医療一般|page:239

糖尿病患者にエクササイズ動画を配信/ノボ ノルディスク ファーマ

 新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により、高血圧や糖尿病などの慢性疾患を抱える患者の診療の手控えに加え、不要不急の外出への遠慮から外での運動機会も減少している。とくに糖尿病では、運動療法は患者にとって食事療法・薬物療法と並ぶ治療の3本柱の1つであり、運動不足により血糖値のコントロール不良が憂慮されている。  ノボ ノルディスク ファーマ株式会社は、こうした状況に鑑み、糖尿病患者の健康維持を目的とした「自宅で簡単にできるエクササイズ動画」を制作し、7月より配信を開始した。  糖尿病患者向けエクササイズ動画は、日本糖尿病協会(理事長:清野 裕)の監修のもと、自身も1型糖尿病である元エアロビクス世界チャンピオンの大村 詠一氏がエクササイズ内容を考案し、自ら動画で実演しているもの。

精神科入院患者のリハビリテーション、マインドフルネスグループの導入効果

 精神科リハビリテーションサービスを受けている患者は、複雑な長期にわたる問題を抱えており、しばしば治療抵抗性といわれる。このような患者では、統合失調症などのメンタルヘルス診断と合わせて、複雑なトラウマ歴、アルコール依存や薬物乱用、認知障害が頻繁にみられる。治療抵抗性統合失調症の治療では、クロザピン療法以外の効果的な治療法は知られていないが、マインドフルネスがストレス体験に対処する能力を向上させることが予備的エビデンスで示されている。英国・エディンバラ大学のAudrey Millar氏らは、マインドフルネスプラクティスグループが、入院患者のリハビリ環境下で許容できる治療介入であるかについて検討を行った。また、ウェルビーイングのモニタリングも実施した。BMC Psychiatry誌2020年6月20日号の報告。

COVID-19、31ヵ国716例にみる皮膚科症状の特徴は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、特徴的な皮膚科症状が認められると伝えられている。米国・ハーバード大学医学大学院/マサチューセッツ総合病院皮膚科部門のEsther E. Freeman氏らは、それらの皮膚科症状を特徴付け、根底にある病態生理の解明を促進する目的で、国際レジストリの症例集積研究を行った。その結果、多くの症状は非特異的であったが、COVID-19の病態生理における潜在的な免疫や炎症性反応の解明に役立つ可能性がある知見が得られたという。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年7月2日号掲載の報告。  研究グループは、米国皮膚科学会および国際皮膚科学会連盟の国際レジストリを用いて症例集積研究を行い、COVID-19が確認または疑われ、新規発症の皮膚科症状が認められた患者のデータを分析した。

子供の教育費と親のうつ病との関係

 韓国では、社会文化的背景の影響により高等教育(higher education)が急速に成長しており、子供の教育には、世帯収入の大部分が費やされている。学習塾や予備校などの私教育(private education)は、子供の心理や行動に影響を与えると考えられてきた。しかし、これらの費用を支払う両親を対象とした研究は、これまで行われていなかった。世帯収入や教育レベルは、社会経済的地位(SES)を決定する重要な因子であり、教育費の捻出は、抑うつ症状の発症に影響を及ぼす可能性がある。韓国・延世大学校のByeong Cheol Oh氏らは、韓国における私教育費と両親のうつ病との関係について調査を行った。BMC Public Health誌2020年6月20日号の報告。

セクキヌマブ、体軸性脊椎関節炎にFDA承認 /ノバルティス

 ノバルティス ファーマ株式会社は、同社が製造販売するセクキヌマブ(商品名:コセンティクス)が、X線基準を満たさない活動性の体軸性脊椎関節炎(以下「nr-axSpA」という)の治療薬として米国食品医薬品局(FDA)の効能追加承認を取得したと発表した。  体軸性脊椎関節炎(以下「axSpA」という)は、慢性炎症性背部痛を特徴とする慢性炎症性疾患。axSpAの疾患スペクトラムには、X線基準により仙腸関節の損傷が確認される強直性脊椎炎(以下「AS」という)と、X線基準により明らかな関節損傷が認められないnr-axSpAが含まれる。axSpAによる身体的な制限は、患者のADLやQOLに重大な影響を与える疾患である。

