質についての評価を含めた情報をアップデートするため、南アフリカ共和国・ケープタウン大学のTaryn Williams氏らは、システマティックレビューとメタ解析を実施した。Acta Neuropsychiatrica誌オンライン版2020年2月10日号の報告。SAD治療における薬理学的介入またはプラセボと比較したRCTを、Common Mental Disorder Controlled Trial Registerおよび2つのトライアルレジスターより検索した。ランダム効果モデルを用いて標準的なペアワイズメタ解析を、統計解析ソフトRを用いてネットワークメタ解析を実施した。また、エビデンスの質も評価した。

COVID-19、空気・環境表面・PPEからの感染リスクは?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における医療機関内での感染が懸念されているが、環境汚染の程度と感染リスクの関係は明らかになっていない。シンガポール国立感染症センターのSean Wei Xiang氏らは、患者が隔離されている部屋と控え室、診察にあたった試験担当医師のPPE(個人用保護具)からサンプルを収集、その汚染程度を調査した結果をJAMA誌オンライン版2020年3月4日号のリサーチレターに報告した。  2020年1月24日~2月4日、COVID-19患者3例が隔離されている部屋と浴室において、1例は定期清掃前、2例は定期清掃後にサンプルを採取した。部屋の接触頻度の多い部分は5,000ppmのジクロロイソシアヌル酸ナトリウムで清拭(1日2回)、床は1,000ppmのジクロロイソシアヌル酸ナトリウムで清拭した(1日1回)。2週間の隔離期間のうち採取を実施したのは5日間だった。

COVID-19、PCR検査検体採取の実際/日本臨床微生物学会

 2020年3月5日、日本臨床微生物学会は「COVID-19緊急Webセミナー」を行った(司会は舘田 一博氏[東邦大学医学部 微生物・感染症学講座 教授]・大塚喜人氏[亀田総合病院 臨床検査部 部長])。  Web配信形式で行われた本セミナーは、臨床検査に関わる医療従事者(医師、臨床検査技師、看護師等)を対象として、PCR検査の検体採取時の注意点、保管・輸送方法、検査結果の解釈等について周知を図る目的で開催された(準備ができ次第、 学会サイトで動画公開予定)。

早期発症統合失調症のアウトカム予測因子~10年間のフォローアップより

 早期発症統合失調症(EOS)のアウトカム不良の予測因子は、発症年齢の若さであると考えられているが、これを裏付ける疫学データは十分ではない。中国・北京大学のLingzi Xu氏らは、発症年齢に焦点を当て、EOS患者の長期的アウトカムと機能障害の予測因子について調査を行った。BMC Psychiatry誌2020年2月14日号の報告。  2006年に入院したEOS患者118例(ベースライン時の平均年齢:13.3±2.3歳)を連続登録した。インタビューを完了した患者は、65例であった。ベースラインデータを、入院患者のカルテより収集し、フォローアップ調査を、主に患者家族への電話インタビューを通じて実施した。フォローアップ時の全体の機能測定には、WHODAS 2.0を用いた。アウトカムには、教育、雇用、婚姻、身体的健康、その後の診断と治療、患者機能を含めた。単変量および多変量回帰モデルを用いて、アウトカムの予測因子を評価し、機能的アウトカムに対する発症年齢の影響を分析する際の交絡調整には、傾向スコアを用いた。

エリブリン治療における乳がん患者のOS予測因子は?(EMBRACE試験)

 局所進行または転移を有する乳がん(MBC)患者へのエリブリン治療における、全生存期間(OS)の予測因子が評価された。これまでに、好中球・リンパ球比(NLR)がエリブリン治療における無増悪生存期間(PFS)の予測因子となる可能性が示唆されている。兵庫医科大学の三好 康雄氏らによる、Breast Cancer誌オンライン版2020年3月5日号掲載の報告より。  研究グループは、アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む前治療歴のあるMBC患者に対する、エリブリンと主治医選択薬(TPC)の有効性を比較した第III相EMBRACE試験のPost-Hoc解析を実施。ベースライン時のリンパ球絶対数(ALC)およびNLRとOSの関連が両群で評価された。

NSCLCの術後補助化学療法、適正レジメンは?(TORG 0503)/Lung Cancer

 日本発の、非小細胞肺がん(NSCLC)術後補助化学療法の適正レジメンが示された。完全切除されたStage IB、IIおよびIIIAのNSCLCでは、術後補助化学療法が標準治療であるが、これまで最適な化学療法レジメンは決定されていない。日本医科大学呼吸器内科の久保田馨氏らは、これらの患者において望ましいプラチナベースの第3世代レジメンを選択する「TORG0503試験」を実施した。その結果、ドセタキセル+シスプラチン併用療法とパクリタキセル+カルボプラチン併用療法が、術後補助化学療法として安全に施行できることが示された。

視力と認知症との関係

 視力の低下と認知症リスクとの関連を調査した縦断的エビデンスの結果は一致していない。香港中文大学のAllen T. C. Lee氏らは、誤分類、逆因果関係、健康上の問題や行動による交絡因子に関連するバイアスとは無関係に、高齢者の大規模なコミュニティーコホートにおける視力低下と認知症発症率との関連を調査した。The Journals of Gerontology誌Series Aオンライン版2020年2月11日号の報告。  ベースライン時に認知症でない地域在住高齢者1万5,576例を対象に、認知症発症について6年間フォローアップを行った。認知症診断は、ICD-10または臨床的認知症尺度(CDR)1~3に従って実施した。ベースラインおよびフォローアップ時の視力評価には、スネレン視力表を用いた。人口統計(年齢、性別、教育、社会経済的地位)、身体的および精神医学的併存疾患(心血管リスク、眼科的状態、聴覚障害、運動不足、うつ病)、ライフスタイル(喫煙、食事、身体活動、知的活動、社会活動)についても評価した。

新型コロナウイルス感染症、気になる他診療所の動向は?-会員医師アンケート

 連日、ニュースで大きく取り上げられている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。医師の皆さまは「診療所でどこまで対応するべきなのか」「ほかの施設では検査を希望する患者はいたのか?」など、さまざまな疑問をお持ちではないだろうか。ケアネットでは2020年3月5日(木)、病床を有していない診療所で働く会員医師103名に「新型コロナウイルス感染症、自施設での対応策や困っていること」についてアンケートを行った。アンケートでは、「COVID-19の検査を希望した患者数」「COVID-19を考慮し、患者と医療者のそれぞれを守るために日常診療で実施している対応や対策」「COVID-19の影響で日常診療において困っていることや、知りたいこと」について聞いた。