CKD患者の高K血症に新規K吸着薬が有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2014/12/15

 

 RAAS阻害薬服用中の慢性腎臓病(CKD)患者で高カリウム血症を呈した患者について、新規開発経口薬のカリウム吸着薬パチロマー(patiromer)はプラセボと比較して、血清カリウム(K)値を低下し、再発頻度も低下することが示された。米国・メリーランド大学医学部のMatthew R. Weir氏らが国際共同単盲検前向き試験の結果、報告した。NEJM誌オンライン版2014年11月21日号掲載の報告より。

RAAS阻害薬服用中CKD・高K血症患者を対象に有効性、安全性を検討
 試験は、RAAS阻害薬服用中CKD患者で、高カリウム血症(5.1~6.5mmol/L未満)を呈した患者243例を対象に、2相にわたって行われた。1相は単群の盲検試験(4週間)、2相は無作為化プラセボ対照試験(8週間)であった。

 被験者243例は、1相試験でパチロマーを1日2回4.2gまたは8.4gを受け、血清K値(平均値)のベースラインから治療4週時点の変化について評価(1相主要有効性エンドポイント)を受けた。次に、1相試験で血清K値がベースライン時5.5~6.5mmol/L未満から4週時点3.8~5.1mmol/L未満に低下した患者を2相に組み入れて、パチロマー継続投与群(55例)またはプラセボに切替投与群(52例)に無作為に割り付けて8週間治療した。2相主要有効性エンドポイントは、同相初期4週間の血清K値変化(中央値)の両群間の差とした。

4週時点で76%が3.8~5.1mmol/L未満に低下
 1相試験の被験者243例は、東欧24施設、EU21施設、米国14施設で登録された。男性が多く(58%)、平均年齢は64.2±10.5歳、CKDステージ3が46%、ステージ4が約45%であった。

 同試験期間中、血清K値の測定は5回行われた(3日目、1、2、3、4週時)。そのうち3日目およびその後に1回以上測定を受けた237例について分析した。

 結果、ベースラインから4週時の血清K値の変化中央値は-1.01±0.03mmol/Lで、有意な変化が認められた(p<0.001)。2相試験組み込みへの適格条件(3.8~5.1mmol/L未満に低下)に達した患者は76%(95%信頼区間[CI]:70~81%)であった。

 2相試験の開始時の各群の血清K値は、継続群4.49mmol/L、プラセボ群4.45 mmol/Lであった。開始後最初の4週間で、継続群では変化がみられなかったが、プラセボ群は0.72mmol/L上昇し、両群間で有意差が認められた(p<0.001)。

 8週間の試験期間中、5.5mmol/L以上に少なくとも1回以上の高カリウム血症の再発を認めた患者は、プラセボ群60%、継続群15%で、プラセボ群の有意な増大が示された(p<0.001)。

 1相・2相試験を通じて、有害事象を経験した患者は114例(47%)。最も頻度が高かったのは、軽度~中等度の便秘で26/114例(11%)であった。低カリウム血症の発生は8/114例(3%)だった。