ASCO作成COVID-19流行下のがん治療の指針、和訳版を公開/日本癌治療学会

 日本癌治療学会は7月9日、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が作成した「ASCOスペシャルレポート:COVID-19の世界的流行下におけるがん治療の実施に関する指針」をホームページ上で公開した。この指針は、COVID-19 の世界的大流行への対応を継続する中で患者および医療スタッフの安全性を保護するため、がん診療で実施可能な即時および短期の措置についてASCOが世界的視野に立ち作成、5月19日に発表されたもの。  和訳版は全22ページからなり、下記20項目について知見がまとめられている

双極性障害の薬理学的マネジメント~日本の専門医のコンセンサス

 慶應義塾大学の櫻井 準氏らは、双極I型障害および双極II型障害の精神薬理学的治療に関する日本臨床精神神経薬理学会が認定する専門医によるコンセンサスガイドラインを作成することを目的に本研究を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年6月17日号の報告。  日本臨床精神神経薬理学会が認定する専門医を対象に、双極性障害治療における19の臨床状況について、9段階のリッカート尺度(同意しない「1」~同意する「9」)を用いて、治療オプションの評価を依頼した。119件の回答が得られた。治療オプションを、1次、2次、3次治療に分類した。

無症状者でも唾液を用いたPCR検査が可能に/厚労省

 新型コロナウイルスへの感染を調べる検査について、厚生労働省は7月17日より、無症状者に対しても、唾液を用いたPCR検査(LAMP法含む)および抗原定量検査を活用可能とすることを発表した。ただし、簡易キットによる抗原検査については今後研究を進める予定で、現状唾液検体の活用は認められていない。これまで、PCR検査、抗原定量検査ともに唾液検体については、発症から9日目以内の有症状者のみ活用が認められていた。  今回の決定は、都内で無症状者を対象に、唾液を用いたPCR検査および抗原定量検査と、鼻咽頭拭い液PCR検査結果を比較し、高い一致率を確認したことを受け、7月15日開催の第44回厚生科学審議会感染症部会の審議を経て、活用可能と判断されたことに基づく。

認知症発症に対する修正可能なリスク因子~メタ解析

 高齢者の認知症発症に対する修正可能なリスク因子について、中国・蘇州大学のJing-Hong Liang氏らが、システマティックレビューおよびベイジアン・ネットワークメタ解析を実施した。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2020年6月17日号の報告。  複数の電子データベースより、2019年5月1日までのプロスペクティブコホート研究を網羅的かつ包括的に検索した。認知症でない参加者は、50歳以上とした。ベイジアン・ネットワークメタ解析を行うため、必要なデータを適格研究より抽出した。

早期乳がんの全乳房5分割照射、10年後の結果(FAST)/JCO

 早期乳がんに対する術後寡分割放射線療法において、従来の50Gy/25回/5週レジメンの晩期有害事象の軽減の観点から、総線量を減らした週1回5分割レジメンを検討した多施設無作為化第III相FAST試験。今回、放射線治療後5年の乳房の外観変化と10年の正常組織への影響(NTE)と腫瘍アウトカムについて、英国・University Hospitals of North Midlands NHS TrustのAdrian Murray Brunt氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年7月14日号に掲載。  本試験では、50歳以上の低リスク浸潤性乳がん(pT1-2 pN0)の女性を、乳房温存手術後の全乳房照射のレジメンを、50Gy/25回/5週、30Gy/5回/5週(週1回6.0Gy)、28.5Gy/5回/5週(週1回5.7Gy)の3群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、2年後と5年後の写真での乳房外観の変化、副次評価項目は医師によるNTE評価と局所腫瘍制御であった。縦断的分析によるオッズ比(OR)でレジメンを比較した。

