StageIII NSCLC、周術期ニボルマブ上乗せで生存改善(NADIM II)/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2023/07/20

 

 切除可能なStageIIIA/IIIBの非小細胞肺がん(NSCLC)における術前補助療法について、ニボルマブ+化学療法は化学療法のみの場合と比べ、病理学的完全奏効(CR)の割合は有意に高率(相対リスク5.34)で、生存延長にも結び付くことが示された。スペイン・Puerta de Hierro-Majadahonda大学病院のMariano Provencio氏らが、非盲検第II相無作為化比較試験の結果を報告した。NSCLC患者の約20%がStageIIIを占める。これら患者の最も至適な治療についてコンセンサスが得られていなかった。NEJM誌オンライン版2023年6月28日号掲載の報告。

病理学的CR、PFS、OSなどを検証

 研究グループは、切除可能なStageIIIA/IIIBのNSCLCの患者を無作為に2群に分け、一方には術前補助療法としてニボルマブ+プラチナ製剤ベースの化学療法(実験群)を、もう一方には、同様の化学療法のみを行い(対照群)、両群ともにその後手術を実施した。実験群でR0切除を受けた被験者に対しては、術後6ヵ月間、ニボルマブ補助療法を行った。

 主要評価項目は、病理学的CR(切除した肺・リンパ節残存腫瘍0%)だった。副次評価項目は、24ヵ月時点の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)で安全性も評価した。

2年推定PFSは実験群67.2%、対照群40.9%

 86例が無作為化され、実験群は57例、対照群は29例だった。病理学的CRが認められたのは、実験群37%、対照群7%だった(相対リスク:5.34、95%信頼区間[CI]:1.34~21.23、p=0.02)。手術を受けたのは、実験群93%、対照群69%だった(相対リスク:1.35、95%CI:1.05~1.74)。

 24ヵ月時点のKaplan-Meier法による推定PFSは、実験群67.2%、対照群40.9%で、実験群で有意に高率だった(病勢進行・再発・死亡ハザード比[HR]:0.47、95%CI:0.25~0.88)。同様のOSは、実験群85.0%、対照群63.6%だった(死亡HR:0.43、95%CI:0.19~0.98)。

 Grade3または4の有害事象の発生は、実験群11例(19%、何例かは両グレードを報告)、対照群3例(10%)だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)