喘息に対するdupilumab、第IIb相試験でも有効性確認/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2016/05/13

 

 dupilumabは、コントロール不良の持続型喘息患者において、吸入ステロイド(ICS)+長時間作用性β2刺激薬(LABA)への併用投与により、血中好酸球数にかかわらず肺機能を改善し、重度の喘息増悪の発現を減少することが認められた。安全性プロファイルは良好で、QOLの改善も示唆された。米国・ピッツバーグ大学のSally Wenzel氏らが、dupilumabの4用量を検討した第IIb相試験の結果、報告した。dupilumabは、インターロイキン(IL)-4受容体αサブユニットに対する完全ヒトモノクローナル抗体で、2型ヘルパーT細胞による免疫反応の鍵となるIL-4およびIL-13のシグナル伝達を阻害する。第I相ならびに第IIa相試験において、喘息患者におけるdupilumabの有効性と安全性が示されたが、対象が好酸球数高値の患者に限られ、検討された用法も週1回投与のみであった。Lancet誌オンライン版2016年4月26日号掲載の報告。

中~重度の持続型喘息患者を対象に無作為化比較試験を実施
 研究グループは、16ヵ国174施設において、中等症~重症の持続型喘息患者に対するdupilumabの有効性および安全性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照用量検討試験(第IIb相試験)を実施した。

 対象は、Global Initiative for Asthma(GINA)2009ガイドラインに基づき喘息と診断され12ヵ月以上経過し、中~高用量のICS+LABA併用療法でコントロール不良の成人患者(18歳以上)であった。dupilumab 300mgを2週ごと投与群、200mgを2週ごと投与群、300mgを4週ごと投与群、200mgを4週ごと投与群またはプラセボ投与群に1対1対1対1対1の割合で無作為に割り付け、24週間皮下投与した。ICSおよびLABAは用量を変更することなく継続した。

 主要エンドポイントは、ベースラインの血中好酸球数≧300/μLの患者(好酸球数高値集団)における、投与12週時のベースラインからの1秒量(FEV1)の変化量とした。

2週ごと200mgおよび300mg投与群でFEV1の増加あり
 2013年6月~14年6月までに776例が割り付けられ、うち769例が1回以上試験薬の投与を受けた(dupilumab群611例、プラセボ群158例)。

 好酸球数高値集団において、主要評価項目である12週時のFEV1の変化量は、プラセボ群[変化量(最小二乗平均値)0.18L、SE 0.05]との比較において、2週ごと300mg投与群[同:0.39L(SE 0.05)、プラセボ群との差:0.21(95%信頼区間[CI]:0.06~0.36、p=0.0063)]、ならびに2週ごと200mg投与群[同:0.43L(SE 0.05)、プラセボ群との差:0.26(95%CI:0.11~0.40、p=0.0008)]で、有意に大きかった。

 全体集団および好酸球数正常集団(血中好酸球数<300/μL)においても同様の結果が認められた(全体:2週ごと300mg投与群のp<0.0001、2週ごと200mg投与群のp<0.0001/好酸球数正常集団:2週ごと300mg投与群のp=0.0086、2週ごと200mg投与群のp=0.0034)。また、同変化は24週まで持続して認められた。

 喘息増悪の年間発現率は、dupilumabの2週ごと投与群で最も減少した(減少率:全体集団:70~70.5%、好酸球数高値集団:71.2~80.7%、好酸球数正常集団59.9~67.6%)。プラセボ群と比較しdupilumab群で発現率が高かった有害事象は、上気道感染(35% vs.33~41%)、注射部位反応(13% vs.13~26%)であった。

 現在、さらなる有効性と安全性を評価する第III相試験が進行中である。

(医学ライター 吉尾 幸恵)