単極性と双極性うつ病における自殺念慮の比較

 青年期の単極性うつ病(UD)と双極性うつ病(BD)における自殺念慮や自殺企図のリスクについて、米国・Griffin Memorial HospitalのRikinkumar S. Patel氏らが検討を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2020年6月15日号の報告。  対象は、米国入院患者サンプルより抽出した12~17歳の青年患者13万1,740例(UD:92.6%、BD:7.4%)。自殺行動のオッズ比(OR)を算出するため、人口統計学的交絡因子および併存疾患で調整したロジスティック回帰を用いた。

日医・中川会長「身体が震えるほどの怒り」、乳腺外科医の控訴審判決

 15日、日本医師会の記者会見で、今村 聡副会長が乳腺外科医の控訴審判決に関する日医の見解について言及した。  手術直後の女性患者への準強制わいせつ罪に問われた執刀医が、逮捕勾留・起訴された事件では、一審で無罪判決が言い渡されたが、検察は控訴。7月13日に控訴審判決が行われた。東京高等裁判所は、一審の無罪判決を破棄し、懲役2年の実刑判決を言い渡した。  報道によれば、控訴審判決ではせん妄の診断基準について、学術的にコンセンサスが得られているDSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)に当てはめずに、独自の基準でせん妄や幻覚の可能性を否定した医師の見解が採用されたというという。

新型コロナ抗体検査「陽性」8例で中和抗体を確認、国内初

 厚生労働省は7月14日、6月に3都府県で実施した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗体検査で陽性となった8例について抗体量を測定したところ、全例で実際にウイルス感染阻害機能を持つ抗体量(中和抗体価)が確認されたと発表した。新型コロナウイルスに対する免疫獲得が確認されたのは、国内では初めてとなる。  厚労省は、6月1~7日に東京都・大阪府・宮城県の一般住民それぞれ約3,000名を無作為化抽出して抗体保有調査を実施。

日本初の試み「患者提案型医師主導治験」がスタート

 患者が要望し、医師が主導するという新たな形態の臨床試験がスタートする。7月9日に行われたWebセミナー「今ある薬を、使えるようにするために―Wanna Be a part of History ?―」では、日本初となるこの「患者提案型医師主導治験」の実現までの道筋や背景が説明された。  今回の治験「WJOG12819L」は、非小細胞肺がん(NSCLC)に対するオシメルチニブの適応拡大を目指す目的で行われる第II相試験。オシメルチニブの添付文書では「他のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による治療歴を有し、病勢進行が確認されている患者では、EGFR T790M変異が確認された患者に投与すること」とされている。

扁平上皮肺がん、ペムブロリズマブ+化学療法による1次治療の最終解析(KEYNOTE-407)/JTO

 扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)について、ペムブロリズマブ+化学療法の1次治療は引き続き、予後良好であることが示された。スペイン・Universidad Complutense & CiberoncのLuis Paz-Ares氏らが、化学療法未治療の転移を有する扁平上皮NSCLC患者を対象とした無作為化比較試験「KEYNOTE-407試験」の最終解析のアップデート、および2次治療での進行に関する解析を行った。今回の解析でも、ペムブロリズマブと化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセル)の併用による全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の改善は維持されていた。また、無作為化から2次治療における病勢進行(PD)または死亡までの期間であるPFS-2も、良好であることが示されたという。KEYNOTE-407試験の今回の解析結果を踏まえて著者は、「PFS-2の解析結果からも、転移を有する扁平上皮NSCLCに対する1次治療の標準治療としてペムブロリズマブ+化学療法併用が支持される」とまとめている。Journal of Thoracic Oncology誌オンライン版2020年6月26日号掲載の報告。

