腺腫検出率1%上昇で中間期大腸がんリスク3%低下/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2014/04/11

 

 腺腫の検出率と、中間期大腸がん、進行期の中間期がん、致死的な中間期がんのリスクとの間には逆相関の関連がみられることが判明した。米国・カイザーパーマネンテ社のDouglas A. Corley氏らが、消化器専門医136人が行った大腸内視鏡検査31万4,872件について分析した結果、報告した。大腸内視鏡検査は、大腸がん検出のプライマリまたはフォローアップスクリーニングとして一般に行われている。また最近では、医師が行うスクリーニング大腸内視鏡検査での1つ以上の腺腫の検出率が、質の評価の指標として推奨されるようになっていた。しかし、この検出率とその後の大腸がん(中間期がん)や死亡のリスクとの関連については、ほとんど分析がされていなかったという。NEJM誌2014年4月3日号掲載の報告より。

消化器専門医136人、31万4,872件、腺腫検出率7.4~52.5%のデータを分析
 研究グループは、統合医療サービス組織の北カリフォルニア・カイザーパーマネンテの加入者データ(17施設で年間約330万人が医療サービスを受けている)を用いて、腺腫検出率と検査から6ヵ月~10年後に診断された大腸がんリスクおよびがん関連死との関連を評価した。

 寄与リスクの推定値はCox回帰分析法を用いて、患者の人口統計学的特性、大腸内視鏡検査の適応、併存疾患について補正後、算出した。

 評価には、消化器専門医136人により行われた大腸内視鏡検査31万4,872件のデータが含まれた。それらの腺腫検出率は7.4~52.5%にわたった。

検出率最高五分位範囲群の中間期がんリスクは、同最低位群の0.52倍
 追跡期間中に、中間期大腸腺がん712例(うち255例が進行期がん)と、中間期大腸がんからの死亡147例が特定された。腺腫検出率の五分位範囲でみた補正前中間期がんリスクは、最低位群から順に、検出率7.35~19.05%群9.8件/1万人・年、19.06~23.85%群8.6、23.86~28.40%群8.0、28.41~33.50%群7.0、33.51~52.51%群4.8だった。

 検出率最高五分位範囲(33.51~52.51%)群の患者と、最低五分位範囲(7.35~19.05%)を比較した、全中間期がんの補正後ハザード比は0.52(95%信頼区間[CI]:0.39~0.69)、進行期中間期がんは同0.43(同:0.29~0.64)、致死的中間期がんは同0.38(同:0.22~0.65)だった。腺腫検出率1.0%上昇につき、3.0%のがんリスク低下が認められた(ハザード比:0.97、95%CI:0.96~0.98)。