骨盤臓器脱、筋トレ3ヵ月で57%が症状改善/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2015/01/13

 

 軽症の骨盤臓器脱の女性患者に対し、理学療法士(PT)が個別に提供する骨盤底筋力トレーニングの介入は経過観察のみの対照と比較して、骨盤底障害度評価項目(PFDI-20)スコアを有意に改善したが、臨床的意義のある差は示されなかった。オランダ・フローニンゲン大学医療センターのMarian Wiegersma氏らによるプライマリケア設定での無作為化試験の結果、報告された。BMJ誌オンライン版2014年12月22日号掲載の報告より。

55歳以上の軽症骨盤臓器脱女性患者を対象に筋トレ介入vs.経過観察
 試験は2009年10月14日~2012年10月19日に、オランダの15の一般医を通じて行われた。被験者は、55歳以上の軽症の骨盤臓器脱を有する女性でスクリーニングを行い選定し、骨盤底筋力トレーニングを受ける(介入)群と経過観察を行う(対照)群に割り付けた。除外基準は、臓器脱の治療中または前年に治療、骨盤臓器に悪性腫瘍、その他の婦人科系障害で治療中、重度/末期の疾患、運動機能障害、認知障害、オランダ語の理解が不十分であった。

 介入は、骨盤底疾患の診断と治療について3年間の専門的訓練を受けた、オランダ骨盤理学療法士協会(Dutch Pelvic Physiotherapists' Organisation)の登録PTが行い、対面形式でホームエクササイズと組み合わせた骨盤底筋力トレーニングを個別に提供した。同一の基本的エクササイズを提供したうえで、各自の所見に合わせて修正した運動プログラムが提供された。

 被験者は当初は週1回、PTを訪れエクササイズの指導などを受けたが、正しく骨盤底筋の収縮・弛緩運動ができているようであれば、訪問間隔を2~3週に1回と延期された。また週に3~5回、各日に2~3回の自宅エクササイズを実行するよう指導を受けた。

 主要アウトカムは、介入開始後3ヵ月時点でPFDI-20を用いて評価した膀胱、腸、骨盤底症状の変化であった。副次アウトカムは、特異的・一般的QOL、性機能、臓器脱の程度、骨盤底筋機能の変化、および患者の主観的症状の変化などであった。

3ヵ月後のPFDI-20評価で9.1ポイント、主観的症状改善評価では4倍強の差
 287例が無作為に割り付けられ(介入群145例、対照群142例)、250例(87%)がフォローアップを完了した。介入群に割り付けられた被験者のうち、11例(8%)は介入を受けず、19例(13%)は早期に中断した。完了者が受けた介入回数の中央値は7回(範囲:5~9回)であった。フォローアップ時点で、59例(41%)がまだ介入が終了とはなっていなかった。

 PFDI-20評価の結果、ベースラインから改善したスコアは、介入群のほうが対照群と比べて9.1ポイント(95%信頼区間[CI]:2.8~15.4)有意に大きかった(p=0.005)。ただし、両群差について臨床的意義があるとした仮定値(15ポイント)には達していなかった。

 全症状の改善を報告したのは、介入群57%(82/145例)に対し、対照群は13%(18/142例)だった(p<0.001)。介入群のほうが4倍ほど主観的改善を報告した人が多いと思われた。

 その他の副次アウトカムについては、両群間で有意な差がみられた項目はなかった。

 上記を踏まえて著者は、「両群間で有意な差は示されたが臨床的関連は不明なままである」と述べ、「骨盤底筋トレーニングの成功要因を明らかにするため、また長期的効果を調べるためさらなる研究が必要である」とまとめている。