重度統合失調症に対する抗精神病薬とECT増強療法

 統合失調症の治療において、電気けいれん療法(ECT)を支持する肯定的なエビデンスが増加しているが、これが実臨床の状況をどの程度反映しているかはよくわかっていない。トルコ・Erenkoy Training and Research Hospital for Psychiatry and Neurological DiseasesのNazife Gamze Usta Saglam氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬とECT増強療法の有効性を、自然主義的観察環境で調査した。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2020年6月15日号の報告。  対象は、急性増悪のために入院した統合失調症患者81例。抗精神病薬のみで治療された患者(AP群)とECT増強療法を併用した患者(ECT群)の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)スコアの変化を比較した。

アルツハイマー病や軽度認知障害に対する高気圧酸素療法

 低酸素症などの環境的要因がアルツハイマー病(AD)の発症に影響を及ぼす可能性が報告されている。体内組織の酸素供給や脳の低酸素状態を改善する高気圧酸素療法は、ADおよび健忘型軽度認知障害(aMCI)の代替療法となりうる可能性がある。中国・大連医科大学のJianwen Chen氏らは、ADおよびaMCIに対する高気圧酸素療法の潜在的な治療効果について調査を行った。Alzheimer's & Dementia(New York, N. Y.)誌2020年6月14日号の報告。  対象は、高気圧酸素療法を受けたAD群42例、aMCI群11例および高気圧酸素療法を受けなかった対照AD群30例。AD群およびaMCI群には、1日1回40分間の高気圧酸素療法を20日間実施し、治療1、3、6ヵ月後のフォローアップ時にミニメンタルステート検査(MMSE)、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)、ADL尺度を含む神経精神医学的評価を行った。対照AD群の臨床プロファイルは、AD群と同様であった。AD/aMCI群の10例については、FDG-PET検査を実施した。

アビガン、ウイルス消失傾向も有意差示せず/多施設無作為化試験

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の無症状および軽症患者に対するファビピラビル(商品名:アビガン)のウイルス量低減効果を検討した多施設非盲検ランダム化臨床試験の最終結果の暫定的な解析から、通常投与群(1日目から投与)は遅延投与群(6日目から投与)に比べて6日までにウイルスの消失や解熱に至りやすい傾向が見られたが、統計学的に有意ではなかったことを、7月10日、藤田医科大学が発表した。本研究の詳細なデータを速やかに論文発表できるよう準備を進めるという。

男性のBRCA変異、1と2でがん発症に違い/JAMA Oncol

 生殖細胞系列BRCA1/2の病原性変異体(pathogenic variant:PV)を持つ男性のがん早期発見とリスク低減のために、イタリア・Sapienza University of RomeのValentina Silvestri氏らは、BRCA1とBRCA2のそれぞれのPVキャリアにおけるがんスペクトルと頻度を調査した。その結果、がん発症者(とくに乳がん、前立腺がん、膵がん)および複数の原発腫瘍発症者は、BRCA1 PVキャリアよりBRCA2 PVキャリアである可能性が高かった。JAMA Oncology誌オンライン版2020年7月2日号に掲載。  本研究は後ろ向きコホート研究で、Consortium of Investigators of Modifiers of BRCA1/2(CIMBA)を通じて共同研究している世界33ヵ国53グループにより、1966~2017年にがん遺伝学クリニックで集めた18歳以上の6,902人(BRCA1 PVキャリア3,651人、BRCA2 PVキャリア3,251人)が対象。臨床データと病理学的特徴を収集した。オッズ比(OR)はすべて、年齢、出身国、初回面接の暦年で調整した。

コロナ自粛でイライラや暴力行為、低年齢ほど傾向強く

 新型コロナウイルスの流行は、感染への不安や恐れもさることながら、さまざまな社会・経済行動の自粛とstay homeによる生活の変化がもたらした緊張やストレスも大きかった。国立成育医療センターは、全国の7~17歳までの子供および0~17歳の子供がいる保護者を対象に、インターネットでアンケートを実施。その回答結果によると、すぐにイライラしたり、自傷や他人への危害といった何らかのストレス反応を呈したりした子供が75%にのぼった一方、保護者の62%が心に何らかの負担を感じていたことがわかり、これまでに経験したことのない自粛生活が親・子の双方に大きく影響を及ぼしていた様子がうかがえる。