抗インフル薬バロキサビルの第II相・第III相試験の結果/NEJM

提供元:
ケアネット

抗インフル薬バロキサビルの第II相・第III相試験の結果/NEJMのイメージ

 合併症を伴わない急性インフルエンザの思春期・成人患者へのバロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)の単回投与は、症状緩和についてプラセボに対し優越性を示し、投与開始1日後時点のウイルス量低下についてプラセボおよびオセルタミビルに対する優越性が示された。安全性に関する明らかな懸念はなかったが、治療後にバロキサビルに対する感受性の低下を示す知見も観察されたという。米国・バージニア大学のFrederick G. Hayden氏らによる、日本と米国の患者を対象に行った2件の無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年9月6日号で発表された。バロキサビル マルボキシルは、インフルエンザウイルス・キャップ依存性エンドヌクレアーゼ選択的阻害薬。前臨床モデル試験で、既存の抗ウイルス薬では効果が認められない耐性株を含むインフルエンザA型とB型に対して、治療活性が示されていた。

20~64歳、12~64歳の合併症のないインフルエンザ患者を対象に試験
 研究グループは、合併症のない急性インフルエンザを発症し、それ以外は健康な患者を対象に2つの無作為化試験を行った。1つ目は、2015年12月~2016年3月にかけて20~64歳の日本人成人を対象に行った、第II相の二重盲検プラセボ対照無作為化用量範囲探索試験。被験者を4群に分け、バロキサビルを10mg、20mg、40mg、プラセボをそれぞれ単回投与した。

 もう1つの試験は、2016年12月~2017年3月にかけて、インフルエンザ様症状で外来受診した12~64歳の米国人・日本人を対象に行った、第III相の二重盲検プラセボ/オセルタミビル対照無作為化試験「CAPSTONE-1」。20~64歳の被験者を無作為に3群に分け、バロキサビル(体重80kg未満は40mg、体重80kg以上は80mgを1回)、オセルタミビル(75mgを1日2回5日間)、プラセボをそれぞれ投与した。12~19歳の患者は、2対1の割合で無作為に割り付けてバロキサビルまたはプラセボを投与した。

 有効性の主要評価項目は、intention-to-treat(ITT)感染集団におけるインフルエンザ症状緩和までに要した時間だった。

バロキサビル群がプラセボ群よりも23.4~28.2時間早く症状が緩和
 第II相試験では、症状緩和までの時間中央値は、バロキサビル群がプラセボ群よりも23.4~28.2時間短かった(p<0.05)。

 CAPSTONE-1試験では、ITT感染集団1,064例のうち、インフルエンザA型(H3N2)感染が各群で84.8~88.1%に認められた。症状緩和までの時間中央値は、プラセボ群80.2時間(95%信頼区間[CI]:72.6~87.1)に対し、バロキサビル群53.7時間(同:49.5~58.5)だった(p<0.001)。また、バロキサビル群では、プラセボ群やオセルタミビル群と比べ、レジメン開始1日後のウイルス量が有意に減少した。

 なお、バロキサビル群とオセルタミビル群の症状緩和までの時間中央値は類似していた。

 有害事象の発生は、バロキサビル群20.7%、プラセボ群24.6%、オセルタミビル群24.8%で認められた。バロキサビルへの感受性低下につながるI38T/M/F置換を伴うポリメラーゼ酸性蛋白領域の変異は、第II相試験とCAPSTONE-1試験で、それぞれバロキサビル投与例の2.2%と9.7%で認められた。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

専門家はこう見る:CLEAR!ジャーナル四天王

成人のインフルエンザに対するバロキサビル マルボキシルの効果(解説:吉田敦氏)-913

コメンテーター : 吉田 敦( よしだ あつし ) 氏

東京女子医科大学 感染症科

J-CLEAR推薦コメンテーター

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)