スタチンによる高齢者のCVイベント1次予防 DM vs.非DM/BMJ

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スタチンによる高齢者のCVイベント1次予防 DM vs.非DM/BMJのイメージ

 スタチンは、非2型糖尿病の75歳以上の高齢者の1次予防では、アテローム動脈硬化性心血管疾患および全死因死亡を抑制しないのに対し、2型糖尿病の75~84歳の高齢者の1次予防では、これらの発生を有意に低減することが、スペイン・ジローナ大学のRafel Ramos氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年9月5日号に掲載された。スタチンは、75歳以上の高齢者の2次予防において、心血管イベントや心血管死の抑制効果が確立されており、最近の数十年で高齢者への処方が増加しているが、とくに85歳以上の高齢者の1次予防における有効性のエビデンスは不十分だという。

糖尿病の有無別に、年齢とスタチンの効果の関連を後ろ向きに評価
 研究グループは、高齢者および超高齢者の1次予防におけるスタチン治療の、アテローム動脈硬化性心血管疾患および死亡の抑制効果を、糖尿病の有無別に評価する後ろ向きコホート研究を行った(スペイン科学イノベーション省の助成による)。

 データの収集には、600万例以上(カタルーニャ地方の80%、スペイン全体の10%に相当)の、匿名化された長期的な患者記録の臨床データベース(Spanish Information System for the Development of Research in Primary Care[SIDIAP])を用いた。

 対象は、臨床的にアテローム動脈硬化性心血管疾患が確認されていない75歳以上の高齢者であり、2型糖尿病の有無およびスタチンの非使用/新規使用で層別化した。

 傾向スコアで補正したCox比例ハザード回帰モデルを用いて、スタチン使用の有無別にアテローム動脈硬化性心血管疾患および全死因死亡のハザード比(HR)を算出した。また、2型糖尿病の有無別に、薄板回帰スプライン(thin plate regression splines)を用いた連続的尺度で、年齢別(75~84歳、85歳以上)のスタチンの効果を解析した。

2型糖尿病の75~84歳で死亡リスク16%低減、90代では効果消失
 2006年7月~2007年12月の期間に組み入れ基準を満たした4万6,864例(75~84歳:3万8,557例、85歳以上:8,307例)が登録され、このうち7,502例(16.0%)がスタチン治療を開始していた(75~84歳:6,558例、85歳以上:944例)。7,880例(16.8%)が2型糖尿病(75~84歳:6,641例、85歳以上:1,239例)であった。ベースラインの全体の平均年齢は77歳、女性が63%だった。

 非糖尿病群では、75~84歳のスタチン使用者におけるアテローム動脈硬化性心血管疾患のHRは0.94(95%信頼区間[CI]:0.86~1.04)、全死因死亡のHRは0.98(0.91~1.05)であり、いずれも有意な関連は認めなかった。また、85歳以上のスタチン使用者のHRは、アテローム動脈硬化性心血管疾患が0.93(0.82~1.06)、全死因死亡は0.97(0.90~1.05)と、いずれも有意な関連はみられなかった。

 これに対し、糖尿病群では、75~84歳のスタチン使用者におけるアテローム動脈硬化性心血管疾患のHRは0.76(95%CI:0.65~0.89)、全死因死亡のHRは0.84(0.75~0.94)と、いずれも有意な関連が認められた。また、85歳以上のスタチン使用者のHRは、それぞれ0.82(0.53~1.26)、1.05(0.86~1.28)であり、有意な差はなかった。

 同様に、スプラインを用いた連続的尺度における年齢別のスタチンの効果の解析では、非糖尿病群の75歳以上の高齢者では、アテローム動脈硬化性心血管疾患および全死因死亡に対するスタチンの有益な作用は認めなかった。

 このように、スタチンは、糖尿病群では動脈硬化性心血管疾患および全死因死亡に対し保護的な作用を示したが、この効果は85歳以上では実質的に低下し、90代では消失した。

 著者は、「これらの結果は、高齢者および超高齢者へのスタチンの広範な使用を支持しないが、75~84歳の2型糖尿病患者へのスタチン治療を支持するもの」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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高齢者でもスタチンは投与すべきなのか?(解説:平山篤志氏)-923

コメンテーター : 平山 篤志( ひらやま あつし ) 氏

大阪警察病院循環器内科 特別顧問

J-CLEAR評議員

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