糖尿病患者の身体活動継続に行動介入は有効か/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2019/03/15

 

 2型糖尿病患者において、行動介入戦略は、標準ケアと比較し身体活動の持続的な増加と座位時間の減少をもたらすことが示された。イタリア・ローマ・ラ・サピエンツァ大学のStefano Balducci氏らが、ローマの糖尿病クリニック3施設で実施した無作為化非盲検試験(評価者盲検優越性試験「Italian Diabetes and Exercise Study 2:IDES_2」)の結果を報告した。身体活動/座位行動の変化が、2型糖尿病患者で長期的に持続されうるかは不明であった。JAMA誌2019年3月5日号掲載の報告。

行動介入群と標準ケア群で、身体活動と座位時間を比較
 研究グループは、行動介入戦略により身体活動の増加が持続し座位時間が減少するかを検証する目的で、2012年10月~2014年2月に、あまり運動をせずいつも座ってばかりの生活をしている2型糖尿病患者300例を、行動介入群または標準ケア群に、施設、年齢および糖尿病治療で層別化して1対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ3年間治療した(追跡調査期間2017年2月まで)。

 全例に対して、米国糖尿病学会ガイドラインの推奨に準じたケアを行うとともに、行動介入群(150例)では、3年間毎年、糖尿病専門医による個別の理論的なカウンセリングを1回と認定運動療法士による個別の理論的・実践的カウンセリングを隔週8回実施した。標準ケア群(150例)は、一般医の推奨(日常の身体活動を増やし座位時間を減らすこと)のみとした。

 複合主要評価項目は、身体活動量、軽強度ならびに中~強強度の身体活動時間、座位時間とし、加速度計によって測定した。

行動介入により、持続的な身体活動の増加と座位時間の減少を確認
 無作為化された300例(平均[±SD]年齢61.6±8.5歳、女性116例[38.7%])のうち、267例(行動介入群133例、標準ケア群134例)が試験を完遂した。追跡期間中央値は3年であった。

 行動介入群と標準ケア群でそれぞれ、身体活動量(代謝当量[MET]、時間/週)は13.8 vs.10.5 MET(両群差:3.3、95%信頼区間[CI]:2.2~4.4、p<0.001)、1日の中~強強度の身体活動時間は18.9 vs.12.5分/日(6.4、5.0~7.8、p<0.001)、軽強度の身体活動時間は4.6 vs.3.8時間/日(0.8、0.5~1.1、p<0.001)、座位時間は10.9 vs.11.7時間/日(-0.8、-1.0~-0.5、p<0.001)であった。

 両群の有意差は試験期間中持続していたが、1日の中~強強度の身体活動時間については、両群の差が6.5分/日から3年目には3.6分/日に低下した。セッション外での有害事象は、行動介入群で41例、標準ケア群で59例確認された。行動介入群におけるセッション中の有害事象は30件報告され、大半は一般的な筋骨格系の外傷/不快感と軽度の低血糖であった。

 著者は、研究の限界として、食事に関する情報が解析データに含まれていないこと、加速度計の使用が標準ケア群での身体活動を増進する可能性があることなどを挙げたうえで、「今回の結果を一般化し臨床現場で介入を実施するには、さらなる検証が必要である」とまとめている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)